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スパイダーマン:ホームカミング
2017年08月30日

T0020954p.jpg メディアの世界に“大人の事情”は付き物とはいえ、『アメイジング・スパイダーマン』は何だったんじゃ?という思いがいまだに強い。

「1」、「2」を通じて確かに興行成績はサム・ライミ版と比べると今ひとつだった。 ここらへんはスタジオの思惑とは違ったのだろう。
ストーリーが弱いことも言われていたけど、そんなことはないとアッシは思うが。

それでも元々4作まで企画され、「3」はマーク・ウェブの監督続投が発表されていたし、アンドリュー・ガーフィールドもやる気パンパンだったのだ。
殊のほか契約社会であるアメリカならば、決めたことは最後までやりそうなもんだが、そこはやっぱりハリウッドである。

何と言ってもスパイダーマンの映画化権を単独で持っていたソニー・ピクチャーズがマーベル・スタジオと提携することになったことが大きい。
これにより、マーベルが展開していた「マーベル・シネマティック・ユニバース」の世界観を共有してスパイダーマンを描くことが可能になった訳だから、「アメイジング」でサム・ライミ版を超えるほどのストーリー展開に限界を感じたソニーがこれに飛びつくのは当然。

ソニーの映画であることはそのままで、スパイダーマンアイアンマンキャプテン・アメリカを登場させることも可能になった。 こんなウマい話はない。
かくして、近年よく見かける「内容は予告なく中止・変更されることがございますのでご了承ください」の断り書きをそのまんま実行するがごとく、「アメイジング」のシリーズ続行は白紙になるという、ハリウッドの“大人の事情”がシビアに発動されたのだ。
Captain-America-Civil-War-Spider-Man-Shield-Official_0_0.jpg
そして昨年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でさっそくゲストで登場。
これを下敷きにし、ピーター・パーカーが能力を身につけた経緯やベンおじさんの描写などを完全に端折った構成で始まる、新たなスパイダーマン・シリーズの第1弾。
ピーター・パーカー役には「白鯨との闘い」のイギリス俳優トム・ホランドが抜擢された。
正直、第一印象としては「線が細くないか?」と感じたが、まあ慣れてはくるだろう。
だが彼は意外なことに脱いだらスゴいマッスル・ボーイ。 運動神経バツグン芸人でもある。

そんな新生スパイダーマンだが、基本はピーターがヒーローとしての自覚に目覚めていくオリジン・ストーリーに忠実。
サブタイトルの「ホームカミング」とはアメリカの高校や大学で年一回、卒業生も招かれて行われるパーティーで同窓会のようなもの。
直訳すれば「帰郷」だが、これはスパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバースに帰ってきたことと、ピーター・パーカーがヒーローとして生きていく場所に辿り着く物語であることを示唆している。

Tom-Holland-Spider-Man-Homecoming.jpg
「ふ~ん、そうなんだってさ、ピーター。 ねえ聞いてる?」
「えっ、聞いてる聞いてる。 ブルゾンちえみがマラソン走ってんだろ?」
「ちげえよ。 全然聞いてねえじゃんよ。 おまえの映画のこと言ってんだぞ」
「ご好評をいただいているようで、感謝申し上げます」
「ところでさあ、スパイダーマンって、手首からクモの糸出せるんじゃなかったっけ? なんか今度は違うよね?」
「あれはサム・ライミ版だけの設定さ。 “アメイジング”もそうだったけど原作通りにスパイダー・ウェブは複数の薬品を混ぜて作る自家製の液体接着剤なのさ」
「俺もあんなカッコいい武器を出してえなあ」
「出せるよ。 チンチンこすってごらんよ。 白いのがピュッと出るから」
「やめろよ、そんなシモネタ言うのはよぉ」
「そういうこと言いたくなる時もあるってこと」
「ああそうか、リズとの恋は叶わなかったからな。 でもミシェルがいるじゃん。 おまえ、ほんとモテモテだなあ」
「彼女、自分で“MJって呼ばれてる”って言ってたよな。」
「そうそう。 俺もあれはちょっと引っかかった。 MJってメリー・ジェーンだよな、前までは。 今度からミシェル・ジョーンズをMJの設定にするってこと?」
「あれはオマージュみたいな遊び心じゃないのかな。 僕にも分かんねえよ」
「ミシェルもリズもアフリカ系、それに俺はアジア系で、今回のキャスティングは人種の多様性が見られたよね。 これって凄いことじゃね?」
「そうだね。 コミックではね、戦死したピーター・パーカーの遺志を継いだ黒人少年マイルズ・モラレスがスパイダーマンになるパラレルワールドがあるんだけど、映画ではそのマイルズ少年のおじさんであるアーロン・デイヴィスというキャラクターを中盤でチラッと登場させているね」
「今なにかともめている白人至上主義への物言いなのかなあ?」
「偶然だけどちょっとタイムリーではあるね。 いずれにしても“親愛なる隣人”であるスパイダーマンは人種を分け隔てることはしない。 この作品はアンチ・レイシズムを宣言してると言ってもいいね」


Spiderman20Homecoming20Primer20Tráiler6 
「お帰りパーター・ピーカー、学校は楽しかったかな?」
「ピーター・パーカーですけど」
「どっちでもいいだろ」
「いいこたないですけど」
「その後はどうだ? ニューヨークの犯罪撲滅に精を出しているか? エロ動画見ながらパンツに漏らす精のことを言ってるんじゃないぞ」
「エグいシモネタは勘弁して下さいよ」
「まあくれぐれも無理はするなよ。 ヒーローの心構えはあくまでも人を守ること。 敵を倒す目的は二の次だ。 無関係な人々を巻き込むことほどクズなことはないぞ」
「分かってますって」
「いいかよく聞け、ピーカー・パーター」
「ピーター・パーカーですけど」
「どっちでもいいだろ」
「困りますって」
「私もアベンジャーズで嫌というほど、ヒーローに求められる覚悟についてずいぶん葛藤した経験があるからな。 だからこれだけ口を酸っぱくして言ってるのだ。 そこんとこを分かってくれよ」
「承知してます。 僕もヴァルチャーとの戦いでいい勉強になりました。 やっぱりスタークさんは最高の師匠です。 いや、むしろ父親だと思っています」
「おいおいおいおい。 私とメイおばさんとの間には何もないぞ。 なんだったらDNA鑑定してもいいぞ」
「なんにも言ってないじゃないっすか」
「冗談だよ、ピーパー・ターカー」
「ピーター・パーカーですけど」
「ややこしいな、君の名前は」
「初めて言われましたよ」
「それはそうと、アイアン・スパイダーのスーツは本当に君は要らないんだな?」
「はい、もちろん要りません」
「あれ作るのに100億ぐらいかかってんだけどなあ。 もったいないなあ」

「そう言われても。 うちにも置いておく場所がないし」
「ヤフオク出したらスゲー値がつくだろうな」
「マジッすか?」
「売ったらタダじゃおかんぞ」
「なんなんすか」


captain-america-spider-man-homecoming-987046.jpg 
「オイッス! キャプテン・アメリカだ。 今日も私と楽しく勉強しよう」
「キャプテンさんが出てる教材ビデオだな」
「やあピーター、元気そうだな」
「あれっ? 僕に話しかけてんの? どうなってんだ、このビデオ」
「深く考えるな、ピーター。 細かいことを気にしたらアメコミ映画の主役は務まらないぞ」
「キャプテンさんが言っちゃいけないと思うけどなあ」
「さっそく第1問」
「クイズ形式なの?」
「『スパイダーマン:ホームカミング』に登場したアイアンマンのパワードスーツのマークナンバーは?」
A[45] B[46] C[47] D[48]
「えーっと・・・」
「続いて第2問」
「えっ、まださっきの問題を・・・」
「ぐずぐずするな、第2問だ。 エンドクレジットの中盤のシーンでトゥームスが刑務所で再会したマック・ガーガンはのちに何というヴィランになるか?」
A[ハイドロマン] B[ミステリオ] C[ビートル] D[スコーピオン]
「これは知ってますよ。 確か・・・」
「第3問だ」 「はえ~よ」
「ダメージコントロール局のアン・マリー・ホーグ長官を演じたタイン・デイリー、現在71歳。 彼女が若き頃にクリント・イーストウッドと共演した映画はなにか?」
A[恐怖のメロディ] B[サンダーボルト] C[ダーティハリー3] D[アウトロー]
「どうせ考える間もなく4問目にいくんだろうな」
「第4問」 「ほらね」
「ピーター・パーカーの部屋にはニューヨーク・メッツのある選手が野球殿堂入りした際の記念ぺナントが飾られているが、それはなんという選手か?」
A[マイク・ピアッツァ] B[ドワイト・グッデン] C[ダリル・ストロベリー] D[ジョン・フランコ]
「これは僕の部屋だから簡単。 メッツ最高」
「お勉強は以上だ。 ピーター、これからもヒーロー道に精進するように」

「了解です」
「トニー・スタークみたいなエロ親父の言うことなど適当に聞き流せばいいぞ」
「またそんな・・・」
「若いからってマスをかき過ぎるなよ。 では、さらばだ」
「あれっ? 問題の答えは?」
「ネット見ろ」 「ワタベじゃあるまいし」

「1=C 2=D 3=C 4=Aだ。 では、ごきげんよう」

c17.jpg 
突然、能力を身につけてスパイダーマンをやるようになってから、そんなに日が経ってないけど今回は色々と勉強になったよ。
憧れのアベンジャーズの仲間になるのが夢だったんだ。
平和のために戦うヒーローはそんなに甘いもんじゃないってことは重々承知してたけどね。
心の底では自分のことを過信してたんだね。 そのことがよく分かったよ。

普通の人にはない特別な力を持つということは神に近づくということじゃない。
むしろ悪魔に近づくと肝に銘じた方がいいね。
どんなヒーローも、自分が力を授かったことの意味を探ろうと葛藤して、責任の重さを痛感するんだ。
他人の行為に対して、自分の独断で善悪を判断していいのか?
力を行使する時、一時の感情や私情が入り込んでいないか?
敵対者に対して、「命を奪う」ことだけが解決策か?

普通の人と違う存在になると、迷いつつも結局は自分の行動や考えは間違っていないと自らをごまかしてしまうのさ。
元々心が弱かったんじゃない。 特別な力を持ってしまったがゆえに心が荒んでしまうんだ。
破壊したり、奪ったり、一度一線を越えたらやり直しは効かない。 
失敗は許されないのに、「なんとかなるだろう」とか、「仕方がなかった」で済まして、自分以外の一般人を軽い存在に位置付けてしまう。
そこが力を持った者の恐ろしいところさ。

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トゥームスが武器取引をするところを阻止しようとして、スタークさんにも報告せず独断で現場へ向かった僕は、スーツの機能を制限する「補助輪モード」を解除してフルパワーで戦おうとした。
でも、その結果、フェリーが真っ二つに引き裂かれて多くの人を危険にさらしてしまった。

僕がやらかしたことはただの戦争なんだ。
「どこそこの国が大量破壊兵器を作ってるぞ、武装勢力がテロを企んでるぞ」
「そいつはけしからん。 空爆をしてやれ」
「学校や病院にミサイルを落としてしまっても気にするな。 テロ国家を倒したら国際社会は文句を言わんだろう」

大いなる力を持った者の過信は戦争さえ正当化する。

フェリーには多くの人が乗っていたのを分かっていながらヴァルチャーに戦いを挑んでも、あんなことにならないと思っていたんだ。
つまりは過信以外何物でもないということさ。
しかも自分の勝手な行動の本当の理由は、スタークさんに自分の実力を認められたい、アベンジャーズに入りたいという私欲のため。
そりゃスタークさんは怒るよね。

spideyhomemade.jpg
自分にはヒーローの資格などないと、スタークさんにスーツを没収されちゃったけど、まさかの展開が僕に大きなことを教えてくれたね。
スパイダーマンを離れて、少しぐらいは高校生らしく青春をエンジョイしようかと思ったら・・・
世間とは本当に狭いものだよ。
試練に立たされた僕は自分というものを見つめた。
スパイダーマンでない自分は身近な人ひとりさえも救うことができないのか。
我のためでなく、誰かのために体を張る行動こそが英雄。
その人の笑顔のために。 その人が笑顔でいられる世界のために。

目のところがミニオンみたいになってるホームメイドスーツでも、できることは大差ないけど、これは今一度初心に戻るということで言えば大きな意味があったね。
僕には分かった。
スパイダーマンは“親愛なる隣人”。 僕には世界は広すぎる。
自分がヒーローとして生きていく場所に僕は“帰郷”するんだ。
困っている身近な人に手を貸す友人のような存在でいいと思う。
今日も一人を救い、明日も一人を救い・・・ そこから世界は少しづつ変わっていくのさ。
5373.jpg
 

「賢人のお言葉」
 
「世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。 その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。 ひたすら進め」
 フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ
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