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ありがとう、トニ・エルドマン
2017年07月18日

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「はぁ~ (ため息)」
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「おやおや、ウルトラのオヤっさんやおまへんか。 ご無沙汰しております」
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「これはこれはヒッポリト星人さん。 毎日毎日暑いですなぁ」
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「さっき、ため息ついてましたけど、どないしはりました?」
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「いやあ、つい最近ね。父と娘の親子愛を描いた映画を観ましてね。 私もいろいろと考えさせられましてね」   
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「ほほぉ、なるほど。 父と娘の関係ってちょっと特別ですさかいね。 いろんなドラマもできるでしょうよ」
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「父親って、娘のことになったら、ちょっとアホになるところがあるでしょ?」
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「まあ確かにね。 子供が生まれる前は『俺は男の子が欲しい』とか言うてても、女の子が生まれたら、溺愛ぶりが異常ですもんな」
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「母親にとっての息子という存在も特別なら、父親にとっての娘というのもまた同じように愛情の質が変わりますからね」
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「仲良くなり過ぎて娘のファザコンが度を過ぎるのも困りもんですけど、逆にサッと父親離れされるのも寂しいですわな」
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「そこですよ。 蝶よ花よと育てて一緒に風呂も入ったのに、年頃になったら『キモい』とか言われるんですよ。 お風呂はまだしも、選択物は別にされるし、何かと言えばウザいだの臭いだの。 男親って悲しいじゃありませんか」
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「そこにきて、カレシとかができようもんなら、たまったもんやないですな」
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「そりゃ娘の幸せが第一です。 第一ですけども、それを願うあまりに父親ってのは愛情の伝え方が不器用になってしまうんです。 父親って大変ですね」
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「さっきから父と娘の関係について熱く語っとるけど・・・一言いわせてもろてもええかな?」
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「なんでしょう?」
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「おまえ・・・・娘おらんやんけ!」
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「ええっ!」

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

あまりに仕事人間すぎる娘を心配した父親が取るキテレツな行動。
からみ辛い父親がうざい娘。 おかまいなしにつきまとう父親。
一風変わった父娘愛のユニークかつ感動的なドラマを描き、第89回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど多くの賞を獲得したドイツ映画。
監督は「恋愛社会学のススメ」のマーレン・アデ。

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ヴィンフリート・コンラーディ(ペーター・ジモニシェック)
元音楽教師。 妻とは円満離婚し、老犬のヴィリーとアーヘンの一軒家で暮らしている。
メイクをして人をビックリさせるなどの悪ふざけが好きなコドモジジイ。


なんだよ。 コドモジジイで悪かったな。
幾つになったって人生楽しくやりゃあいいじゃねえか。

♪ ピンポ~ン
誰だ、このクソ忙しい時に。 いや、ヒマだけどね。
なんだ、宅配便か。 ご苦労さんだね。 ちょっとだけ待ってくれよ。
おい、弟。 おまえに小包だってよ。

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ハイ、弟で~す。
・・・・なんか言いたそうだね。 まあ空気を読みたまえよ。
この俺に届け物ってか。 分かってるよ。 中身なんだと思う? 爆弾よ、爆弾。
おにぎりじゃねえからな。 マジで爆弾。
そうか、届いたか・・・。 これから信管外さなきゃなんねえんだよな。
俺? 俺っち、爆弾魔。 兄貴からそろそろ辞めろって言われてるけどね。
え?サイン? ハイハイ、ここね。
ねえねえ、驚いた? さっきの兄貴は俺だから。 俺、今変装してんだけどね。
分かってた? そりゃ分かるわね。
バナナ食う?

ケッ。 ノリの悪い奴だぜ。 クスリともウケやしねえ。
変なメイクして、それを見た人のリアクションを見るのは楽しいもんだ。
パーティーとかそんな時にやったってクソつまらん。
“今それする?”みたいな時にやるから面白いんだ。
時々、老人ホームへ行って副業するんだよ。
ビックリさせて一人“片付けたら”50ユーロもらえるんだぜ。 嘘だよ。


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娘のイネスがやってきた。
彼女は今、ルーマニアのブカレストで仕事をしている。
コンサルタント会社で勤めていて、そこそこいい所まで来ているらしい。
そりゃそうだ。 あんだけ働いてりゃあな。

うちにやって来たってのは、実はこの子の誕生日を祝うためだ。
それも前祝いだ。 なかなかドイツに里帰りできないからな。
俺のおふくろをはじめ親戚連中もみんな集まってる。
それなのにイネスと来たら、何度も中座しては外に出てスマホで喋ってる。
自分が主役の誕生パーティーだぞ。 仕事の電話ばっかりしてやがる。
石油会社が相手の難しい仕事だとは言ってたが・・・「しつけをまちがえたな」
冗談も通じないしな、この子は。


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ヴィリーが死んだ。
もう随分といい歳だったからな。
前の晩は、なぜか犬小屋の中で寝たがらないから不思議に思ってたんだが。

うちではピアノ教室もしていたが、たった一人の生徒も来なくなった。
この家の中はいよいよ俺一人になった。
おふくろももう、そう長くはない。

すると、どうにも娘のことが気になってしょうがなくなった。
あの子は大丈夫だろうか。
今の会社でまあまあ成功はするだろう。
だけど、何か大切なものに目を向けることのない、“それでいいのか?”というような人生で終わってしまうように思えてならない。
あの子は強い子だ。 本当に今まで頑張ってきたと思う。
だけど、その反面、必ずや経験するであろう挫折に耐えれるだろうか?
親バカだと分かっていても、ウズウズする気持ちが抑えられん。
とにかく、様子だけでも見に行こう。


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「分かる。 分かるぞ、その気持ち」
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「いや、分からんでしょ。 娘おらんねんから」 
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「分かりますよ。 タロウを女の子に置き換えてみたら」
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「気色悪いこと言うな」

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娘のことが心配になったヴィンフリートはブカレストまでひとっ飛び。
イネスの家まで行くのではなく、何のアポもなく、まずは勤め先に出現する。
それも、声をかけることなく、グラサンをかけて、まるっきり「通行人A」に成りきって職場のロビーをうろつくのである。 思いっきり娘の至近距離で。

イネスもさすがに気づき、(うちのオトン、なにやっとんねん!)とドンびく。
元来、冗談のセンスがイマイチ分からない彼女にこんなサプライズは通用しない。
オヤジ、ついに脳に来たかとマジメに戦慄するしかない。

「来るんなら来るって連絡ぐらいしてよ」
「驚いたか? 遊びに来ちゃったよ」

夕方にはアメリカ大使館で財界人を交えたレセプションがある。
例の石油会社の取締役も奥さん同伴で来るので、イネスにとっては接待にかこつけたビジネスチャンスなのだ。
だが、急に来て宿泊先も決めていない父を放ったらかしにすることもできないので、やむなく父をレセプションに同席させることにする。

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こいつ、必死だなあ。
美味しい酒やツマミもあるのに、もっと楽しめばいいじゃないか。
そりゃ接待は大事なんだろうが。
さっきから難しい言葉ばっかりで喋ってるな。 何が楽しい?
どうやら、顧客の石油会社はアウトソーシングか内製化かの選択で迷ってるらしいな。
どうでもいいが、己の会社のことを余所者にお悩み相談しなきゃ決められんのなら、いっそのこと社長も外注したらどうだ?
まあ、そういう腑抜けの経営者ばっかりだから娘の会社も儲かるんだけどな。

娘が何か余計なことを言ったのか、取り引き先のオッサンはちょっとへそを曲げやがった。
子供か、おまえは。
でも、奥さんとショッピングの約束をしたんなら、挽回のチャンスはあるさ。

娘のカタブツな面は異国で働くようになってから一段と強くなったような気がする。
それに、物事の価値を損得だけで決めてるような節もあるのは職業柄か?
自分の会社が得意客になってるショッピングモールの店員に対する女王様みたいな態度はなんだ?
ひっぱたいてやろうかと思ったが、その代わり、「おまえ、ここにいて幸せか?」と聞いてやった。


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奥さんを接待して家に帰ってきたら、また夜も出かけて顧客の夫婦の買い物を案内するのだと言いながら、娘はパソコンとにらめっこをし出した。
御苦労だな。 しんどくないか? しんどいだろ。
夜出かける前に「ちょっとひと眠りするわ」と言うのでそっとしておいた。
本当にそっとしておいたら、そのまま朝になった。
いいかげん起こしたら、時計を見た娘は暴れて泣きだした。
いやあ、あまり気持ち良さそうに寝てたから・・・。
「なんで起こしてくれなかったの! 着信が4回も入っているわ! どうしよう、顧客との約束をすっぽかしちゃったわ!」

なんだか済まない事をしたなあ。
俺もそろそろ帰ることにしよう。 娘のことは気がかりだが。 「心配しないで」
しかし、やっぱり放っとけないなあ。 どうするべきか・・・。


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「オッサン、何をしに来たのやら」
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「いやいや、来た甲斐があるというものだ。 仕事に精を出すのはけっこうだが、この娘、少々ベクトルがおかしくなってる。 それをこの父親が確認できただけでも収穫だ」 
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「でも帰ってしもたけどな」
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「この親父がそのまま大人しく帰ると思うかね?」

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とあるバーで女子会をしていたイネスの前に出現した、原始人が服を着たような男。
「お嬢さんがた。 シャンパンでもいかがかな?」
ダッさいスーツ、ボサボサのロン毛カツラ、すきっ歯の入れ歯。
イネスは心の中で一発正解を出した。(おまえ、オトンやないかい)

「はじめまして。 トニ・エルドマンです」
イネスは心の中で北斗百烈拳のごとく突っ込んだ。(どこから取ってきた名前やねん。はじめましてやあるかい。帰ったんちゃうんかい。ここで何しとんねん)
「私は人生についてのコンサルティング・コーチををしています」(あんたはただの隠居やろ)
「イオン・ティリアック(70年代に活躍したルーマニアのテニス選手)は私の顧客でしてね。 これから彼と会う約束があるんですよ」(こわいこわい、このオトン何言うとんねん)

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何度も言うが私はトニ・エルドマンだ。
ヴィンフリートなんちゃらとかいう名前ではない。
人生コンサルタントにして、ドイツ大使でもある。
私もいろいろと忙しい身なのだが、少々気になる御婦人がいる。
仕事仕事で一杯一杯になっていて、大事なことが見えていないようだ。
グローバリズムの流れに沿った会社の方針が、自分がやりたい仕事の本心とはズレていることに戸惑いだしている。
香港に栄転できるまでの辛抱だと思ってるのだろうが、果たしてそこまでメンタルがもつかどうかが心配だ。

上司のやり方に反抗しだしたり、同僚と一緒にコカインをスースーやってハメを外しだしたのは傾向としてはいいが、そっちの方向へ行かれると困る。
自分ときっちりと向き合って、いろいろと見つめ直してほしい。
そして成りたかった本当の自分や、本当にやりたかったことをしてほしいのだ。


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「パパったら異常よ!」
そうかもしれんが、おまえこそおかしいぞ。
いや、そろそろ気づいているはずだ。
何かが違うんだと。
ともあれ、アブナイ遊びをしていたオマエは逮捕だ。 コカインなんぞ10年早い。 いや10年経ってもやってはいかん。
そんな悪い子はトニ・エルドマンが許さん。

どうだ、手錠をはめられた気分は。
冗談だよ、そんなにキレなくたって。 おもちゃの手錠なんだし、こんなのはすぐ鍵で・・・あれ?
悪いニュースだ、お嬢さん。 手錠の鍵が一人で歩いてどこかに行ったらしい。
今から仕事? 困ったなあ、これは。
しょうがない、とりあえず出かけよう。 
 
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おまえはいつぞや聞いたな。
「パパにとって生きる意味はなに?」
それはな。 おまえだよ。
おまえが幸せになってくれることが、私の生きている意味だ。

では、おまえにとって生きる意味はなんだ?
おまえは人間なのか?
おまえは元気だと言っているが本当にそうなのか?

手錠を業者に外してもらって、得意先の油田を視察しに行った。
一人の作業員がアッサリとクビにされてるところに出くわした。
代わりはいくらでもいると思ってる合理化主義の会社の人間は頭の中まで単純になっていくんだな。
どいつもこいつも救い難い単細胞だ。 人ひとりの情にまで神経が及ばんのだろう。
こんな奴らが世界を回しているのか。 そりゃ景気も良くなりゃあせんわ。
いいかイネス。 おまえはこういう奴らに手を貸しているんだぞ。 よく見ておけ。

おっと、このトニ・エルドマン、野暮用を思い出したぞ。
パーティーで出会った御婦人にイースターエッグの色塗りを教わる約束だった。
今から行こう。 

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いやあ、すっかり御婦人に世話になってしまったな。
お礼に歌をプレゼントしようじゃないか。
イネス、おまえがなにか歌え。
いや俺はダメだ。 俺が歌ったら環境に悪い。 生態系に影響が出る。

俺がオルガンを弾こう。
おまえの十八番はこれだろ?
ホイットニー・ヒューストンの
「THE GREATEST LOVE OF ALL」だ。

ずっと前に私は決めた もう誰かの陰には隠れないと
失敗しようと成功しようと
私は自分を信じて生きるわ
たとえ私から何かを取り上げられようとも
私の尊厳までは奪えない
だって、今の私の中には何よりも素晴らしい愛があるのだから
私は素晴らしい愛を自分の中に見つけたわ
最も素晴らしい愛を手にするのは簡単よ
自分自身を愛せるようになること
それがこの世で最も素晴らしい愛なのよ
そして、あなたが夢見てきた場所が孤独な場所になってしまっても
愛があなたを強くさせてくれるわ


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「なんて素晴らしい歌なんだ。 『ウルトラの母のバラード』に匹敵する名曲だ」
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「おお、そういえばペギー葉山さんがこの春に亡くなられましたな。 ご冥福お祈り申し上げます」
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「緑のおばさんのシーンが忘れられんなあ」
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「ありがとう、ペギーさん」
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「で?何の話だっけ?」
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「イネスが歌ったホイットニー・ヒューストン」
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「そうだった。 自分を愛することがこの世で最も素晴らしい愛なのだというメッセージの歌を熱唱するイネスの姿が感動的だ」
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「自分を信じて、自分を愛して。 強く生きていくには最も大切なことでおますな」
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「この時からもう彼女はたくさんのことに気がついたはずだ。 自分の生き方を。 この世界の見方と自身への見方をもう一度考え直そうと」

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イネスは会社のスタッフとの交流を兼ねた自分の誕生パーティーを自宅で催す。
しかし、ドレスのファスナーがうまく上げれない・・・ 
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「これは何をしとるんかいの?・・・ああ、ドレスのファスナーをフォークを使って上げようと。 こりゃまたフォークのうまい使い方」
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「いやいや、これできるか? ヘタしたら自分の背中をブスッと刺してしまうぞ」
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「ファスナーの引き手の穴に紐でも通せば簡単でっけどな。 いや。このシーンはそういうことではなくて」
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「その通り。 このキッチキチのドレスは、彼女を縛り付けて窮屈にしていた環境を表している。 自分一人では着れない服こそが、働いてきた世界が自分一人ではどうにもならなかったことをようやく悟ることにつながるのだ」
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「で、その窮屈なものから自分を一旦解放してみて・・・って、ホンマに脱ぐんかい!」
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「これはな、自分をさらけ出して、尚且つそれまであまり目を配らなかった他人のこともちゃんと見ようという意思が出たものだ。 確かに極端すぎるが、そこまでして彼女はがんじがらめになっていた世界から脱皮しようとするのだ」
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「確かにここまでふっきったら何かを悟るでしょうな」
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「『私、お役に立ててます?』って健気に聞く秘書のアンカちゃんのことにも、イネスはようやく心を配ることができる。 自分をハレモノに触るかのように接していた上司も本当は一所懸命サポートしてくれていた。 仕事も人生も窮屈だけど“自分一人では着れない服”なんだ。」
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「その上司のおじさんが最初に訪ねてきた時、イネスがスッポンポンだったから面食らって帰ったのかと思ったら、『一杯飲んできた』と数分後にスッポンポンで再訪問するシーンが爆笑だったけど、オッサン、いいとこあるやないけ。 おっ!なんか毛むくじゃらのバケモンが現れたで!」
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「オオッ!これは! 『ウルトラマン』の第30話に登場した伝説怪獣ウーだな! よおし、今やっつけてやるぞ!」
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「なんと頼もしい。 さすがウルトラの父」
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「まずはゾフィーとセブン。 おまえたち二人がかりで行け!」
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「いや、おまえが行かへんのかい!」
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「こりゃ失敬。 と言うよりもコイツはウーではない。 クケリという名の精霊だ」

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 【クケリ Kukeri】 
ブルガリアで毎年1月~3月に行われる祭りの際に、街中を練り歩く、日本の「なまはげ」に相当する厄除けの精霊。
何世紀も続いている奇祭で、クケリのコスチュームに身を包んだ人々が家を訪れ、五穀豊穣、子孫繁栄を祈ってくれる。
ビジュアルはシュールだが、幸せを運ぶものの象徴として親しまれている。

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「へえ~。 頭が重たそうだなあ。 こんなのをかぶってイネスのところにやってくる人物と言えば・・・」
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「もちろん一人だけだ。 ヴィンフリート、いや、トニ・エルドマンだ」

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のそっと現れたかと思うと、部屋を少しうろついた後、のそっと部屋を出ていったクケリを追いかけたイネス
「パパ!」
何も言葉はいらない。 ただ抱き合うだけでこの親子の心はひとつになっていた。


祖母が亡くなり、葬儀を終えたヴィンフリートイネス
イネスは結局会社を辞めて転職。 シンガポールへ行くという。
二人で祖母の遺品を眺めながらヴィンフリートは静かに語り出す。
「みんな成果ばかりを気にする。 義務に追われてるうちに人生は終わってしまう」

イネスが小さい頃に自転車の練習をしていた姿や、バス停まで迎えに行った時のことを最近はよく思い出すヴィンフリート
「あとで大切さが分かる。 でもその瞬間は分からない」

娘のことを一途に想い、人間解放へと導いた父。
しかしそれは同時に、娘の真の自立と共に、自分自身が子離れしなければならない時が遂に訪れたのだということを父は受け入れようとしていた。
我が子がいよいよ親元から巣立つ、その一抹の寂しさを感じながらも、娘からの感謝の心の声が胸に響いてくる・・・・・
「ありがとう、トニ・エルドマン」
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「ええ話や。 うちに帰ったら、さっそくヒッポリト特製のトニ・エルドマンのブロンズ像を作って拝んだるで」
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「少々常軌を逸した親バカに映るかもしれないが、それだけでなくグローバル社会への問題にもさりげなく目配せしているところが深い」

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「でも、この親父さん、特に何かした? 何かズバッと鋭い名言を吐くとか、仕事に対してナイスなアドバイスを送るとか」
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「いや、そうではない。 ヴィンフリートはただ単に寂しかっただけだ。 父親は昔からあんな風で、娘が大きくなるまでは共に笑いの絶えない日々を過ごしてきたのだろう。 しかし、いつのまにやら娘は朝から晩まで難しい顔をして、イライラと悩みだけ抱えてるような仕事人間になってしまっていた」
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「昔の娘に戻ってほしかったんやなあ」

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「エルドマンがルーマニアの現地の人に『ユーモアを失うな』と言う。 人生は何かと難しいことだらけだが、ユーモアの心を失わなければ自分に自信も持てるし自分を愛することにもつながるのだ」

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「ユーモアを失ってほしくないメッセージとして、奇抜な格好で娘の日常に割り込んできたっちゅうことやな」
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「あんなオジャマ虫のようなキャラクターで場を壊すことにより、娘を一旦クールダウンさせ、客観的な目線を与えたのだ。 一度自分の周りや足元を見てみろと。 そして彼はかつての娘を取り戻したのだ」
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「ホイットニー・ヒューストン、裸のパーティー、クケリなど、思いがけない角度から感動のツボを突いてくるのぉ。 まさにGREATEST LOVE OF ALLに溢れた人情ドラマや」
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「いやあ、もう一回、娘と観てみたい映画だね」

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「だから、おまえに娘おらんて!」
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「おっ?ちょっと待ってくれ。 女房からLINEが来たぞ」
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はよ帰ってきてトイレと風呂の掃除せんかい、ボケ!

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「どうかしはりましたかな? そらそうと、おたくの奥さんは松居一代みたいになってまへんやろな、ワッハッハー」
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「えっ? ああ、うちは円満ですよ~ハハハハ。 ちょっと用事ができたんで失礼させてもらいます~」
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「・・・・どうやら、“恐ろしい事が起きた”ようやな」


「賢人のお言葉」
 
「気が滅入るだって? きみの生活にはユーモアが足りないのかも」
  スヌーピー 
(チャールズ・M・シュルツの漫画より)  
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