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LOGAN/ローガン
2017年07月03日

T0021485p.jpgX まだ21世紀ではなかった90年代にアニメの「X-メン」がテレビで放映されていた。

最初の回から観てはいなかったので、世界観がいまいち呑み込めないまま観ていたが、それでもなんとなく面白かったのだ。
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中でも、勝手気ままで粗暴に振る舞うウルヴァリンというキャラクターは、およそヒーロー像に似つかわしくないにもかかわらず、不思議な魅力があってインパクトはピカイチだった。

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その「X-メン」が「ユージュアル・サスぺクツ」のブライアン・シンガー監督で映画化というニュースが飛び込み、「ウルヴァリン役は誰なのだ?」とアッシだけでなく多くの人が思っただろう。
その直後にワンカットのヴィジュアルが公開され、それがヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンだった。
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「ヒュー・ジャックマンって誰?」と思う反面、「なかなかカッコいいじゃないか」という印象。
映画を鑑賞したあとも、「よく見つけたな」と、このナイスガイな役者のキャスティングに感心しきり。
ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンはサイコーの一言だった。
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ヒュー・ジャックマンの役者人生を大きく変え、実に十数年以上に渡って我々映画ファンをシビレさせたヒーロー・キャラクター、ウルヴァリン
ヒュー・ジャックマンといえばウルヴァリン。 ウルヴァリンといえばヒュー・ジャックマン。
そんなアメコミ・ムービーのカリスマが遂に終焉の時を迎える。

ヒュー・ジャックマンも役者として次の段階へと進む時が来た。
肉体的にはまだまだいけそうな気がするが、「X-MEN」シリーズ自体、「アポカリプス」で一旦区切りを付けているし、もうここらへんを潮時とするのもベストの選択だ。
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マグニートー率いるブラザーフッドと死闘を繰り広げ、想いを寄せたジーン・グレイを手にかけたことに苦しみ、一時は日本の土を踏んでシルバー・サムライとも戦ったウルヴァリン
周囲に流されることなく、常に己を貫き、弱き者のそばに寄り添って悪に立ち向かっていたウルヴァリンの長い旅がようやく終わりを告げる。


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ウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)。
本名はジェームズ・ハウレット
"ローガン"という名は、彼の父親の姓名。 ただし母親の不倫相手の名前であり、つまり彼は不義の子である。
幼くしてその事実を知り、家を捨てた彼は一時期「ジミー・ローガン」と名乗っていた。

「X-MEN」の第一作に登場した際は記憶喪失状態で、身につけていたドッグタグに刻まれたネームが「ローガン」だったために、以来彼は通名としてこの名を使っている。


【結末に触れております】
時は2029年。 東京五輪から9年後・・・という以外、世界は取り立てて激変していない。
いや、ひとつ大きく変わったのは、かつて数百万人いたというミュータントのほとんどが死に絶えたということ。
なんやかんやあったのである。
元々長くは生きられない身体というリスクを負っていた者や、人間によるミュータント狩り、あるいはミュータント同士の争いなど、とにかくなんやかんやあって、ミュータントは地上から姿を消しつつあるのだ。

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ローガンの肉体も劇的に変化していた。
仮に爆弾で身体が粉々にふっ飛ばされようとも、細胞一つあれば元通りに復活するほどの驚異的なヒーリング・ファクター能力を持っていたローガンだが、今や劣化の一途。

彼の骨格を形成しているアダマンチウム合金に含まれている毒が体を蝕み、治癒能力が急速に衰えていた。
ちょっとした傷もなかなか治らない。
筋肉も落ちてきてシワも増えた。
こぶしからアダマンチウムの爪が飛び出す時は、しょせん皮膚を突き破っているので元々は痛かったのだが、さほど気になるほどではなかった昔と比べて、今は耐えがたい激痛に襲われる。

もはや肉体は人間に近づいているローガンだが、完全無欠の強靭さを誇った"ウルヴァリン"としての肉体は死につつあった。
 
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ローガンは現在、リムジン送迎サービスの運転手として生計を立てている。
セレブのお出迎え、接待ビジネス、女子会のリムジン・パーティー・・・
けっこう忙しいようである。

車はクライスラー300。 70インチのタイプだろうか。 型は2024年だという。
唯一の飯のタネ。 傷をつけられたらたまったもんではない。

ある夜、数人のチンピラが、ローガンのクライスラーのタイヤをパクろうとする。
オーナーが誰かを知らなかったのはチンピラ君たちには不運だった。

まだこの時点ではローガンはショットガンでズドンとやられても、時間はかかるがどうにか復活する。
チンピラ相手に素手で対処しようとするが、そこら辺はもう無理だった。 いかんせん体力は初老レベル。
袋叩きにされてても車さえ傷がつかなければ穏便に済ませれたかもしれない。
しかし、車に銃で穴をあけようが、ヒゲヅラのジジイをボコろうが、たかがタイヤに必死になるチンピラ君たちは知らぬがホトケ。 数分後にはマジでホトケサマになってしまうのだった。

やせても枯れても武士は武士。
バイオレンスの血が湧いたローガンにかかれば、そこらのパンピーの首や腕などチョンチョンと飛ばされる。
こんな死屍累々のスプラッタ・アクションから映画は幕を開ける。

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ローガンの現在の住まいはメキシコ国境近くの廃工場。
そこに帰れば、命がけの介護生活が待っている。
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かつて正義のミュータント・チーム「X‐MEN」の信頼厚きリーダーであったプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)。
彼もまた、すっかり老いぼれてしまいアルツハイマー病を患っている。
自ら精神状態をコントロールできないチャールズは、悪夢を見たりするなど、なんらかのきっかけで興奮状態なるとメンタルブラストの能力がマックスで放出される。
手加減もクソもない能力の垂れ流しなので、そこそこの半径内にいる者は身体を動かすことができなくなり、呼吸困難さえも伴うほどのマヒ状態に陥ってしまうのだ。

一年前に彼は自宅があるウェストチェスターで発作を起こして、多くの市民とミュータントを犠牲にしてしまっており、彼は未だにその事件を悔やんでいる。

現在のチャールズは巨大なタンクの中で隔離されており、強烈な安定剤を投与されながら、ほとんど寝たきりの生活を送っている。
薬の服用を怠ったり、タイミング一つの悪さによっては、ローガンは命を危険にさらすほどの介護生活を強いられているのだ。

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同居人のサンシーカーことキャリバン(スティーヴン・マーチャント)。
「X-MEN:アポカリプス」にも登場した闇商人はミュータントを匂いで察知するという能力を持つ、「ミュータントを探せるミュータント」。
えっ?じゃあ自分の匂いは? それは気にしないのか。 いいのか別に。

顔色が劇的に悪いが、太陽光線に当たると大ヤケドを負うほどのギャオス体質なのでこんなゾンビ・ヴィジュアルになっている。
外に出る時はもちろん完全防備。
「キャプテン・ハーロック」などに登場するキャラ、トチローを思わせるようなオメカシがなんだか微笑ましい。

ローガンがお勤め中は代わってチャールズの介護をしているが、油断をしてドツボを踏んだことが何回かある。

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ある日、ローガンガブリエラという見知らぬ女性から妙な依頼を持ちかけられるところから物語が動き出す。
ガブリエラローラという少女をかくまって、ノースダコタまで送り届けてほしいという。
面倒なことには関わりたくないローガンは一旦拒否するが、後日ガブリエラが何者かに殺害される。

彼女は巨大企業アルカリ・トランジェン社の研究施設で働いていた看護師で、施設では怖ろしい実験が行われていた。
遺伝子学者ザンダー・ライス博士の指揮のもと、ミュータントのDNAから生まれた子供を兵器利用する実験が進められていたが、子供たちの反乱によってプロジェクトは頓挫。
多くの子供たちが殺され、何人かはノースダコタに逃げのびたらしいのだ。

そして彼女がかくまっていた少女ローラはローガンのDNAを受け継ぐミュータントだった。
ガブリエラが遺した動画には「ローラはあなたの子よ」というメッセージが語られていた。

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アルカリ・トランジェン社の警備責任者ドナルド・ピアース(ボイド・ホルブルック)。
施設から逃走したミュータントの子供たちの捕獲に執念を燃やす冷酷無比な追跡者である。

どういう経緯かは不明だが、右手がターミネーター・ハンドのようにメカってる。
これで何ができるという訳ではないのだが、身体能力そのものはズバ抜けて高い。

ローガンの素性を知り抜いており、彼がローラをかくまっていることを察知したピアースは傭兵軍団を率いて襲撃を開始する。
映画はこのピアースの追跡からの逃避行を余儀なくされるローガンチャールズローラの3人の疑似家族によるロードムービーという趣きへとなだれ込んでいく。

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ローラ・キニー(ダフネ・キーン)。 年齢は11歳。
トランジェン社の実験により、ローガンのDNAを受け継いで生まれてきた「X-23」。
もちろん、こぶしからアダマンチウムの爪は飛び出すし、ヒーリング・ファクター能力も備えている“女ウルヴァリン”。
殺気を感知する習性にも優れていて、戦闘のセンスもピカイチ。

舌をチラッと出して「オッケー」とかます本家のローラちゃんとは違い、画期的なまでに愛想が悪く、大人でもチビりそうなヤンキー目つきを飛ばしてくるローラちゃんである。
最初はムッツリとしてキャラを守っていたが、スペイン語を話しだしたのを皮切りに、実は英語もOKというバイリンガルを発揮。
ただし、欲しい物にはすぐ手を出すという我慢知らずで、著しい社会常識の欠如が見られる。

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ローガンのもとでかくまわれて、廃工場に身を潜めていたローラだが、居場所を突き止めたピアースと傭兵軍団の面々がお迎えに上がる。
もちろん大人しく連れていかれるはずもないローラの容赦ない殺戮パレードが始まる。
小娘とナメてかかった野郎どもなど瞬きする間もなく瞬殺。

まずは一人の兵士のガン首をぶった切ってポイと放り投げ、ピアースに御挨拶。
少女が凄まじい形相で敵を斬!斬!斬!と斬り殺していく、まさに映倫がアワ吹いてキレるほどの過激な絵が連打される。
血しぶきドッピュー! R指定上等のスローター・ガールに、目の前で見ていたローガンも「なんじゃ、こいつ?」とぶったまげる。

クライスラーにローガンチャールズローラが相乗りし、一路ノースダコタを目指すことになるのだが、ローガンは自分が何者であるかを見つめ、残された人生に為すべきものを見出していくのである。

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チャールズが早くから複数のミュータントとテレパスで交信をしていたことを訴えていた。
「彼らは君を求めてる」
当初は認知症の妄想だろうと取り合わなかったローガンだが、自分と同じ能力を持つ少女の出現は彼の心に大きな波紋を投げかける。

チャールズローガンに対し、ミュータントの最後の希望であるローラを守ることを託す。
「君にはまだ時間がある」


そもそもミュータントの出現はこの世界に何をもたらして何を奪っていったのだろうか。
"人間を超越した能力"は結局戦争の道具にしか扱われず、ミュータントの存在意義は"破壊"以外の意味が見つからなかった。
そんなミュータントが絶滅の時を迎えているのはもはや摂理なのか。

ドナルド・ピアースはミュータントを「神の計画、神の過ち」と評した。
ミュータントは罪深き生き物なのか。 だが。
たとえ神の手によるしくじりであっても、この世に生を受けてきた者たちがこれから生き方を決めていくことは、何者であろうと干渉はできない。

ローガンウルヴァリンとして、チャールズプロフェッサーXとして、人類を守り人類に愛された半面、人類を傷つけて憎まれてきた。
ミュータントとしての生き方の答えはまだ出ていない。
それをローガンは見つけなければならないのだ。
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ローラローガン「死に場所を求めている」という。
肉体の黄昏が迫るローガンローラの言うとおり、いかにその生を終えるかを模索していた。
それと同時に、X-MENとして戦いに明け暮れていた時代には叶わなかったことを欲してもいる。
それが「普通の人間としての生き方」である。

ローガンという人物はそう易々と他者を受け入れるというイメージがない。
むしろ他人が嫌いだ。
そんな彼がリムジンの送迎ドライバーという、他者と交わっておもてなしをするという職に就いているのは、映画が始まった時、かなりの違和感を覚えた人も多いはずだ。
たとえわずかな時間でも、車という狭い空間の中で他人を気遣う商売をするなど、ローガンには似つかわしくない。
その理由が徐々に見えてくる。

「家族」という温もりが欲しかったという、ありがちで甘っちょろいことは言いたくないが、少なくとも彼は、たくさんの人と触れ合い(金持ちばかりだが)、人間であるなら当たり前の喜びをすぐそばで感じたかったのだ。
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ローガンの正確な生年は不明だが、実年齢は170歳を超えている。
その170年以上もの間、幼くして家族を捨て、二つの世界大戦にも従軍し、血にまみれた人生を送ってきた。
シルバーフォックスという同じミュータントの女性と恋仲であった時もあるが、ミュータントゆえの悲劇に見舞われることになる。

父親、母親、兄弟、恋人、友人・・・
何ひとつローガンの人生に温かい思い出はない。
それどころか彼は誰かを殺める人生に終始してきた。
生みの父トーマスを・・・ 実の兄ビクターを・・・ ジーン・グレイを・・・


ノースダコタを目指す道中で一行は農業を営むマンソン一家の世話になる。
立ち退きを迫る権力者の嫌がらせにも立ち向かい、必死に家族を守ろうとしている父親がいる。
そんな主を信頼する妻と息子がいる。
それでも明るく前向きに生きている家族の姿がそこにあった。

チャールズ「私にはもったいない」としみじみつぶやく。
多くの屍をこしらえてきたローガンも、大切な誰かを守ることに生きる重みを痛感する。

しかし、ローガンらを追跡してきたピアースとその部隊によって、マンソン一家に惨い悲劇が降りかかることになる。
そしてチャールズも、トランジェン社が生みだしたミュータント「X-24」によって殺されてしまう。

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この映画の中で、印象的に引用される1953年の西部劇の名作「シェーン」。
監督ジョージ・スティーブンス。
アラン・ラッド演じる孤高のガンマン、シェーンが悪徳牧畜業者に苦しめられている農民を助け、ジョーイ少年と友情を育む物語で、「シェーン!カムバーック!」の呼び声がこだまするラストは名シーンである。

この映画をローラチャールズが観るシーンがある。
殺し屋たちを一網打尽にしたシェーンは、家に帰って傷の手当てをというジョーイ少年に語る。
「人の生き方は決まっている。 変えることはできない。 人を殺した者は元には戻れないんだ。 だから家に帰ってママに伝えてくれ。 "谷から銃は消えた"と。」
このセリフが本作のラストでローラの口から語られて、ローガンが最後まで貫いた生きざまに投射されるのである。

それほどにローガンが背負ってきた物はあまりに重い。
そして"人殺し"の彼は、その変えようのない生き方で以て「谷から銃を消す」責任を全うするのだ。

 
・・・・・・ちょっと重たい話ばかりなので、ここでブレイクタイム。

旅の途中でコンビニに立ち寄った一行。
馬のコイン遊具に妙に食いつくローラ。 なんだかんだでガキンチョである。
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「あれ?もう停まったじゃんかよ。 動け!この野郎!」
「イテテテ。 すいません、叩かないでくださいな」
「こっちはお金入れたんだぞ! もう終わりかよ、ふざけんじゃねー!」
「そんなこと言われても・・・」
「このハゲーーーッ! 違うだろー! バカかオマエはー!」
「いや私、ハゲじゃなくて馬ですから」
「私に恥をかかせるなー!」
「それ、流行ってるらしいですな」
「うん、一回言ってみたかったの」


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「いいわね、このグラサン。 私ったら何でも似合っちゃう、罪な女。ムフッ」
「お嬢ちゃん。 ねえ、ちょっとそこのお嬢ちゃん」
「ハイ、さっそく読モのスカウト。 あいにく私はもっと上を目指す罪な女。ムフッ」
「いやいや、おめえよ。 栓をあけたそのコーラとフタをめくったポテチの金、払えんだろうな?」
「はっ!ダメウーマン」
「ウーマンじゃねえよ、俺」
「私が今、財布にどれだけ持ってるか知ってんの?」
「まさか」
「35億」
「やっぱり」
「嘘よ」
「流行ってるからって"35億"を乱用するんじゃないよ」
「一回言ってみたかったのよ」



本題に戻るよ。

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ノースダコタにあるとローラが信じた「エデン」という場所に辿り着く。
そこではトランジェン社の施設から逃げのびた子供たちが身を寄せ合っていた。
ローラをはじめ子供たちはカナダの国境を越えようとするが、ピアースたちに見つかり森の中で追いつめられていく。

子供たちが施設から持ち出した「ウェポンX」に用いる強化用の血清を託されたローガン
少しづつ投与すれば身体の衰えの進行は抑えられる。
だがローガンピアースやX-24と戦って子供たちを救うために、治癒能力が低下する逆効果のリスクを払ってまで血清を全量投与するのだった。

死に場所を見つけたり。
今一度ウルヴァリンとして甦るローガン
最期の「X-MEN魂」がきらめきを放つ。

「自分が何者かを忘れないために」ローガンが自殺用に持ち続けていたアダマンチウム弾は、ローラの手でX-24の頭をぶち抜いた。
しかし、ローガンが負った傷はもはや瀕死の深手だった。
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ようやく重荷を下ろす時がやってきた。
死のうと思えばアダマンチウム弾を使えばいつでも終わりにすることができたが、幸いなことにミュータントとして死ぬのではなく、ローガンが人間として死ねる至福の時が訪れるのだ。

「こういう感じなのか・・・・」

ローガンが望んだ、人間であるという実感。
最後まで守り抜くことができた愛すべき"我が子"に手を握られ、これが家族であり、これが親子であるという人間の愛の温もりに包まれながらローガンの長い長い旅が終わる。

涙を流しながら「パパ・・・」と呼びかけるローラの声はもう届かなかった。

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ローガンの眠る積み石の墓に立てられた木の十字架。
それをローラが斜めに傾ける。
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"父"の背負ってきた人生にリスペクトを捧げ、それを受け継ぐ意思を示すウルヴァリンの"娘"。
たった2本の木の枝で組まれた墓標のラストシーンに、サブイボが止まらない!


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ローガンの最後を飾るにふさわしい、アメコミ映画の概念を覆すといっても過言ではない傑作。
カリスマ的とも言えるヒーロー・キャラクターをここできっぱり終わりにする覚悟はしっかり見える。
なんせ、マーベル・ムービーなのに、スタン・リーがおちゃらけて出てこないんだもの。

英雄と人殺しの紙一重の葛藤にまで踏み込み、西部劇のテイストとロードムービーのアプローチが、いかにもローガンというキャラにピッタリとハマり、その語り口にグイグイ引っ張られていく。
さすが「3時10分、決断のとき」でスリリングな西部劇を鮮やかに復活させたジェームズ・マンゴールドだ。

アメコミ映画にしては珍しく、R指定のレイティングだが「デッドプール」とはまた趣きが違う。
ローガンの武器は、敵に対して遠隔で効くものではなく、刃物というある意味アナログ。
よって、接近の肉弾戦というフィジカル全開の中で、本来ならば流血や人体破壊描写はもっと力が入れられていてもおかしくはない。

しかし、低年齢層の客も考慮して、遠慮がちだった「刃物で殺す」という描写は本作で自由を得て、リアルなスプラッタとして表現されている。
これこそが、ローガンのやってきたことなのだという現実を我々に見せているのである。
一人のサムライの人生をしっかりと語り切るには、お子様への配慮など無用。

いさぎよいフィナーレ。 最後までカッコ良かったウルヴァリン
これほどの感動が待っていようとは。
ありがとう、ローガン。 ありがとう、ヒュー・ジャックマン。

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この人も忘れてはならない。
プロフェッサーXことチャールズ・フランシス・エグゼビア

彼もローガン以上に老いくたびれてしまい、不遇な晩年だった。
最期に無残な死を遂げるが、マンソン家での一家団欒の一夜は彼にとって何物にも代えがたい時間だったろう。
まるで父親のようにローガンを導いていった牽引力と懐の深さは、やっぱりプロフェッサーX

演じたパトリック・スチュワートは最初の「X-MEN」の時はまだ50代だったが気がつけばもう77である。 早いもんじゃのぉ。
この人はやっぱり、あの低くて柔らかみも含んだ声がよかった。

さらばXの父。
ありがとう、プロフェッサーX。 ありがとう、パトリック・スチュワート。


「賢人のお言葉」
 
「このところずっと、私は生き方を学んでいるつもりだったが、最初からずっと、死に方を学んでいたのだ」
 レオナルド・ダ・ヴィンチ
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