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他にもこれ観ました  ~6月編(上)
2017年06月20日

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「ゴールド ―金塊の行方― 」

一獲千金は男のロマン。 しかし、うまい話には落とし穴があるのが常。
1990年代、北米の金融界で実際に起きた金鉱詐欺、通称"Bre-X事件"。
インドネシアに金鉱山を発見したというカナダの資源会社に、投資家が群がって株価がドーンと上がる。
しかし後になって「GOLDが出たのはウソだぴょ~ん」というのが発覚して株価がドーンと下がる。

アメリカ・カナダの経済に大混乱をもたらした、この一大事件。
金鉱脈はまず、ココと狙いをつけたところでボーリング調査を行い、金の含有量のデータから「ココは宝の山だ」と認定されて本格的な採鉱が始まるのですが、この事件はそのデータの数値が全くのデタラメであり、誰もがそれを何の疑いもなく鵜呑みにしていたのでした。
「そんな詐欺が成り立つのか?」というような、おそ松くんもビックリのお粗末な事件です。
この金脈スキャンダルを基にしたアメリカンドリームの光と闇の悲喜劇。 一応フィクションです。
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ケニー・ウェルス(マシュー・マコノヒー)は父から受け継いだ鉱山ビジネスの会社を仕切っていたが、80年代はウッハウハだったものの、90年代に入るとみるみるうちに会社の経営は火の車になった。
そんな時、彼は夢を見た。 インドネシアのボルネオで金鉱山を発見したという"夢のお告げ"を真に受けた彼は、地質学者のマイク・アコスタ(エドガー・ラミレス)を訪ねる。
業界ではイマイチ相手にされていないアコスタの「環太平洋理論」の信者でもあるケニーは並々ならぬ熱意でアコスタを口説き落とし、ボルネオのジャングルに向かった。
地元民の協力を経て採鉱をするがなかなか成果が上がらない。 しまいにはマラリアにかかって死にかけるケニー。
そんな苦労も報われて、遂に二人は金鉱山を発見するのだ。
会社はV字回復。 話を聞いてもくれなかった銀行は手のひらを返してすり寄ってくるわ、投資会社が乗っ取り目的で近づいてくるわと、ケニーの周辺は一気に慌ただしくなる。
インドネシア政府を巻き込んでの妨害なども乗り越えながら、ビジネスは順風満帆かと思われたその時、ケニーはアコスタが提出した金のサンプルのデータ数値が嘘だったという衝撃の事実を知る。
ケニーには一体何が何やら? アコスタも行方不明。
FBIの捜査も入り、窮地に立たされたケニーに果たして逆転の目はあるのか・・・・
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主人公の辿る浮き沈みが激しいのなんの。
「551の豚まんがある時ぃ~・ない時ぃ~」に匹敵するほどのアゲサゲ人生はそれだけで面白いのですが、成功者にたかってくる亡者たちのいやらしさなんかも見てたら、ホント「人間ってイヤ!」。
映画の途中から、実は前半のくだりがFBIの事情聴取による主人公の回想だったことが判明し、それまでのことが事実だったかどうかが怪しくなる語り口がミソ。 もとから共謀してた? そんな感じもしますね。 しかも、あのラスト!
アルシンドになっちゃった落武者ヘアーのマシュー・マコノヒーのビジュアルに唖然としますが、物語を引っ張っていく演技はさすがですね。
        

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「美しい星」

突然、宇宙人に覚醒した家族の奇想天外な人間賛歌の物語。
1962年に三島由紀夫が発表して物議をかもした原作を「桐島、部活やめるってよ」、「紙の月」の吉田大八監督が映画化。
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★テレビ気象予報士の大杉重一郎(リリー・フランキー)は、ある日自分が火星人であることに目覚めた。
自分は太陽系惑星連合の使者だと名乗り、生放送中に地球温暖化の深刻さを訴え、火星人のポーズをキメる重一郎の行動はどんどんエスカレートしていく。
★自転車便のメッセンジャーのバイトをしている長男・一雄(亀梨和也)は、ある日自分が水星人であることに目覚めた。
ひょんなことから参議院議員・鷹森の秘書、黒木(佐々木蔵之介)と出会い、私設秘書として働くようになり、黒木の謎めいた魅力に心酔していく。
★大学生の長女・暁子(橋本愛)は、ある日自分が金星人であることに目覚めた。
目立つことを極度に嫌う彼女は、ストリートミュージシャンの竹宮の歌を聞いて感動し、彼の故郷の金沢まで追いかけ、「僕も君と同じ金星人」と打ち明けられる。
★重一郎の妻、伊余子(中嶋朋子)は家族と接する時間が少なく、さびしい毎日を送っていたが主婦友から「美しい水」という名の水を勧められてネットワークビジネスにハマっていく。
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荒唐無稽な話なようですが、宇宙人云々は無理やり頭から追い出して観れば、ついて行けなくもないかなという作品。
妻を除く大杉一家の3人が本当に宇宙人に覚醒したかどうかは実際のところはボンヤリしたままです。
ただ元々、今の自分はこれでいいのかという鬱屈としながら色々とあきらめていた彼らが、ちょっとしたきっかけで自分がこの星の住人じゃないのではと思い込み出すところから、不思議と環境のことや人々の思想などについて意見を前面に出すようになるのが面白いですね。
さらには、それがほとんど狂気じみた形で暴走し、逆に家庭が崩壊していく様も皮肉です。
過激なエコロジストになる父親。 危険思想の政治秘書に心酔する息子。 女たらしのクズだと気づかずにストリートミュージシャンにほだされる娘。 健康水を本物と思いこんで詐欺商法の片棒を担がされる母親。
良かれという思いで自分が変わったはずなのに、周りが目に入らないほどのめり込んでいく家族は崩壊からそして再び再生へと肩を寄せ合う。 この美しい星、地球の尊さを噛みしめながら。

ちなみにアッシは六星占術的には「天王星人(+)」でごぜえやす。
母なる故郷のユラナスよ。しばらくは帰ることもなかろう。
すまぬがアッシはこの地球が好きなのだ。
        

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「たたら侍」

刀よりも鉄砲の数が物を言うようになった戦国時代。
そんな中、1000年前から奥出雲で受け継がれてきた製鉄技術「たたら吹き」。
日本刀に欠かせぬ材料を作り出す小さな村は、貴重な鋼を手に入れようとする諸大名や山賊の襲撃に幾度かさらされてきた。
秘伝を継承する村下の長男に生まれ育った伍介(青柳翔)は、村を守るために強くなりたいと願う。
商人の口利きもあって、村を出て織田信長の軍に仕えた伍介だったが、戦さ場の現実に怖じ気づき、何もできないまま村に戻ってくる。
やがて、伍介の仕官を手引きした大商人の与平(津川雅彦)が村を訪ねてきた。
村を守るためには鋼の技術を鉄砲に使う事だと与平に進言された伍介はそれ以来、鉄砲作りに躍起になる。
これに反対した伍介の幼なじみの新平(小林直己)が何者かに襲われる中、村は段々と要塞化していく。
それは鋼の利権を狙う与平の企みであり、自らの過ちに気づいた伍介だったが、いやが上にも多くの犠牲を払う戦いに巻き込まれていく・・・・・
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どうせLDHのショーケースなんじゃろ?という色眼鏡は外して観なければいけません。
ハイローみたいなヤンキー映画に興味はございませんが、時代劇ならば別です。
なんだかんだ言われてるようですが、個人的には悪くないと思いますが。
確かにストーリー上、もう少しピリッとした落ち着きがあった方が良かったかもしれません。
浮ついたような微妙なノリも気にはなりましたけれども・・・。
主人公はまあまあのヘタレなんですが、そのキャラクターだからこそ、物語の真意がいかに伝わるかですね。
武器を使う意味の重さ。 武器を使わずに戦うことの重さ。 侍であっても農民であっても大切なものを守るための戦い方を問うたテーマはしっかりと感じ取れます。

出演者の不祥事で早い打ち切りになってしまいましたが、そこまでしなきゃいけませんかね? 出演シーンもわずかですし。
舞台挨拶に出てたのが大きいのかなあ。
        

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「光をくれた人」

予告編を観てるだけで泣きそうになりますが、あらすじが大方わかってしまう予告編の弊害はちょっと考えないといけませんね。
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1918年。 戦争から帰還したトム・シェアボーン(マイケル・ファスベンダー)は傷を負った心を閉ざし、孤独を求めてオーストラリアの孤島の灯台守の仕事に就く。
やがて彼は町の名士の娘イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と出会い、恋に落ちた二人は結婚し、孤島で共に暮らし始める。
しかし、夫婦に度重なる流産という不幸が襲いかかる。
心が深く傷ついたイザベルを心配するトム。
そんなある日、島に一隻のボートが流れ着く。
乗っていたのは既に息絶えていた若い男と、泣き叫ぶ女の子の赤ん坊だった。
保全局へ報告しようとするトムを制して、イザベルは赤ん坊を自分の娘として育てたいと懇願する。
過ちだと知りつつも、イザベルの気持ちも痛感するトムは彼女の願いを受け入れてしまう。
そして4年後、愛らしく育った娘のルーシーと幸せに暮らしていた二人だが、トムは墓地で偶然にも産みの母親ハナ(レイチェル・ワイズ)と出会ってしまう。

ハナにとっては偏見にもめげずに愛し合ったドイツ人の夫フランクとの間に設けた愛しき娘だが、激しい弾圧を逃れようとボートに乗って夫と娘は逃げてそれっきり。
てっきり死んだものだと思い込み、日々悲しみに暮れてたハナのもとに「娘さんは大切に育てられている」という匿名の手紙が届く。
衝撃を受けて警察に相談するハナだが、手掛かりは掴めずに2年が過ぎる。
やがて灯台建設40周年記念式典の出席のために町に出てきたトムとイザベル。 そこでトムが手をまわして式典に招待していたハナと対面し、イザベルもハナもすべてを悟る。
「打ち明けるべきだ」 「今さら手遅れよ」 「彼女が母親だ」 「あの子にとって私が母親よ」
大変なことを仕出かしてしまったことに慄きながら対立するトムとイザベル。
やがてトムは思いがけない行動に出る・・・・・
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二度も我が子の産声を聞くことが叶わず、辛い思いをしたことは同情するが、尚更本当の母親から子供を奪うというイザベルの行為は正直同情できません。 しかも夫を憎むあまりにとんでもない復讐をするのですからね。
夫のトムも妻の流産の悲しみを見ていることもあって、ギリギリ迷って一線を越えてしまのですが、密かに手紙を出したり、対面を手引きしたりする良心の呵責の末のコソコソした行為もどうかなあと思いますね。
産みの母親はもちろん、幼い娘が一番不憫で、灯台を探して一時行方不明になるシーンは胸が痛みます。
観終わってアレコレと考えたお客さんは多いでしょう。
こういうケースはどちらかが不幸にならないと収まらない訳で、できる限り救われる思いで締めくくってますが、それでもやりきれない悲劇です。

「光をくれた人」というタイトルも深い。
戦争で傷ついたトムの心に光を与えたイザベル。
子供を亡くしたイザベルに光を与えた、海から来た赤ん坊。
海を漂ってる赤子を光のもとへ救い出したトムとイザベル。
戦争のせいで差別されていたフランクに光を与えたハナ。
あきらめと絶望の淵にいたハナに光をくれたトム。

誰かが誰かに光を与えている。 なのにこの悲劇・・・。
その裏で光を奪っていた行為の代償があまりにも大きすぎたのですね。
        

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「花戦さ」

華道の流派である池坊の家元が継ぐ名跡「池坊専好」。
現在の池坊専好は4代目で初の女性だそうですが、初代は安土桃山時代、織田信長や豊臣秀吉とも関わりがあった御方。
その専好の数ある伝説を基にした鬼塚忠原作のフィクション小説を映画化したエンタテインメント時代劇。

ショッキングピンクがバックの派手なポスターには、キャストのほとんどがニコニコした顔で貼り付けられています。
『秀吉ギャフン!』のコピー。 軽快なムードの予告編。
どう見たってコメディかなと思いますわな。
でもこれ、まあまあヘビーな話。 いや、いいんですけどね別に。

河原で多くの死体が転がってるシーンがのっけから出てきます。
貧乏のあまりに、野垂れ死にしているホトケがどこにでも転がってるのが当たり前だった時代なんですね。

それにしても秀吉の暴君ぶりが凄いんじゃわいな。
もちろん会ったことはないですけど、そんなにひどい人だったんですかね。
そういう一面はあったでしょうけども、ここに出てくる秀吉は北の国のミサイル・オタクの小僧と変わりゃあしません。
千利休に対する嫉妬が絡んだ因縁は有名な逸話ですが、元々病弱だった愛息の鶴松が亡くなると、秀吉は八つ当たり的に庶民を弾圧します。
「猿」って呼んだ者は子供でも処刑してしまうんですからね。 このオッサン、ムチャクチャやな。

そこで、池坊専好(野村萬斎)がいけばなで、秀吉の傲慢をいさめるための"戦さ"を挑むというお話。
史実も混じってはいるものの、一応はフィクションなので、歴史のお勉強で観るのではなく、ここは専好さんがいけばなで以て「美」について説く、貴重なお言葉を勉強しましょう。
梅も桜もそれぞれに美しい。 互いを認め合う心こそが本当の美。
        

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「武曲 MUKOKU」

あれ? 「むきょく」じゃないの? 「むこく」?
【武曲(むこく)】とは北斗七星の中の二連星のこと。
北斗七星の柄杓型の柄の先から2番目にある、おおぐま座ゼータ星ミザールはアルコルという伴星が存在するのだそうで、つまり肉眼ではひとつに見えるけれど実は二つの星がお互いの引力で引き合って軌道を描いている連星なんですと。
北斗七星は本当は北斗八星なのです。
でも、このアルコルという星は、「北斗の拳」でいうところの"死兆星"。 見える人は近々死にます。 お気をつけ下さい。

さて、これは星の映画ではありません。
藤沢周の原作を「私の男」の熊切和嘉監督が映画化した、二人の青年の運命の物語。
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矢田部研吾(綾野剛)。
商業ビルの警備員をしているが、酒びたりの毎日を送っている。
飲みすぎて死ぬんではないかというぐらい、一日中べろんべろんのヤサグレぶり。 なぜこうなったかというと・・・。
幼い頃から警察官の父親はとにかく厳しい親で、研吾に毎日剣道のスパルタ教育を施していた。
研吾はとにかく父親が嫌いだった。
優しかった母が病死してからは父と子の対立は激しくなり、やがて県警の首席師範の座を降ろされた父は酒に溺れるようになる。
ある日、些細な口論から木刀を持って庭に出た二人。
研吾は父の頭に木刀を叩き込んだ。 それ以来、父は昏睡状態のまま病院で寝たきりになっている。

羽田融(村上虹郎)。
ラップのリリック作りに余念がない高校生。
ある日、学校の剣道部員にカラまれ、道場で大立ち回りを繰り広げた融は師範代から素質を見出されて、嫌々剣道部に入れられる。
最初は乗り気でなかったが次第に剣道にのめり込んでいく融。
彼は昔、堤防の決壊で水流に呑まれて死にかけた経験がある。
あの時の、生と死の境をもう一度味わいたかった融は、師範代の用事を引き受けたことがきっかけで研吾と出会う。
道場にフラリとやってきて、師範代から挑発された研吾と剣を交えた融は、殺し合いの様な狂気をはらんだ研吾の剣が忘れられない。
台風の夜、融は研吾のもとを訪ね、勝負を申し出る。

互いの引力に引かれるように出会った研吾と融。
研吾は自分を許して人生を切り開けるのか。
融は生きている実感を手にすることができるのか。
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目がすわり、体の芯から劣化しているような狂気を放射する綾野剛。
満たされない不安のあと、凶暴性の発露と共にハッとする輝きを見せる村上虹郎。(お父さんに似てきたなあ)
この二人の凄い演技だけで満腹。

人間って本当に不器用な生き物ですな。 余計な言葉がなくても伝わる思いもあれば、ちょっとした一言さえあれば・・・ということもある。
そんな所からやり切れない悲劇に堕ちた研吾に光を指すのが、父と同じように「闘え」と要求して向かってくる少年。
それこそ武者震いしそうな運命の物語。 役者のガチがダイレクトで迫る傑作だ。
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