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他にもこれ観ました  ~12月編(上)
2017年12月22日

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「gifted/ギフテッド」

「アメイジング・スパイダーマン」も良かったかもしれないけど、マーク・ウェブ監督はやっぱりこういうホノボノ系のヒューマン・ドラマの方が合ってるかも。
この映画はなかなか良かったです。
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フロリダの海辺の街でボートの修理をして生計を立てている独身男フランク(クリス・エヴァンス)。
彼は、自殺した姉が産んだ子供を引き取って、片目のネコのフレッドと一緒に暮らしていた。
その7歳になる姪っ子のメアリー(マッケナ・グレイス)は生意気盛りだが、彼女には特別な才能があった。
著名な数学者だった母親の血を引いたのか、娘のメアリーもまた7歳とは思えないほど数学の才能がずば抜けていた。
メアリーの才能に感心した学校の担任教師ボニー(ジェニー・スレイト)は、英才教育を受けれる学校への転向を勧めるが、フランクは亡き姉の遺志を継ぎ、「普通に育てたい」と特別扱いを拒む。

そんな中、フランクとは縁を切ったはずの母親イヴリン(リンゼイ・ダンカン)が現れる。 メアリーにとっては顔も見たことのない“お祖母ちゃん”だ。
イヴリンは、偉大な数学者になれる寸前で世を去った娘の夢を孫娘に託そうとする。
「普通に扱うのは育成の怠慢だわ。 才能は伸ばすべきよ」
我が子のように育ててきたメアリーに「俺たちはいつも一緒だ」と約束してきたフランクにとっては親権を譲る気などもちろんない。
「バカになっても普通に育てばみんなが喜ぶ」
歴史を変えるかもしれない才能を開花させるべきか、それとも愛する者と共に暮らせる平穏な暮らしか・・・
かくしてメアリーの親権をめぐって叔父フランクと祖母イヴリンが法廷で争うことになるのだが・・・
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学問やスポーツ、芸術など、何か一つ特定の分野で特別な才能を発揮する天才児のことを“ギフテッド”と呼びます。
そういう子らを集めて英才教育を施したり、飛び級やクラス分けなど、色んなケースの“ギフテッド教育”はあります。
どっちにせよ、本人が望んでるのかどうかが大事なわけで、あの祖母が、いかにきれいごとを言っても「それは孫じゃなくてアンタが望んでるんでしょ?」と思う訳でして。
それでも裁判所は金持ちの味方。 つれない世の中です。
いやいやいや。 どうしたいか、子供にも意見を聞いたれや。 ダメなんか? 全部大人が決めるんか?
まあ、最後はいい方向に収まりますけど、それよりも自殺した数学者の母親が弟に託した驚愕の秘密が明かされる時、慄然としたものを感じますね。 名誉よりも愛ですわ。

キャプテン・アメリカ以外のクリス・エヴァンスが実に新鮮ですが、祖母役のリンゼイ・ダンカンも素晴らしかったですね。
法廷の証言席でまくし立てる啖呵のシーンが圧巻でした。
        

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「火花」

もう半月前のことになってしまいましたが、「M-1グランプリ」、なかなか盛り上がりましたねえ。
アッシはミキ推しだったんですけど意外にも1票も入りませんでしたね。

ピース又吉の芥川賞受賞で話題になったベストセラー小説の映画化。 監督は板尾さん。
この映画を観ると、芸人さん、それもコンビでやってる人たちを見る目がちょっと変わりますね。
M-1でも毎年4000組以上がエントリーしますから、そのほとんどが「一握り」以外の売れてないコンビでしょう。
売れるまで辞めない、またはもうそろそろ潮時かと、自分の思いと相方との思いもすれ違い、夢と現実を垣間見ながらお笑いの道で闘ってきた人々。
売れなかった人だけでなく、売れた人だって、みんながおそらくは通ってきた葛藤の岐路がこの物語にリアルに描かれています。
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全く芽が出ない若手コンビ「スパークス」のボケ担当・徳永(菅田将暉)は、花火大会の営業で出会った先輩芸人「あほんだら」のボケ担当・神谷(桐谷健太)の奇想天外な芸を見て、弟子入りを志願。
すんなり弟子になった徳永と神谷は毎日のように呑みに出ては、芸について語り合うという交流がしばらく続く。 仕事はほとんどないが。
しかし、いつしか二人の間には意識のずれが生じ始める。
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お笑いというのは、万人にウケないと認められないもの。
自分のやりたいお笑い、自分が面白いと思った芸が通じなかったときに、どこに向かっているのか、何を為すべきか、何をしたいのか。
相方、神谷、そして自分自身を見つめて、もがき倒しながら散っていく徳永。
高見へと目指しながらパッと咲いて消えた花火の残像。 そのスパークした瞬間は美しい。
ラストライブにて、思っていることと反対のことを言う漫才でほとんど絶叫に近い口調でこれまでの気持ちをぶつける徳永の鬼気は一見の価値あり。
「死ね!死ね!死ね!おまえも死ね!お前も死ね! おまえら、みんな大っきらいじゃ!」
同時に菅田将暉という俳優の凄いところをまたひとつ見せつけられる超絶シーンなのであります。
隣の相方・山下役の二丁拳銃・川谷さんのリアクションがまたウルッときますねえ。
        

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「悪魔祓い、聖なる儀式」

主はサタンに言われた。 『おまえはどこから来たのか』 『地を行き巡り、あちらこちらを歩いてきました』
 ヨブ記


世界中に400人以上いるという公式のエクソシスト。
その半数以上がイタリアにいます。 そんなに悪魔憑きが多いんですかね、イタリアって国は。
この映画はシチリア島の教会にいる一人の神父にスポットを当て、悪魔祓いの儀式に初めてカメラが潜入したドキュメンタリーです。
と言ってもですね、観る前から想像していたのとは違いました。
現代の悪魔祓い事情とでもいうのでしょうか、とにかく人は癒しを求めてるのだという、病んだ社会の現実を描いたものになっています。

神父さんの名前はカタルドという人なんですが、冒頭ではそれらしい悪魔祓いの儀式をやってます。
確かに腕の立つエクソシストなんでしょう。 その町にはたった一人のエクソシストなので、毎日のように教会に人がやってきます。
まさに行列のできる教会です。
遠方から来た人が優先のようで、「朝一番に来たのになんでリストの最後なんだよ」と文句を言う人も。
教会の中は人であふれかえっています。 この人たちみんな悪魔祓いに訪れたの?と思いますが、カタルド神父が話を聞きに回ってみると、ほとんどは人生相談みたいなもの。
親子の不仲や健康の不安、子供の引きこもり。
町の人にとっては、それらはみんな悪魔の仕業。
それでも頼られる神父さんは一人一人に一口アドバイス。  大変だよ、この人。
「教会には行ってるか? えっ、行ってない? そりゃダメだ。 信仰心がないのは一番ヤバいんだぞ」 営業トークか?

ビックリしたのは、ケータイで電話かけながら悪魔祓いをしてるところ。
「あ~、シモシモ。 サタンよ、立ち去れー!」
電話の向こうの相手もケータイを耳に当ててるってことでしょ? 悪ふざけではなさそうなんですな。
みんな病んでるのだ。 中には「これはマジなやつ」みたいな症状の人もいるけど。 そして神父に助けを求める。
神父は昔のようなアナログなやり方にこだわらず、現代に沿った形で町の人々を導き癒しを与えている。

        

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「パーティで女の子に話しかけるには」

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督の最新作。
ニール・ゲイマンの短編の映画化で、70年代パンク・カルチャーに彩られたラブ・ファンタジー。
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1977年、ロンドン郊外。
気持ちはパンクスなのにシャイな少年エン(アレックス・シャープ)は、偶然潜り込んだパーティで、ケンカ腰な目つきが魅力な少女ザン(エル・ファニング)と出会う。
セックス・ピストルズやラモーンズなど、パンクの話に食いついてくるザンとたちまち恋に落ちるエン。
だが、二人に許された時間は48時間。
彼女は遠い惑星から来た女の子で、地球を去ると二度と戻ってはこれない。
大人たちが決めたルールに反発した二人は危険な逃避行に出るのだが・・・・
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SFテイストが入ってることは観る前から承知でも、思ってる以上に突飛な展開。
宇宙人たちの衣装を含めた統一感がけっこう変態。
「かぐや姫」を思わせるストーリーながら、体制への反抗というパンクの精神で純愛を語っていて、そこが面白い。
逆に言うと、そこかしこに流れるパンクナンバーやパンクネタなどを除いたら、さほど中身は残っていない。
ほのぼのとしたラストだけど、「ファンタスティック・ビースト」とかぶってません?
        

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「リュミエール!」

映画を発明したのは「キネマトスコープ」のエジソンではありません。
あれは覗き穴式の一台で一人しか観れないものでした。
それを映写式にしたのがルイとオーギュストのリュミエール兄弟の「シネマトグラフ」で、これにより“映画発明”の栄誉を得たのはこの兄弟ということになります。

1895年に「シネマトグラフ」が生まれて120年以上。
フランスのリヨンにあった「リュミエール社」が製作した1422本の中から108本を厳選し、4Kデジタル復元された貴重な映像の数々が拝見できる映画ファン垂涎のドキュメンタリー。

「映画検定」に挑戦された方なら参考書籍で勉強した、「世界最初の実写映画・『工場の出口』」のことは御存じでしょう。
それが観れます。 いや、YouTubeでも観れますけどね。 そこはあなた、世界最初の映画は映画館で観ないとね。
他にも『列車の到着』。 これも有名ですね。

どれもこれも観てたら「これは貴重じゃわい」と声が出そうなほどのレア映像のオンパレード。 それが108本。
一本につき時間は50秒程度。
内容は何てことない映像ばかりかもしれませんが、観てて全然飽きない。
当時の風景、人の服装、おそらく初めて目にしたであろう“カメラ”という物に対する人々のリアクションなども新鮮ですが、構図や遠近法、空間の捉え方など、映画的な要素がふんだん。
手法は定点撮影。 撮影時間も50秒ぐらいしか回せない。 モノクロ。 無音。
それなのに、今にも音や声が聞こえてきそうな臨場感と、被写体の動きの躍動感。 これが120年前に撮られたというのも凄い。

映画をこの世にもたらした偉大なる兄弟。
映画ファンとして、リュミエール兄弟に感謝のあまり、言葉もございません。
        

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「光」

5月に公開された河瀬直美監督作品と同じタイトルの映画。
せめて副題とか付けれなかったの?
こちらは三浦しをんのサスペンス小説の映画化で、監督は「セトウツミ」の大森立嗣。
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東京の離島・美浜島で暮らしている14歳の黒田信之、同級生の美花。 そして信之を慕っていつもついてくる10歳の少年、輔〔たすく〕。
信之は輔が父親にいつも虐待されてるのを気の毒に思いながらも、自分の周りにいたがる輔を疎ましくも思っていた。

美花の両親はバンガローを経営しているのだが、ある日信之は森の中で美花がバンガローの宿泊客にレイプされているのを目撃する。
激昂する信之に、男は合意の上だと弁解するが、美花が(殺して・・・)とつぶやいたのをきっかけに、信之は怒りの勢いそのまままに男を殺してしまう。
その事件の一部始終を目撃し、男の遺体の写真を撮る輔。
その後、島を津波が襲い、信之、美花、輔の3人は家族も故郷もすべて失った。

それから25年の時が流れ・・・・
都会で市役所勤めをしている信之(井浦新)は南海子(橋本マナミ)という女性と結婚し、幼い娘と共に団地で暮らしていたが、いつも胸の内には25年前の出来事以来芽生えた狂気がくすぶり続け、それを抑えようと自分の心を殺していた。
毎日が死んだような日々・・・ 自分が仕事に出かけた後、妻は別の男と会ってることも彼は知っている・・・・

そんな信之の前に25年ぶりに幼なじみの輔(瑛太)が姿を見せる。
今は溶接工として働く輔もまたあの時の出来事以来、ねじれた狂気を秘めていた。
大人になっても信之に執着し、彼の気を引こうとして信之の妻・南海子に近づいて情事を重ねていた。

ほどなくして輔の前に津波を生き延びた父・洋一(平田満)が現れる。
昔のように輔に暴力を振いながら、美浜島で起きた殺人事件のことを嗅ぎつけ、輔を脅す洋一。
父の呪縛から逃れようと輔は、信之を脅し、さらに今は女優として活躍している美花にも、あの時の写真を送りつけ脅迫する。
信之は今も美花のためなら何でもできる。 抑えつけてきた狂気は爆発寸前だった・・・・
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暴力に囚われた狂気の中で特殊な関係を築いていた3人の男女が、四半世紀を経て再び野獣性をあらわにし、暴力に支配された悲劇へとつながっていく。
救い難い展開へと容赦なく転がり落ちていくデモニッシュなサスペンスで、それなりに見ごたえはあるんですが、一方ではどうにもハマらない感覚が同時にあり、非常に惜しいというか微妙な作品です。
それぞれの人物の心理にはまるで共感できないのはしょうがないとしても、そこを補うためなのか、いちいちくどいセリフが気になってしょうがなかったですね。
昭和臭とまではいかずとも、トーンが全体に安っぽくなってしまってます。
あとは、これは物議を醸すだろうなと感じたのが、ジョン・ミルズのテクノ・ミュージックですね。
なぜ、その音楽? 静かな森林の絵をバックにあの大音量。 ヤンキーの車か?
狂気の表現という狙いは分からなくもないけど。
        

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「否定と肯定」

2000年、イギリスにて世界が注目する裁判が行われました。
「ナチスによるユダヤ人の大量虐殺の事実などない。 ホロコーストはねつ造だ」と訴える歴史家デイヴィッド・アーヴィング。
その暴論を看過できなかったアメリカのユダヤ人女性歴史学者デボラ・E・リップシュタットは著書や講演などでアーヴィングの「ホロコースト否定論」を非難していました。
するとアーヴィングがリップシュタットを名誉棄損で訴えたのです。

これ、普通なら「私の言動のどこが名誉棄損ですか?私、なにか間違ったこと言ってます? 逆にあなたの言い分のどこが正しいのか証明してごらんあそばせ」となります。
しかし。 イギリスの司法制度は訴える側ではなく、訴えられた側に立証責任があるのです。
「おいオバチャンよ。 ワシのことをペテン師呼ばわりするんだったら、ホロコーストはあったということを証明して見せたれや」と、なるわけです。
ホロコーストの史実は世界の誰もが知るところですが、今さら「あった」という当たり前のことを具体的に証明しろとなると厄介な話です。
否定論者の言い分も、屁理屈とは言え、ストレートに聞けば説得力がまるでないとも言い切れないのです。
そこを崩さなければなりません。 逃げたり負けたりすれば、この先「ホロコーストなど嘘だ」という輩に文句が言えなくなるのです。

こうしてリップシュタットはイギリス人による大弁護団を組織し、ホロコーストを証明する裁判に臨んだのでした。
レイチェル・ワイズがリップシュタット女史を演じ、アーヴィング役をティモシー・スポール(この人、やせたねえ)が演じ、老獪な弁護士ランプトンにトム・ウィルキンソンが扮してます。

裁判ではホロコーストの証明というよりは、どうせ反論するだろうから、その反論に対する反論で、アーヴィングの主張の矛盾を突き、彼の差別主義者の人格を引きずり出して裁判を有利に進める作戦に出るのですが・・・
訴えられた側に立証責任があるという制度も「?」ですが、裁判長が「反ユダヤ主義が信念のもとによる発言なら、彼を嘘つきとは非難できない」と言い出すところもズッコケそうになりましたね。
法廷劇のセリフは全部、公式に残されているものと同じです。 本当にこんなことを言ったんですね。 裁判長、テンパっておかしくなったんでしょうか。

面白い映画ではありましたが、やっぱり奇妙な裁判です。
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