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アベンジャーズ/エンドゲーム (其の弐)
2019年05月27日

dd2i22b-d8019e41-be30-4b9f-86c3-983d60454936.jpg永らくお待たせいたしました。
~~~~~~~~~~~

面白いの一語に尽きる。

ヒーロー映画の最終到達点を見せられたと言っても過言ではない。

上映時間は3時間。
大挙登場するキャラクターの数や、群像劇仕立てから、アンサンブルの魅力が炸裂するクライマックスまでのドラマの展開を思えば、3時間“程度”で収めた構成力は神がかっているほどに美しい。

(行ったことはないが)高級寿司屋のおまかせのように次から次へとお馴染みのキャラが投入され、感動や迫力、ユーモアなど多岐にわたるシークエンスがたたみ掛けるアトラクション的プロット。
これだけの顔ぶれとスケールの大きいドラマに見事なまでにバランスをもたらして、緻密に統制されている娯楽映画は記憶にない。

3時間は長い? いやいや。
全編に渡り、見逃し厳禁のキーポイントや見せ場が満載。 これほど贅沢な3時間はあるまい。
途中でトイレに立つなど大損必至の愚行。
膀胱がSOS状態でもしのぎ切れ。


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【尋常ではないオールスター・キャスト】

近年では「エクスペンダブルズ」シリーズや「オーシャンズ」シリーズなど、オールスター・キャスト映画というのはさほど珍しくなくなったとはいえ、この映画のスター大集結はえげつないほどの本気度が溢れている。

かつて「史上最大の作戦」(62)という、これもオールスター・キャストのスケールが目ん玉飛び出るほどケタ違いの戦争超大作があった。
同じく戦争映画の「遠すぎた橋」(77)も、よだれが出るくらいの豪華な顔ぶれが揃っており、これと「史上最大の作戦」はオールスター・キャスト映画の代表格の両巨頭として永らく君臨していたが、「アベンジャーズ/エンドゲーム」はこれをアッサリ凌駕してしまった。

MCUの個々の作品で活躍するヒーローたちが一堂に集結するそのお祭りムードは元から「アベンジャーズ」シリーズの売りではあったが、前作の「インフィニティ・ウォー」では、その前の「エイジ・オブ・ウルトロン」の時にはいなかったキャラ(スパイダーマンドクター・ストレンジブラックパンサー、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)が大挙加わり、凄いことになり過ぎていた。

「エンドゲーム」もキャプテン・マーベルアントマンが加わり、さらには「どうせ前作で死んだキャラたちが復活するんでしょ」ということになれば、どう収拾がつくのかと恐くもあったが、本作はその予想の遥か上をいく、「犬も歩けばスターに当たる状態」の大感謝祭になっていた。

単体作品で死亡したか、本筋からオミットされて、もうお目にかかることはないだろうと思われていたキャラクターもワンサカ出てくるというのは、まさにタイムトラベルさまさまである。
ナタリー・ポートマン、ロバート・レッドフォード、トム・ヒドルストン、ヘイリー・アトウェル、ティルダ・スウィントン、レネ・ルッソ、マリサ・トメイ、ミシェル・ファイファー、マイケル・ダグラス、リンダ・カーデリーニ・・・・

主要ヒーローだけでなく、脇キャラでも今回のストーリーに欠かせぬキャラなら、遠慮なくスクリーンにつぎ込む大盤振る舞いは只事ではない。
ワンカットだけとか、セリフなしの人も出てきて当然。
ラストの葬儀のシーンなんかは、いかにも「この映画のために」という、携わった人たちの結束感が滲み出ている。


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【“そう来るか”の連打で見せる娯楽の極み】

しょっぱなのサノスの首チョンパで「ええっ!?」と観客をのけぞらせるのを皮切りに、次々と想定を美しく裏切る展開や、観客に楽しんでもらうためのサービス精神が随所に溢れている。

なんといってもタイムトラベルでトニースティーヴスコットブルースの4人が2012年の「アベンジャーズ」のニューヨーク・バトルの現場に戻って来た時は、思わず変な声が出そうになるほどシビれる。

キャップアイアンマンソーら6人の周りをカメラがグルッと周る、お馴染みのスピン・アラウンド・ショットが転用され、まさに「アベンジャーズ」はここから始まったのだよなあという感慨深さが押し寄せるのだ。

3チームに分かれてタイムトラベルしてストーンを集めてくるシークエンスでの、想像だにしなかった「ド感動」。
ソーと母。 トニーと父。 スティーヴとペギー。 ネビュラとガモーラ。 そしてナターシャクリント
それぞれのドラマの中に、多くのものを捨てたか、あるいは奪われたかの、あらゆる未練を残してきたヒーローたちの人生が浮き彫りになる。

そして前回で死んだキャラたちの一斉復活シーンの鳥肌MAXカタルシス。
おそらくは、これをやりたいがために、あえて前作であれだけの犠牲者をこしらえたのだろうと思う。 前作の敗北感と今回の高揚感の反動の振り幅の大きさが感動につながっている。

サノス強すぎ大ピーンチ!という所へ、ちょいと待ったぁーっ!とばかりに、ドクター・ストレンジのスリングリングによって開かれたゲートウェイからヒーローたちが次々と現れるシーンは、「形勢逆転」という醍醐味を味わえるヒーロー映画の極致。
他にもキャプテン・アメリカのあのシーン。 アイアンマンのあのシーン。
何回でも観たいシーンが多すぎる。

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【結局、タイムトラベルって・・・】

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「カレー食べたい」 「どんなカレー?」
「う~ん・・」 「野菜がコロコロ入ってるやつとか?」
「え~」 「トロッとしてるカレー?」
「う~ん」 「まあ、おいしいけどね」
「もっとちょうだい」 「ビリビリってやつは?」 「え~」
「シャバシャバな感じ」 「シャバシャバ? へへっ、ナニそれ?」 
「え、わかんないわかんない」 「えっ、じゃあそのまま調べてみる?」 「そのまま?」
「『近くの』・・・」 「うん」 「『シャバシャバな』・・・『カレー』」
「出てくるね」 「えっ、めちゃ多くない?意外とあるよ」
「こういうのとか?」 「アハハ、これ。 これがいいよ」
「これで」 「あってますか?」 「あってます」 「シャバシャバだ」
「あ~、それからさ」 「なに?」
「『アベンジャーズ/エンドゲーム』でさ、ストーンを集めに行くのにタイムトラベルするじゃん?」
「話の飛び方がシャバシャバだね」
「あれさ、過去を変えても現在の状況は変わらないってブルースが言ってたよね」
「実際そうだったよね。 現在のネビュラが過去のネビュラを殺してもなんともなかったし」
「いいの?それでいいの?」
「いいんじゃない?」
「それだと今までのさあ、タイムトラベルものの映画とかが間違ってるってこと?」
「間違いだってハッキリ言ってたよね。 そこが凄いよね。 他の映画を劇中で全否定するってだけでこの映画は前代未聞だよ」
「でもショックだなあ。 『ある日どこかで』とかいい映画なんだけどなあ」
『ビルとテッドの大冒険』とか。 キアヌ・リーブスがペーペーだった頃の」
「それ知らな~い」 「グーグルで調べる?」 「いや、いい」 「いいのかよ」
「結局『親殺しのタイムパラドックス』は起きないってことだね」
「今や量子力学的にはそっちの方が定説になりつつあるからね。 宇宙は並行なの」
「そんなもんなんだ」
「ただし、ストーンを同時刻に持ち帰って、みんなを生き返らせたら、ストーンは元の場所に戻さないと並行宇宙が増えすぎてえらいことになるからね」
「坊さんが言ってたね」
「ってか、シャバシャバなカレーは?」 「あっ、忘れてた。 今から行こうか」
「アベンジャーズのアライグマもカレー食べるのかな?」 「グーグルで調べる?」
「いや、載ってないっしょ。 まあ、アライグマは雑食だから何でも食べるよ」
「シャバシャバなカレーでも?」
「シャバシャバでも食べるんじゃない?」
「てか、アライグマって言ったら怒られるんだって」 
「いいじゃ~ん、アライグマでぇ」

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「その辺にしとかねえと、シャバシャバな血の雨が降ることになるぜ」

本作のタイムトラベルの件に関しては賛否両論が行き交っている。
過去と未来を行き来するSFネタは古今東西ツッコミが絶えず、かの名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も学者の間では誤りだと指摘する人も多い。

この映画では「過去を変えても現在には影響がない」ことが大前提で、ローディ「サノスが赤ん坊の頃に行って殺しちゃえばいいじゃないか」と言うと、ブルースに即座に否定されるように、「過去に行ったとしても、それはその人の未来でしかなく、これまでいた現在は過去でしかない」ということ。
ネビュラネビュラを殺そうが、ロキがスペースストーンを持って逃げて行ってしまおうが、未来が変わることなどないのだ。
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タイムマシンで10年前に行き、「10年前の自分」を殺しても、「タイムマシンに乗る10年後の自分」が存在していないと「10年前の自分」を殺すことができないので、"自分"にとっては「タイムマシンに乗った」ことが過去となり、「タイムトラベルした」ことが未来という時間の流れができてしまう以上、“10年前の現在”で何をしようと、その前に居た“10年後の過去”には何ら干渉できないってこと・・・かね?
???
なんか・・・自信がなくなってきた。

だいたい、誰もタイムトラベルなんてやったことがないんだから、何が正解かは分からんわい。(開き直った)
とにかく過去の出来事をどうこうしてもダメなんだから、アベンジャーズが行うのは、メンバーの誰かとストーンが同じ場所同じ時期に存在していた時代に行ってストーンを持って、同じ時間に帰ってくること。 それが重要。


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【大切な人との過去】

2012年のニューヨークへタイムトラベルし、ロキをとっ捕まえるドサクサからパワーストーンをちょろまかそうという作戦が不発に終わり、急遽ストーンとピム粒子が同時に存在していた1970年の陸軍研究施設へと飛ぶ。

そこでトニーキャップはそれぞれ自身の運命と切っても切れぬ人との出会いを果たす。

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1970年。 トニーの父ハワード・スタークはこの時すでにS.H.I.E.L.D.の設立者として世界平和のための研究に勤しんでいた。
彼の妻マリアは出産を間近に控えている。
これから生まれてくる子供こそがトニーである。

トニーは研究施設からスペースストーンを盗み出せばさっさとズラかるつもりだったが、タイミング悪く父ハワードと遭遇してしまう。
ハワードは特に怪しんでる様子もなく、トニーのことを新米の職員だと思っているようで、不思議というか、やはりというか自然と会話へと入っていく。
この、トニーが自分が生まれる前の父親としばらく語り合うシーンは実に感動的で、その後のトニーの世界を救う行動にも深く関わっているのだ。

ハワードトニーが二十歳の頃に死んだ。
それまでは家庭を顧みない仕事人間の父とトニーとの親子関係は良好なものではなかった。
キャプテン・アメリカの話ばかりする父に反発し、トニーは女遊びに呆け、そんな息子に父親は余計に厳しくあたった。
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だがトニーにとっては今や尊敬してやまない父ハワードである。
仕事のことしか頭にないカタブツだとばかり思っていた父は、まもなく生まれる子供のことを気にしていたのがトニーには驚きだった。
「君、結婚はしてるのか?」
「ええ。 娘が一人います」
「子供が生まれる時ってのはどんな気分なんだ? こういう時は男は何もできないな」


世界のために働いている勇敢な父は、自分が人の親になることに初々しく動揺し、子供の名前は何にしようかと悩んでいる。
自分の知らない父親の一面がトニーには意外でもあり、新鮮でもあった。

「大義のために個人の幸せをあきらめる必要はない」と父は言う。
そういう想いでいながら、何よりも自分を犠牲にしてきたのは父ではなかったか。
「カネで時間は一秒も買えない」
その通りだなとトニーは思う。

「世界平和のために尽くしてくれてありがとう」 心からの感謝の言葉がトニーの口からあふれる。
こうして父と抱擁したことなど記憶にない。 買えなかった時間の優しさに包まれながら、世界のために戦うトニーの心は一段上の高みに上ろうとしていた。

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ピム粒子を奪ったスティーヴは、とっさに隠れた部屋からブラインド越しにペギー・カーターを見た。
スティーヴが唯一心から愛した女性である。

スーパーソルジャー計画が縁で出会い、互いに心を開き合える仲になり、デートの約束をした矢先に無情の運命が二人を引き裂いた。
冷凍状態から目が覚めれば70年もの歳月が流れ、次にスティーヴが会ったペギーは認知症を患い、老人ホームで寝たきりで過ごしており、やがて亡くなった。

スティーヴにとって、失われた70年間はあまりに重い。
自分をずっと待ち続けてくれた愛する人を幸せにしてやれなかった悔恨は、スティーヴの頭から離れなかったことは一度もない。

今いる時代は、自分が消えて二十数年後。 もっとオバサンになっているかと思ったペギーは70年前に別れた時とさほど変わらぬ美しい人だった。
ガラス一枚隔てられてても、今、小さな空間で二人きりになっているこの時間。
あの時代は、こんなささやかな幸せさえ叶わなかった。
自分がキャプテン・アメリカになったからこその出会い。 キャプテン・アメリカだったからこその悲恋。
苦い運命を噛みしめながら、スティーヴの心には“あったかもしれない”違う人生の想像が広がっていた。
無題 ss

ダークエルフに襲われる前のアスガルドに行ったソーが母と再会し、自分が行くべき道を見出すように、トニースティーヴも、もう会えることのなかったはずの大切な人との再会がひとつの殻を破る重要な時間となる。

ヒーローのみならず、誰にとっても時間とは本当に貴重なものだ。
過ぎ去ってみて初めて、そのかけがえのなさに気づくこともある。
だが、今回のアベンジャーズは一時的に取り戻した時間から大きな力を得たのだ。


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【ナターシャの決断】

まさか、ここでこういう展開になるとは思わなかった。

クリントナターシャはソウルストーンを手に入れるため、惑星ヴォーミアに向かう。
このストーンはある種の意志を持っており、手に入れようとする者には犠牲を求め、「愛する者を失うこと」という条件を実行せねばストーンは手に入らない。

前作でサノスは義理の娘ガモーラを崖から突き落としてソウルストーンを手にした。
サノスが来る前の時間にやってきたクリントナターシャ。 もちろん、この場には彼ら二人しかいない。
どちらかが死を選ぶしかない状況で、クリントナターシャも自分が犠牲になることを譲ろうとしない。

「何を犠牲にしても・・・」
「君は困った奴だな」

家族のないナターシャにとってアベンジャーズこそが家族。
その温か味を尊ぶ彼女にとって、家族を失う事は耐えがたい悲しみ。
もしクリントを死なせてしまおうものなら・・・。 クリントがいないアベンジャーズを想像するだけでもナターシャは辛かったのだ。
ならば私が・・・・

荒みきったクリントと東京で再会した時。 悲しい目をした彼の表情をまのあたりにした時。
この時からナターシャは、絶対に彼の家族を元に戻してやらねばと決意したのだ。

「いかせて。 お願い」
「よすんだ。 頼む」

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いつも自分の気持ちに真っすぐで、時々どこか寂しげで、恋多き女だったナターシャ・ロマノフ
ブルースクリントの心を癒し、トニースティーヴの間でワンクッションの役目となり、アベンジャーズをいつも陰で支えていた。

特殊な力のない、それも女性の身でありながら、臆することなく敵に立ち向かっていった彼女の最期の闘いは、"家族"のために愛を貫くことだった。
「いかせて」と言った時の彼女の、どこかホッとしたような表情が鮮烈だ。
ここで私たち観客は確信する。
彼女の死が報われないはずがないと。


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【手から手へ】

アベンジャーズの映画は毎回「チーム力」の素晴らしさが描かれる。
例えるなら、音色の異なる多種の楽器と奏者が揃ったオーケストラによる美しきアンサンブル。
能力も違えば考え方も違う個性的なヒーローが一堂に会しながら、一つの目的のもとに力を合わせるという結束力の協奏曲なのだ。

今回は、前作のマイナス状況から元に戻すためのプロジェクトである。
サノスが宇宙の均衡のためにストーンを集めたのを、今度はアベンジャーズが実行する形だ。

その分、今まで以上にアベンジャーズがとチームとしてひとつになり、信頼し合い助け合う、人間味あふれたエモーショナルなドラマの色が濃い。

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象徴的に強調されてるのは『手』。
誰かが何かを手にし、それはまた誰かへと託される。
手から手へ。 世界の希望があらゆる形で、あらゆる手を渡り、繋がれていく。

「世界はこの手の中にある」というスティーヴが言うように、希望とは自身が手放さない限りは決して潰えることがない、世界を変える力なのだと語られる。

★こじつけるなら、キャプテン・マーベルトニーの乗った宇宙船べネター号を「素手」で持って帰ってくるところが始まり。

キャプテン・アメリカの盾がトニーの「手」からスティーヴの「手」へ。

クリントナターシャの「手」が離れた時、クリントの「手」の中にはまるでナターシャの化身であるかのようにソウルストーンが握られていた。

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そもそもインフィニティ・ガントレットが「手」の形をしているのも象徴的だった。

みんなの「手」で集めてきたストーンによってガントレットが完成するが、これを使えるのは肉体的にもハルクしかいない。 そのことはナターシャも知っていたはず。
それでも危険ではあるがブルースは必ずやってくれるだろうとナターシャは希望を託したのだ。
「彼女のためにもやらなければ。 これは僕の役目だ」
ハルクナターシャの想いの詰まったガントレットをその「手」にはめる・・・・


そして、アベンジャーズの計画を察知して過去から現世界にやってきたサノスの急襲。
アイアンマンキャプテン・アメリカソーらが束になって立ち向かうが、サノスのシャレにならぬ強さは相変わらず。
ソー絶体絶命という時に、ここでまたしても大きな力をその「手」にする者が現れる。
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ソーの武器であるハンマー「ムジョルニア」がキャプテン・アメリカの「手」に飛び込んでくるシーンは思わず腰が浮きそうになるほどの興奮だ。
ムジョルニアはウルという超金属でできており、高潔な心の持ち主でなければ持ち上げることはできない。
アーサー王の聖剣エクスカリバーのようなものである。

かつてこれを地球でソー以外が持ったのはヴィジョンだけ。
スティーヴは床に置かれたムジョルニアをコンマ何ミリか動かしたことがある。 それを見ていたソー(もしや)と思っていた。
そこにきてムジョルニアを手にしたキャップの覚醒。
ソースティーヴという人間の正義の心のポテンシャルに興奮する。
「やっぱりな」

純正の正義が服を着たような男キャプテン・アメリカのヒーロー魂が一段階進化。
彼はヒーローのコスチュームに身を包んだスティーヴ・ロジャースではない。
これが真のキャプテン・アメリカなのだ。

そしてさらに、もう一人の男が真のヒーローへと覚醒する。 が、その前に。


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【団結こそ最終兵器。 超興奮の総力一大決戦】

ハルクのフィンガースナップによってすでに世界は元に戻っていたが、ここぞというタイミングで登場するのがヒーローたるもの。
最初に現れたのはブラックパンサー
そして次々と、前作で消滅していたヒーローたちがドクター・ストレンジのスリングリングから姿を現す。
オオッ!オオッ!の連続ながら、ピーター・パーカーが飛び出して来た時にはどこかホッとする。

「アベンジャーズ、アッセンブル!」

キャプテン・アメリカのこのセリフはコミックなどではお馴染みのフレーズで、映画では今までそれをキャップが発したことがなく、ここにきて遂に発動。
この作品のために寝かせておいたのだろう。 にくすぎるぜ、マーベル。

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ヒーロー大軍団vsサノス軍の激突。
「なんも言えねえ」とはこのこと。
いや、本当は席から立ち上がって「いったれぇー!」と絶叫したいくらいだった。

それほどまでに脳が高揚し、テンションが上がったヒーロー映画はかつてない。
これまでの「アベンジャーズ」のシリーズでは群を抜いたスペクタクルが、躍動的なカメラワークで展開される。
ヒーロー全員集めましただけではこうはいかない。
すべては「アッセンブル!」のために、そこから逆算して「エンドゲーム」が作られているのは明白。

物語が始まって、「どうなる、どうなる」から「まだか、まだか」、「いよいよか」へと引っ張っていく演出と構成が小憎らしいほどに練り込まれているので、アッセンブルの「キター!感」と全員一斉突撃のカタルシスは、「インフィニティ・ウォー」の絶望感を帳消しにするどころか、あっという間にお腹いっぱいのハイリターン。

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映画では「ガール・パワー・シーン」とも呼ばれている、女子編成チームの活躍が熱い。
キャプテン・マーベルレスキュー(ペッパー・ポッツ)ワンダ・マキシモフ、ワスプ、マンティス、ヴァルキリー、オコエ、シュリ。
う~ん・・・囲まれたい!
「こういうこともやったら楽しいよね」という作り手のサービス精神が神!

これはやっぱりアレだろうか。
以前、ハリウッドを中心に巻き起こった「MeToo運動」の暗喩だろうか。
ではサノスがハーヴェイ・ワインスタインってこと? そういえば似てる気もする。

クリントブラックパンサー、スパイダーマンらの手から手へと渡ったガントレットがキャプテン・マーベルへ。
やがてそれは一人の男のもとへと辿り着く。


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【I am Ironman】

戻ってきたドクター・ストレンジトニー・スタークが聞く。
「おまえの言ってた1400万分の1はこれか?」
いや。 まだその時ではないのだ。
「今、明かしたら実現しない」
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そしてインフィニティ・ガントレットがトニーの目の前に転がってくる。
ストレンジが人差し指を立てた。
これだと。 今なのだと。  自分が見た未来はコレだと。

トニーも“タイム泥棒”の作戦の頃から、薄々腹をくくっていたのだろう。
ガントレットが誰にでも使える伸縮性のフリーサイズにしてあったことや、ビデオメッセージまで残してあったのは、ヒーローとして天命を全うする覚悟ができてたからだろう。

「私は絶対なのだ」サノスがうそぶく。
サノス(Thanos)」の名はギリシャ神話の死の神タナトスを由来にしている。
そのサノスが自分を「Inevitable(“避けられない”、または“必然”)」の存在だと言う。

死の神からは絶対に逃れられないのか。 そうではない。 
おまえが絶対なのなら、ヒーローも絶対に負けない。 ヒーローは絶対に勝つ。
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「それなら私はアイアンマンだ」

キャプテン・アメリカがムジョルニアを振り回せる神に近づくほど、一人の人間から真のヒーローへと覚醒したように、トニー・スタークもまた、「パワードスーツをまとったトニー」ではなく、真のヒーローである「アイアンマン」に昇華したのだ。

しかし、このあと、10年に渡ってその活躍を観てきた私たちはトニー・スターク=アイアンマンを見送らねばならない悲しい時を迎える。
何度でも観たいシーンの多い映画だが、このシーンはできればあまり観たくない。 

愛弟子ピーター・パーカー「勝ったよ、スタークさん。 あなたが勝ったんです」という言葉は届いただろうか。
疲れただろう。 だがもう終わったのだ。
「ゆっくり眠って」
ペッパー・ポッツ
の手のぬくもりを最後に感じながらトニーは逝く。

壮絶なるヒーローの最期を見届けた私たちには、ただただ感謝の言葉しかない。
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無題 tony iron_man_2_660 kjh 220px-Robert_Downey_Jr__as_Iron_Man_in_Avengers_Infinity_War.jpg
女好きでナニ様な武器商人から始まり、やがて平和の尊さに目覚めたトニー・スタークアイアンマンの道を歩み始めたと同時に私たちの、彼と共に行く道は始まった。

命を守るにも争いは必要か。
平和のために犠牲はやむなしか。
世界はヒーローを求めてるのか。

彼と共に考え、彼の戦いに声援を送った10年間を私たちは忘れはしまい。
幾多の葛藤にぶち当たりながら、愛する人や仲間のために正義のハートを燃やし続けてきた鉄の男の長い旅がここで終わった。

「3000回、愛してる」
愛娘モーガンちゃんに贈られる「I Love You」にこちらの胸も熱くなるのだが、葬儀の時のモーガンちゃんがハッピー・ホーガンから「何が食べたい?」と聞かれて「チーズバーガー」と答えた時は3000回泣きそうになった。
フツー言えるかなあ? 抱きしめてやりたいよ。
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これは「アイアンマン」(08)で、テロリストのもとから脱出したあとに「チーズバーガーが食べたい」と漏らしたトニー・スタークのセリフのオマージが当てはめられたもの。
映画を観終わった後、チーズバーガーが食べたいと思った人はアッシだけではあるまい。

「3000回、愛してる」をはじめ名セリフが雨アラレと降り注ぐこの映画だが、モーガンちゃんの「チーズバーガー」はもはや神のお言葉。


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【キャプテン・アメリカの生前退位】

戦いが終わり、トニーの葬儀が終わり、残っているのはインフィニティ・ストーンを元の場所に戻す作業。
スティーヴは6個のストーンを持って量子トンネルから過去へと飛ぶ。 こちらの世界の時間では、ものの数秒の作業である。
親友のサムバッキーが見送る。

「俺がいない間、バカはするなよ」
「バカをするなら、バカがいないとできないだろ?」
バッキーは薄々分かっていたのではないか。 スティーヴが帰ってこない事を。
・・・・・・・
まさに衝撃と言えば衝撃のシーンである。
トニー・スタークはヒーローのままで死ぬことを選択したが、スティーヴ・ロジャースは違う道を選択したのだ。

「成功か失敗か、どっちの顔だ?」
「自分の人生を生きてみたくなった」
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これに関しては、無責任ではないのかとの声も聞かれる。
だが、アッシはこの時に思った。
現上皇陛下が天皇在位時に表明された「生前退位」を。

その命尽きるまで務めを果たさねばならぬ立ち場があるというのは分かる。
だが、それ以外の人生を選べるチャンスがあるなら、そうすべきではないか。
お疲れ様、もう充分ですから次の人生を歩んでくださいという気持ちの方がアッシは強い。

ワンダ・マキシモフサノスに向かって「おまえは私からすべてを奪った」と言う。
両親と弟とヴィジョンを失ったワンダのように、他のヒーローも恩人なり家族なり、誰かを失い、その無念を糧としてヒーローへと成長していった。
両親を亡くしたトニーも、恋人を亡くしたスティーヴも、母や兄を亡くしたソーも、ナターシャを失ったブルースも、キャプテン・マーベルスパイダーマンアントマンも、ヒーローというのは喪失という土壌の上で育つ。

それでもなお傷つきながらヒーローは戦わねばならない。
だが、一人くらいは我々観客も一緒になって開放してやってもいいヒーローがいていいはずだ。
だから、ヒーロー映画としては画期的と言ってもいいこんな締めくくりがあってもいいではないか。
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世のため人のため。 その揺るぎない信念のために我が身を投げ打ち、ひたすら正義のために邁進してきた男、キャプテン・アメリカ=スティーヴ・ロジャース
一歩も引かない理念と行動で、アベンジャーズを束ねてきたヒーローの大黒柱。
友情を重んじ、愛する人を一途に想う彼の生きざまは、令和を迎える我々に昭和の男気を思い起こさせてくれた。
ありがとう、我らがキャップ
 
そしてキャプテン・アメリカの盾はサムの手に。
おお、これもまた「手から手へ」。
「ベストを尽くすよ」
「だから君に託す」

果たせなかったペギー・カーターとの約束のために。
待ち続けるペギーのもとへ。 
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『It's Been A Long Long Time』

 ♪ 私に一度キスして それから私に二回キスして
  それからもう一回キスして
  それはそれは長い、長い時間
  こんなこと感じなかったでしょ、あなたは
  私が覚えていられないくらい時が経ったの
  それはそれは長い、長い時間だった 
 
by Harry James and Kitty Kallen


エンドロールが終わると小さな金属音が鳴っていたね・・・・・
トニーアイアンマンのマーク1を作っている音ですな。

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さて、今後のMCUがどのように展開していくかは定かでないが、何よりも心配なのは、この映画以上の作品などおそらく作れないだろうという危惧である。
無理じゃないのかね。

アメコミヒーロー映画史にその名を刻む永久不滅の傑作。
見事に最期を飾ったマーベルの一時代。
新たな新章は果たしてどんな感動をもたらしてくれるのか。


「賢人のお言葉」
 「私に必要なのは行動すること。 一日一日を偉大な英雄の魂のように不滅のものに私はしたい」
 ミハイル・レールモントフ
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