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女神の見えざる手
2017年11月19日

T0022322p.jpg石原慎太郎が東京都知事だった時に始まったオリンピックの招致活動。
この頃から「ロビー活動」という言葉がメディアで盛んに聞かれるようになった。

「ロビー活動」とは特定の主張を持った個人や団体が政府の政策決定に影響を及ぼすために、政党や議員に働きかける私的な政治活動のことを言う。

アメリカの政界では特に盛んで、製薬業界、建築業界、銃器産業にかかわる政策決定にはロビイストの活動が大きな影響を及ぼしている。
アメリカの政治プロセスには当たり前にあるシステムで、ホワイトハウスの北側にあるKストリートにはロビイストの会社がズラリと軒を連ねており、ロビイスト屋さんの秋葉原状態になっている。

接待や根回し、コネ作りなどには日本人的には今ひとつよくないイメージがあるが、国が動く裏には欠かせない仕事である。
世界は、人脈を築くことはもちろんのこと、つぶすことでも成り立つ。
そんな政治の裏側で驚愕の寝技を繰り出す一人の女性ロビイストの姿を描く「女神の見えざる手」。
「恋におちたシェイクスピア」、「マリーゴールド・ホテル」シリーズのジョン・マッデン監督が放つポリティカル・サスペンス。


入院回顧雑話(フィクション)PART2
アッシが耳の病気で入院し、早や一週間以上が経過した。
術後の状態も良く、退院の日もそう遠くはない。
それでも映画を観れないというウズウズ感は一向に収まらず、このままでは別の病気になりそうである。


「先生、退院はいつ頃になりそうですかね?」
「病室でホイットニー・ヒューストンを激唱しなければ早く帰れるよ」
「その節は失礼しましたね」
「まったくだ。 真面目な話、退院はあと2~3日ってところかな」
「そう言わず明日にでも」
「うん、いいよって私が言うと思うかね」
「思いますけど」 「思うなよ。2~3日ぐらい我慢しろよ」
「そこをなんとか」
「なんとかできるんだったら医者はいらんよ」
「うちにある取って置きのアダルトDVDを何本か差し上げますよ」
「けっこう」
「かわいいネーチャンがいるお店を紹介しまっせ~」
「何者だ君は。 まるでロビイストみたいだな」
「はい、キタ――――――!!!!」
「ビックリするだろ。 病院の中で大声を出すんじゃない」
「ここに入院する前にロビイストが主人公の映画を観たんですよ」
「そこにつながるのか」
「面白い映画でしたよ。 どんな話か聞きたいです?」
「私の顔を見てみろ。 “忙しい”って顔に書いてあるだろ」
「“私は日本一の名医”って読めますけど」
「・・・・まあいい。 ちょっとぐらいなら付き合おう」

「国の行く末さえ左右するロビイスト。 もちろんロビー専門の会社の組織力もあるのでしょうが、行きつくところは「人対人」ですから、ロビイスト個人の力量が優れていなければなりません。 この映画に登場する女性ロビイストはハンパではない凄腕の持ち主です」
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エリザベス・スローン(ジェシカ・チャスティン)
大手のロビー会社「コール=クラヴィッツ&ウォーターマン」に所属するエース・ロビイスト。
クライアントの要望に応えるためには仕事に一切の妥協をせず、常に完ぺきを追求するロビイングの鬼女。
目的のためには手段を選ばす、彼女の手にかかればどんな有力者も首を縦に振る。
業界内だけでなく政治家たちからも一目置かれ、メディアも注目する凄腕の仕事人である。

★信念にそぐわない仕事はしない
保身のためには踏み絵も踏むという民進党議員のようなユルユルの理念など持ち合わせてはいない。
金にも地位にも固執せず、自分自身のイデオロギーを貫く、雇われ根性などこれっぽっちもない真のプロフェッショナル。

★勝つためには利用できるものは何でも利用する
人の心を動かす、それも政治に関わることならば生半可なやり方は通用しない。
世論を揺さぶるためなら部下のプライバシーまでも武器にする非情の寝技使いである。

★自費で諜報チームを外注
生き馬の目を抜く世界を知る彼女は、自分以外の人間は疑うところから始まる。
稼ぎの中から自腹を切って、盗撮・盗聴などお手の物の裏方さんを秘かに雇っている。

★筋金入りの負けず嫌いで超激情型
基本、他人は自分より下という考え方。 意見されたり否定されたりすれば相手が誰だろうと黙っていられないタイプですぐに激高する。
その反動なのか、クールダウンした時の知力の切れは底知れない。

★ファッションは世界と渡り合うための武装
おそらく年収は100万ドル以上。 自分で買い物はせずにパーソナルショッパーが買い付けてくれる服を着用。
サンローラン、ヴィクトリア・ベッカムのスーツやドレス。 アクセサリーはピアジェを好む。

★寝るヒマがあるなら仕事
ロビー活動のためには寸暇も惜しむ。 寝てる時間がもったいないので強力な眠気止めの薬を常用し、パーティーに顔を出しまくっては根回しに奔走する。

★かりそめの私生活
友人も恋人もいない。 性欲はエスコート・サービスで処理。  
晩飯は深夜もやってるヌードルショップでチャッチャと済ます。

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「ロビー活動に人生を捧げてるような女だなあ」
「もちろん実際にはこんな極端なロビイストはいませんがね」
「だろうな」
「なので、この映画は「ロビー活動ってどんなの?」とか、ロビイストの実態とかについて学べるものではありません。 こんなダークヒロインですから敵もできてしまうので、自分を窮地に陥れようとする相手に彼女がどう立ち向かうかを描く、特殊なキャラクターによるサスペンス映画です」
「なるほど。 でも、聞いてるとイヤな女だなあ。 これが悪役じゃないのかあ」
「そうですね。  そこが面白いっちゃあ面白いですがね。 仕事は熱心ですけど、金や地位を欲しがるわけでなく、それでいて徹底的に他人を利用しまくるんですからね」
「孤独だな。 敵だらけになる、そういう生き方は」

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「映画はエリザベスが過去の不正を問われて聴聞会にかけられる〔現在〕のシーンから始まり、その3ヶ月前の〔過去〕のシーンを行き来しながら展開します」
「ややこしそうだが」
「これがですね、クライマックスのどんでん返しのための伏線を生かす絶妙な効果を生んでるんです」
「ほぉ、どんでん返しがあるんだ」
「策士のヒロインですからね。 彼女の仕掛ける罠は侮れませんよ」
「この聴聞会で彼女が責められてるのは、一体何をやらかしたんだ?」
「“ヌテラ法”というパーム油にかかる税金の法律があるんですが、この法律制定のためにインドネシアを視察した議員に彼女が経費を負担したというのが贈賄にあたるのではと問われてるんです」
「それは敵にハメられた濡れ衣とか?」
「いえ違います。 本当にやらかしてしまったんです」
「なんだよそれ。 ガチの悪女じゃないか」
「まあ目的のためには色々とやってきた人ですからね。 でもこの聴聞会もちょっとした裏があるんですよ」
「ハハァン、そこがどんでん返しにつながるのか」

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「聴聞会から遡ること3ヶ月前。 エリザベスの勤めるコール=クラヴィッツ&ウォーターマン社(CK&W)に銃擁護派団体の代表、ビル・サンドフォードが仕事を依頼してきます。 政府で新たな銃規制法案が審議されているんですが、なんとか廃案に持ち込んでくれというものです」
「いきなりアメリカらしい話だな。 銃を規制するか銃所持の自由を認めるかは未だにもめてるからな」
「どれだけ銃乱射事件があったって、それとこれとは別という考え方の国ですからね」
「銃擁護派にすればそりゃ規制法なんてたまったもんじゃないわな。 別にやり手のロビイストに頼まなくったって、銃規制法なんてのは議会を通過せんのがアメリカじゃないのか」
「このサンドフォードというオヤジはですね、女性の銃所持をもっと推進させたいんですね。 女性が護身用として銃を気軽に購入できるようにしたいという点を女性のロビイストが訴えてくれたら説得力もあるし、銃購入者の前科をチェックするという新法案に対する反対票が増やせるという目算です」
「必死だなあ」
「ところがエリザベスはこの依頼を断るんです」
「おおっ」
「黙って話を聞いてたエリザベスですが、突然大爆笑しながら『陳腐な発想ねえ』とサンドフォードをけなすのです。 目の前にいる上司も面喰うしかありません」
「なるほど、彼女は個人的には銃規制に賛成なんだな」
「そうなんです。 引き受ければ会社にも自分にも見返りは大きいでしょう。 しかしエリザベスにとっては銃規制に反対するなんてのは自分の信念を曲げることになり、仕事を受ける選択など有り得ないのです」
「でも会社に雇われてるんだからなあ・・・」
「上司のジョージ・デュポン(サム・ウォーターストーン)はもちろんブチ切れます」
『要求に応じられないのなら君にいてもらう必要はない』
「そりゃそうなるよ」

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「そんな彼女に接近してきたのが小規模のロビー会社『ピーターソン=ワイアット』のCEOロドルフォ・シュミット(マーク・ストロング)です」
「ナンパとはいい度胸だ。 『ゲーハーはアッチの方も強いんだぜ~』とか言いながら」
「違いますよ。 ヘッド・ハンティングですよ」
「髪が欲しいのか? もう手遅れだぞ」
「ちーがーうーだーろー!」
「分かっとるよ。 この男のロビー会社は銃規制賛成派議員を支援する会社ってことか」
「シュミットも長年にわたって銃規制問題のロビー活動を続けてきた男です。 『私と一緒に闘おうじゃないか』と条件も提示してエリザベスを誘います」
「まあ、この姐さんだから、そう易々と尻尾は振らんだろう」
「でも、上司もクライアントも怒らせたので、どのみち会社には居られませんでしょうし」

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「エリザベスは会社に出てきて、この時に例のインドネシアを視察する議員の宿の手配をします。 若い部下から『倫理規定違反では?』と言われても強引に処理させるんです」
「それが後々、彼女が足元をすくわれることになるのか」
「彼女と同世代の同僚であるコナーズ(マイケル・スタールバーグ)がチョコマフィンをかじりながら、サンドフォードを怒らせたエリザベスを『バカか?』と罵倒します」
「尻ぬぐいさせられたんだろうなあ」
「ところで先生。 朝食にケーキを食べるってどうなんですかね?」
「いきなり何だ? ダメに決まってるだろ。 朝の空腹時に食べる時が一番血糖値が上がるんだよ。 甘いもんなんか食べたら尚更大量にインスリンが分泌されて、消費できなかった糖が脂肪となって蓄積されてしまうんだ」
「エリザベスに言わせれば『朝食にケーキを食べる文明人はいない』んだそうです」
「いいことを言うじゃないか。 ああ、コナーズが朝からチョコマフィンを食ってたからか」
「ついでに言いますと。 コナーズは『マフィンはケーキじゃない』と言うんですが、『ケーキと同じ材料だからマフィンはケーキ』なのだとエリザベスは仰ってました」
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「で、そんなやりとりの直後、彼女はスタッフ全員の前で『会社辞めます宣言』します」
「決めちゃったか」
『信念を曲げてまで仕事はできない』と、この会社が銃規制法案を廃案に持ち込もうとするのを阻止するために別の会社に移籍することを表明」
「宣戦布告か・・・」
「そして今まで共に仕事をしてきたスタッフに『私についてくる人は?』と呼びかけて、半分の4人が同調」
「物々しい展開だな」
「しかし、エリザベスが最も信頼していたジェーン(アリソン・ピル)はこれを拒否し、会社に残ることを告げるのです」
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「んちゃっ!んちゃっ!」
「いや確かにアラレちゃんメガネですけども」
「大人しそうな子じゃないか。 こんな子があのエリザベス・スローンに反旗を翻すのか」
「こう見えて、デキる子なんですよ、このジェーンって御方は」
「エリザベスの右腕的存在だったのは伊達じゃないんだな」
「自分をあまり主張しないようなキャラに見えるんですが」
「内心ためてることもあったのかな? 信頼していた部下に裏切られて、さぞエリザベスはショックなんだろうね」
「いや実はですね。 彼女が本当に"デキる部下"なんだということが、のちに分かるのです」
「なんだよそれ?」
「さあ、なんでしょう?」
「教えなさいよ」
「じゃあ明日退院ということで」
「それはダメだ」

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「4人の部下と共に『ピーターソン=ワイアット』(PW社)に移ったエリザベスは闘志満々です」
「敵に回すことになった古巣はプライドもあるからな。 相当なことを仕掛けてくるぞ」
「前の会社の「CK&W」は大きいし、資金力もありますからね。 銃規制法案に賛成か反対かを決めかねている議員の票の奪い合いは、一進一退の攻防となります」
「ロビイストの本気が見られるわけだ」
「“働きかけ”なんて言葉は生ぬるいぐらい。 法的にアウトかスレスレのような圧力や揺さぶりが横行し、息子が選挙に出馬する予定の議員さんは両方から翻弄されまくります」
「親族を責められたら弱いわな」
『息子の選挙区に強力な対抗馬を立てちゃろうかえ?』なんて言われたら、言うこと聞かなしょうがねえっすよね」
「ほとんどヤーサンの世界だな」
「しかも「CK&W」はなんと『PW社』のスタッフ一人を買収してスパイに仕立てあげます。 ブロンドの美人なんですけどね」
「票の取り合いと言うより、互いをつぶそうとする企業間戦争か。 いやもうそれ以上か」
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「エリザベスは個人で盗撮や盗聴専門の諜報グループを自費で雇っています。 そこからの情報でつかんだ社内の裏切り者をみんなの前で暴露してクビにするのです」
「敵もさる者だが、エリザベスも相当なタマだな。 つまり最初からスタッフ全員を疑って身辺を探らせてたんだろう」
「まあ銃規制法案を通すための戦いとなると、仁義を通すことなど二の次。 それだけアメリカの銃信奉はとてつもなくガードが固いですからね。 彼女が『今までが手ぬるすぎたのよ』というのは当たってますね」
「地方じゃ銃規制に賛成したら民主党議員でも落選するって言うからな。 今やアメリカはタバコ吸ってる人より、銃を持ってる人の数の方が多いからね」
「そういう社会を変えようとするエリザベスですが、それでも彼女のやり方はエグいのです。 一番のとばっちりを受けるのが同僚のエズメさんです」
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「エリザベスの新たな右腕となった部下のエズメ・マヌチャリアン(ググ・バサ=ロー)は、高校時代に銃乱射事件に巻き込まれて生き延びた過去を背負っています。 エリザベス以外誰にも言っていないトラウマです」
「過去に苦しみながらも、この仕事に打ち込むエズメの気持ちに応えようとするエリザベス。 いい所があるじゃないか」
「甘い。 甘いな先生は。 開運堂の真味糖よりも甘い」
「あのお菓子は甘いからなあ」
「そうではなくて。 言ったでしょ、他人を利用するのがエリザベスという女なのですよ」
「聞きたくない話だな」
「エリザベスはテレビ番組でかつての同僚コナーズと討論をするのですが、エズメも一緒に来ていて離れた所から見学していました。 コナーズとの討論が白熱化してきた時、エリザベスはエズメの過去のことを喋るのです」
「やりやがったな」
「人が隠してきたトラウマを利用して同情を誘うやり方、しかも見学していたエズメにテレビカメラを向けさせて、彼女を「顔」としてメディアや世間の前に引っ張り出すのです」
「それは汚い。 エズメをかわいがったのは最初からその作戦が目的だったわけだ」
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「エズメも相当戸惑いますが、このやり方で効果があるならと渋々悲劇の主人公としてテレビなどに顔を出すようになります。 ただ、エリザベスに当初抱いていた尊敬はこれっぽっちもなくなっていますが」
「そりゃそうだろうよ」
「エリザベスの狙い通りに世論は銃規制法案賛成に傾きます」
「そりゃ良かったな。 人の心の傷口をさらしものにして満足か」
「でもその後、エリザベスでさえも予測できなかった事態が起こります。 エズメが銃を持った男に襲われたのです」
「そりゃ大変だ」
「その男は銃規制に反対していて、たびたびメディアに出て銃規制を訴えるエズメを懲らしめてやるつもりだったようです。男は夜の街角でエズメにいきなり銃を突きつけ、そのまま撃ち殺しそうな勢いでした」
「彼女はどうなったんだ?」
「幸い無傷でした。 というのも、その暴漢は、事件に気づいた通りがかりの男に射殺されたのです」
「なんとまあ。 ザ・アメリカだな」
「つまりエズメはですね。 銃によって救われたということです。 通りがかりのフランク・マッギルという男が正規に登録された銃所持者であり、とっさの事態に銃を抜いて、エズメを殺そうとしている男を射殺しなければ、今頃はエズメの方が死んでいたかもしれません」
「ややこしいことになってきたな」
「この事件により、エズメを救ったマッギルという男性がヒーローのように扱われ、「銃はやはり護身用として持つべきだ」、「女性も気軽に銃を購入できるようにしよう」という銃規制反対派にとって絶好の風向きに変わってしまうのです」
「エリザベスには誤算だったな」
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「CK&W社は手をゆるめません。 法案賛成のロビー活動の先頭に立ってたエリザベス自身の個人攻撃に乗り出すのです」
「スキャンダルをばらまこうってのか」
「目的のためにはどんな手でも使うエリザベスですから、叩けば必ずホコリが出るはずだと睨んだデュポンの指示のもと、かつて彼女の右腕だったジェーンがエリザベスの泣きどころを見つけ出します」
「ああ、それが例のインドネシアに視察に行った議員の旅行費用を負担した贈収賄疑惑だな」
「そういうわけで、エリザベスのロビイスト資格違反を問う聴聞会が開かれるのです」
「絶体絶命だな。 ってか身から出たサビだな」

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「聴聞会の委員長を務めるのがスパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)です」
「はりきってジコチュー女を裁いてやってください」
「実はこの議員さんはですね、CK&Wのジョージ・デュポンに買収されています」
「なんだって?」
「元は銃規制法案には賛成の人だったんですが、デュポンに圧力をかけられ、聴聞会でエリザベスを徹底的に吊るしあげる約束をさせられているのです」
「それじゃ話が変わってくる。 まったくどいつもこいつも・・・」
「インドネシアの件だけでなく、ドラッグの乱用、男を買っているという公序良俗を犯したことなど、あらゆる角度からエリザベスを追い込んでいきます」

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「弁護士との打ち合わせにより、何を聴かれてもエリザベスは『憲法修正第五条により、弁護士の助言に従い、答えることを拒否します』を連呼します」
「逃げの一手か。 彼女には不本意だろうが」
「そうですね。 だから彼女はやっぱり黙ってられないんです。 痛いところをついたら激高する性格だということも把握されていて、委員長の思惑どおりに挑発にキレてしまいます」
「年貢の納め時だな」
「ところがですね。 この聴聞会に臨むエリザベスはとんでもない“爆弾”を持っていたのです」
「そこだよ、気になるのは」

『ロビー活動は予見すること。 敵の不意を突くことが大事。自分が突かれてはいけない』
「彼女のモットーが示すように、敵がどう動くかを読み、仕掛けた策がズバリとハマる。 あまりに周到な彼女の“見えざる手”はいつから動いていたのか。 一気に形勢逆転するシーンのカタルシスはなかなか爽快です」

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「この映画には、さして教訓めいたものはないんですけど、一にも二にも突出したキャラクターの面白さで見せる映画ですね」
「大出世するか、犯罪者になるかの紙一重。 それも女性ってのが魅力」
「そんなダークヒロインが国を左右する闘いに身を投じる話です。 確かに実際にいたら絶対に好きにはなれない人でしょうが、自分の信念のためには会社も辞めて正義を貫くその姿には、我々一介のサラリーマンにはうらやましいバイタリティを感じますね」
「日本じゃ感覚的には銃規制賛成の目線で観てしまうけど、アメリカではどんな反応だったんだろう?」
「おおむね肯定的な評価ですけど、ストーリー自体銃の問題に深く言及してるわけではないですからね」
「どんなに乱射事件があっても一緒だからな。 だからこそ自衛のために銃を持ちたいという悪い方向へと行ってしまってるのは否めない」
「まあそれはそれとして、なんといってもエリザベス・スローンを演じたジェシカ・チャスティンという女優の凄味をまざまざと見せつけられました」
「ジェシカ・チャスティンといえば、フェミニストであることでも有名だな」
「いろんなところでズバズバ発言してるので、常に何かと闘ってる印象を受けるジェシカ・チャスティンそのままの役柄のようにも見えますね」

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「よぉよぉ、お二人さん。 そろそろミーに気づいてくれてもいいんじゃないのかな」
「おい、そこはアッシのベッドだぞ」
「なんだ君は。 いつからそこにいたんだ。 見たことのない入院患者だな」
「残念なことにミーは病人じゃない。 ましてや医師でもないし看護師でもないんだなあこれが」
「まるでMen's Healthの表紙から抜け出てきたような・・・」
「当たらずといえども遠からず。 ハズレといえども近からず」
「何を言っとるんだこいつ」
「先生、彼はですね、エリザベス・スローンが性処理で利用しているエスコートサービスの男、ロバート・フォード(ジェイク・レイシー)です」
「メンズのデリヘルがなんでうちの病室のベッドで、ひと仕事終わったような格好で寝てるんだよ」
「ミーだってストーリーの中でチィとばかし活躍したんだぜ~い」
「そうでした。 聴聞会でエリザベスが私生活で男を買ってることを追求され、証人として彼が呼ばれたんです」
「呼ばれちゃったんだよなあこれが」
「チャリティーパーティーでエリザベスにバッタリと出会った時に他人のフリをされたのを根に持ってるんじゃないかと思ってましたがね」
「ミーはそんなヒップの穴が小さい男じゃないね。 お互いに世を忍ぶ関係なのに気安く人前で声をかけてしまったミーが悪い子なのさ。 ロバート君、反省の巻」
「だからあの証言?」
「それもあるけど、色々言われてても彼女は孤独な人なのさ。 周りには強い女のように見せててもミーは誰も知らない彼女の孤独な一面を見てきたのさ。 それでも彼女は聴聞会で弱音を吐くことなく窮地に立ち向かっている。 そんな彼女の力になってやろうと思わなきゃ男がすたるってもんじゃないかい」
「いいところあるじゃないか」
「ミーだってこんな仕事をしててもプロのはしくれさ。 他人のプライバシーを針でつつくようなクズどもに加担したら、仕事どころか男を廃業しなきゃなりませんっての」
「なんだこの感動は。 同じ男として惚れるじゃないか」
「先生よ、あいにくミーはカマを掘るサービスは受け付けておりません。 それよりも、ミーは今気がついたんだがエリザベスを救う証言をしたのはこれは恋のせいかもしれない。 これでは仕事を続けられない。 この恋の病を先生の腕で何とか治療してほしいのでさっそく入院希望宣言ときたもんだなこれが」
「そう言われても」
「先生、ベッドが空いてないんじゃ?」
「そうだ。 君ね、退院したまえ」 「へ?」
「映画観たいんだろ? おお観ろ観ろ。 退院おめでとうさん」

というわけで、アッシは病院を追い出さ・・・いや、めでたく退院したのだった。

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「おめでとちゃん。 お大事にね」


「賢人のお言葉」
 
「微笑む時、彼女はヴィーナス。 だが歩く時、彼女はジュノー。 そして喋る時、彼女はミネルヴァ」
 ベン・ジョンソン
(17世紀の英国の詩人)
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