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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
2017年06月28日

320_20170625013708096.jpg詩集本は読んだことがない・・・
詩とはあまりチャンネルが合わない・・・

今をときめく詩人・・・最果タヒ・・・
「さいはて・たひ」と読む・・・

神戸が生んだポエット最果タヒ・・・

そんな彼女の新しい詩集・・・
「夜空はいつでも最高密度の青色だ」・・・ 映画化・・・
詩を映画化・・・ 珍しい・・・

本屋で手に取ってみた・・・
ちょっとだけページを繰って・・・
棚に戻す・・・
やっぱり詩は詩・・・

でも映画は観てみたい・・・
なんたって石井裕也・・・ 「川の底からこんにちわ」・・・ 「舟を編む」・・・ 「ぼくたちの家族」・・・ 満島ひかりの元ダンナ・・・
池松荘亮も好きな俳優だ・・・
石橋静河・・・ 彼女は誰・・・
石橋凌の次女・・・ ぉぉぉARB・・・ 労働者のロックの血を引くミューズ・・・

映画を観た・・・
なんか・・・ 良かった・・・

毎日がしんどい人ばかりが出てくる・・・
それでも優しい話だ・・・
何かがみなぎってる・・・
最高密度の108分・・・

detail0.jpg 
美香(石橋静河)
東京で一人暮らし・・・
看護師・・・
たくさんの人の死を毎日のように見ている・・・
夜はガールズバーでバイト・・・
愛想笑い・・・
田舎の実家には父と高校生の妹・・・
母親が死んだのはもう昔・・・

色んな物があふれてて賑やかなこの都会が彼女をより孤独にする・・・
誰もが夢中になってる物が嘘臭い・・・
恋愛なんて必要ない・・・ 誰かに押しつけられるように人を容易く愛せない・・・
「やれるかやれないか」という目でしか女は見られない・・・
そんな恋愛に期待しない・・・
恋する女ほど醜いものはない・・・
どんなに愛しても愛されても人は死ぬ・・・
いつでもどこでも死は転がっている・・・
そんなことに人は気づかないフリをする・・・
今日も東京の街では嘘臭い言葉が吐き出されて溢れている・・・
東京には美香の心の居場所がない・・・ 

359403_002.jpg 
慎二(池松荘亮)
建築現場を転々とする日雇い労働者・・・
ボロいアパートに一人暮らし・・・
家賃65000円・・・
光熱費・・・ メシ・・・ ケータイ・・・ 
生きていくには金がいる・・・
東京はしんどい・・・
でも東京だから生きていける・・・

不安になると饒舌になる・・・
どうでもいいたわ言が次から次へと、口を衝いて出て止まらなくなる・・・
同僚の1・智之さん(松田龍平)に「おまえ、うるせえ、だまれ」と怒られる・・・
同僚の2・中年の岩下さん(田中哲司)は痛めた腰が辛そうだ・・・
同僚の3・出稼ぎフィリピン人で社員のアンドレス(ポール・マグサリン)が妻と子供の写真を見せてくれる・・・

アパートに帰る・・・
隣りの部屋の独り暮らしの爺さんの顔を見に行く・・・
爺さんはエアコンを買う金もないと笑う・・・
そしていつも缶に入ったお菓子を慎二に差し出す・・・

慎二は左目がほとんど見えない・・・
世界を半分だけ見ている・・・
もう片方も見えたとしてもこの世界にどうしても見なければならないものはない・・・


ph a 
ガールズバーに行く慎二・・・ 智之さんのおごり・・・
美香慎二、初めての出会い・・・

美香のケータイ番号を聞きたがる智之さん・・・
愛想笑いの美香・・・
横でまた慎二は取り憑かれたようにしゃべりまくる・・・
智之さんがまた叱り飛ばす・・・

下を向いたままの岩下さん・・・ 最近コンビニの店員の女の子に一目ぼれした・・・
岩下さんはコンビニちゃんにデートを申し込む予定・・・

店が終わる・・・
深夜の渋谷の雑踏・・・
慎二美香が偶然出くわす・・・
image0.jpg 
「東京には100万人もいるのにどうでもいい奇跡だね」
二人で東京の夜空を見上げる・・・
ビルの隙間から覗く月の光がやけに青白い・・・

「嫌な予感がするよ」  「わかる」


ph b
 
智之さんが死んだ・・・
現場で急に倒れてそのまんま・・・

美香が葬儀に来る・・・
智之さんとケータイ番号を交換してその後はどうかは知らない・・・
脳梗塞・・・
原因は首元にあった古傷・・・
「それだけで人が死ぬってすごくない?」

「俺にできることがあったら言ってくれ」
「死ねばいいのに」

会社の社長も来た・・・
「仕事中に死ぬなって、みんなに言っとけ」
都会の底で生きる者には死ぬ場所も時も選べない・・・
それでも必要とされているから・・・
死んで何も言われなかった時・・・ それは必要とされなくなった時・・・


ph1 c 
美香つかの間の帰省・・・
彼氏の自転車の後ろに乗ってはしゃぐ妹を見た・・・
何がそんなに楽しいのよアンタは・・・
恋愛サイコーですか・・・ 青春サイコーですか・・・
東京の大学を受験するのだと妹の目がきらきらする・・・
一杯買い物したい・・・ スカイツリーに上りたい・・・
お好きになさって・・・ どうぞご勝手に・・・

「大学までは行かせてやらんとな」
無職の父親は無責任に言う・・・
一丁前なことは働いてから言って・・・

母が死んでから父はこうなった・・・
「自殺なら自殺って言ってよ」
父は何も言おうとしない・・・
自分が捨てられたような母の死・・・

記憶の中の母はいつもにこにこと微笑んでいる・・・
でも捨てられたのだ・・・ 愛されてなかったのだと美香は思う・・・
そう思う自分を嫌悪する・・・


ph0 d
現場でケガをした慎二は病院へ・・・
美香がいた・・・

「また会えないか」
「まあ、メールアドレスなら教えてもいいけど」


隣りの爺さんが死んでいた・・・
蒸し暑い部屋の中・・・ 
たった一人で誰にも何も言わずに・・・
自分はここにいると知らせるかのように骸から臭気を漂わせていた・・・

智之さん・・・ 隣りの爺さん・・・
死がやたらに慎二の前に転がり出てくる・・・
メッセージを削除するみたいにカンタンに命は消える・・・

DSC0862-400x267.jpg 
岩下さんの腰はもうダメだった・・・
仕事は辞めた・・・
コンビニちゃんにもふられた・・・

でも岩下さんは絶望しない・・・
死は岩下さんに近づけない・・・
「まだまだ生きてやんよ」
岩下さんは前を向く・・・
「ざまあみろ」
岩下さんが歩きだす・・・
ズボンのチャックは全開だ・・・

アンドレスはフィリピンに帰る決心をした・・・

hqdefault_201706262339514fc.jpg 
美香・・・ 慎二・・・
どこへ行けばいいのか・・・ どこで止まればいいのか分からない・・・
埋めれない苛立ちだけが募る・・・
当てのない居場所を求めながら美香慎二の距離は縮まったり遠ざかったりを繰り返す・・・

「ねえ、何であの時、私たち笑ったんだろう、お通屋の後」
「わからない」
「ねえ、放射能ってどれぐらい漏れてると思う」
「知らない」
「ねえ、恋愛する人間が凡庸になるって本当かな」

「知らない」

美香慎二はデートをした・・・
デートというのだろうか・・・
なんとなく・・・ ただなんとなく二人は歩く・・・
慎二が髪飾りを買ってプレゼントする・・・ 1200円・・・

「似合ってないけど、ありがとう」  本当に似合っていない・・・
「ありがとう」
「そんなに何回も言わなくていい。 1200円なんだから」
「でもほんと、ありがとう」


二人の距離の間にもささやかな何かが飾られた・・・
そんな二人は決して凡庸ではない・・・

pc_02.jpg  
コミュニケーションが広がったと人はいう・・・
でも街は液晶画面に目を落として世界をその両目で見ていない人ばかり・・・
せっかく外に出ても液晶の中の世界から出てこないのに・・・
まがい物のつながりを人はコミュニケーションと呼ぶ・・・

地震が当たり前になった・・・
北朝鮮のミサイルも驚かなくなった・・・
世界のどこかでテロがあっても「またか」と思う・・・
人が大勢死んでも「またか」と思う・・・
人知れず孤独な老人が死ぬ・・・
少年少女が自ら命を絶つ・・・
野良犬や野良猫が処分される・・・

死は世界に当たり前にある・・・
誰かを愛する暇もなく・・・ 誰かに愛される前に死が全部を奪う・・・
それでも社会はいつもと同じように動く・・・
人は「死」という現実から目をそらして今日もまがい物の夢と希望に逃避する・・・

でも生きていくんだ・・・
誰かを愛する限り・・・ 誰かに愛される限り・・・
まやかしだらけの世界でも・・・
愛してる・・・ 生きている・・・
それだけで居場所は生まれる・・・
そして・・・
踏んづけて乗り越えた「死」に「ざまあみろ」と言ってやるんだ・・・

ph00_01.jpg
「半分しか見えないんでしょ」
「うん」
「でも・・・・・半分見えれば上出来なんじゃない? 普通半分も見えないから」

「私は捨てられたんだよ」
「そっか・・・・・まあ、俺にまかせろ」
「何をまかすのよ」

「イヤなことは俺が全部半分にしてやる。 こんな目で生まれてきてよかったって、今初めて思ってるよ」

ph1.jpg
ストリートミュージシャンが東京の街角で「東京」を歌う・・・
美香慎二は彼女によく出会う・・・
「また歌ってるよ。 あの人、絶対売れないだろうな」

ワキ汗かいて 気にして わたし 生きてる
目をそらして いつもの作り笑顔
みんな同じでしょ ここは東京
でも 頑張れ Ah 頑張れ Ah


東京・・・
たくさんの人がやってくる・・・
窮屈でもそこで生きていきたい人であふれてる・・・
そんな最高密度の巨大な群集の中から美香慎二が出会った奇跡・・・
月の光が青いというのまた奇跡・・・
二人の頭上にある夜空はいつでも・・・
最高密度の青色だ・・・
ph2.jpg 



「賢人のお言葉」
 
「逆境もよし、順境もよし。 要はその与えられた境涯を素直に生き抜くことである」
 松下幸之助
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