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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
2017年06月16日

T0021677p.jpg子供の頃、血沸き肉踊りまくったロボット・アニメ。
「マジンガーZ」と「ゲッターロボ」。
しかし、マジンガー・シリーズとゲッター・シリーズを除いて他には?と問われると以外にグッときたモノはないのである。

申し訳ないがガンダムの世代ではない。
だが、観たことはあるけど面白さは??・・・というのを入れれば、アストロガンガーやライディーンが出てくるし、コン・バトラーVやガイキングあたりまでがギリギリである。

そしてもうひとつが「鋼鉄ジーグ」。
日曜の夕方になると、テレビから「♪ダンダダダダーン、ダダンダーダダン・・・♪」と、我らがアニキングこと水木一郎がシンギングする主題歌が流れる。
歌詞のほとんどがバンバンバンで占められ、歌い出しのダンダダダンまで含めたら、威勢のいいお経のような歌で、手抜き感満載の歌詞に当時のガキンチョたちはド肝を抜かれたものだ。

作詞者は林春生で「サザエさん」の歌も書いた人だし、まあ手抜きって訳ではないのだろうが、一度聴いたら誰もが「おまえはバンバン教の教祖かい!」と突っ込まずにはいられないファンキーなアニソンである。

歌はともかくとして。
無題
「鋼鉄ジーグ」はロボット・アニメであるが、ロボットに乗り込んで操縦するというパターンではなく、主人公の司馬宙(シバ・ヒロシ)が頭部に変身し、あとで胴体や手足のパーツと合体するという、異色のルーティンを踏むところが面白い。
腕と足のフォルムが戦国武士の甲冑の「こて」と「すねあて」を思わせ、動きも速く、ロボット感からは弱冠距離を取っている。
だいたいのアニメのロボットデザインが、赤あるいは青が印象に残るのを意識しているのに対し、このジーグは上半身の黄色と脚の緑をメインにした菜の花畑の様なカラーリングを施し、前腕にわずかに伺える青はまるで目立たない。 このデザインも実に型破りだ。

ぶっちゃけ、毎週マジメに観ていたわけではなく、内容も他の作品と混同しているほど記憶に乏しいので、面白かったかどうかを言える義理もない。
実際視聴率はあまり振るわず、タカラから出ていた玩具マグネモ・シリーズだけは売れていたという複雑な“子供の事情”があったというのも有名な話。

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そんな「鋼鉄ジーグ」。
日本での放送の4年後。 78年からイタリアでも放送されるのだが、これがまたケタ外れの人気を博し、視聴率が80%を超えたという。 昔の紅白なみである。
視聴者世代は子供、それも大方が男子と限られているはずであることを思えば、この数字は驚異。

70年代後半の時代には、日本製のアニメがヨーロッパに大挙輸出されており、フランスでは「UFOロボ グレンダイザー」が視聴率100%を記録したと伝わっているように、ヨーロピアンの日本アニメに対するツボのハマり方は尋常ではない。

日本アニメを放送する専門のチャンネルまであったイタリアで、前述の「鋼鉄ジーグ」や「グレンダイザー」はもちろんのこと、「マジンガーZ」、「キャプテン・ハーロック」、「ルパン三世」、「タイガーマスク」、「キャプテン翼」など多くの“日本の宝”に触れて熱狂したイタリアーノの童子の中に、ガブリエーレ・マイネッティという少年がいた。

その少年は大人になって映画監督となり、2015年、遂に長編デビューを果たした。
その作品が「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」である。
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この映画は「鋼鉄ジーグ」の実写化という訳ではない。
ロボットなどは出てこないし、ハニワ幻人のハの字も出てはこない。

これは、突如ヒーローとなる宿命を負った一人の男が自らの生き方を問う再生ストーリーに、マイネッティが感銘を受けた「鋼鉄ジーグ」のベースにあるスピリットを投影させた野心的エンタテインメントである。
本作はイタリアのアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、最多の16部門にノミネートされ、主演男優賞、主演女優賞など7部門を受賞している。

なんと、のっけから「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」のオープニング・タイトルが日本語でそのままドーンと大映しになる。
てっきり配給会社が余計なことをしたのかと勘ぐってしまったが、これは監督が日本へのリスペクトを込めて、わざわざタイトルを日本語にしたのだという。
そりゃどうも。 グラッツェ、グラッツェ。


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主人公はシバ・ヒロシではなく、エンツォ(クラウディオ・サンタマリア)という男。
物静かではあるが、うだつが上がらない見本のような人生を歩んできた男で、家族なし、職なし、ダチなし、カノジョなし、カネなし、夢もチボーもなし。
ローマ郊外のトル・べッラ・モナカという街にあるボロいアパートで一人暮らし。
大好物のヨーグルトをむさぼるように食いながら、アダルトビデオをむさぼるように観るのが唯一の楽しみである。

もちろん、まともなことをして食いぶちを稼いでやしない。
盗品を売りさばいたり、マフィアに出入りするゴロツキにくっついてはパシリや見張りなどをしている文字通りのクズだ。

その日、エンツォはつまらん盗みを働いて、ポリスメンに追いかけられていた。
ローマを流れるテヴェレ川まで逃げてきた彼は、いよいよ追いつめられて川に飛び込む。
だが、その川の底には放射性廃棄物のドラム缶が沈んでおり、エンツォは誤ってそのドラム缶の中に体がはまってしまう。
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ようやく命からがら水底から這い上がったエンツォだが、しこたま放射能にまみれてしまった。
逃げ隠れするのに必死のパッチだった本人は何も気づかない。
アパートに帰ったら、シャレにならんぐらいの寒気に襲われ、真っ黒なゲロを吐いてダウン。
毛布にくるまってブルブル震えながら、エンツォはアパートの一室で一人、生死の境をさまようことになる。

普通なら「おまえはもう死んでいる」になってもおかしくない状態であるが、なぜか体調はみるみるうちに回復。
元気になったエンツォは“オヤジ”と呼んで慕っているセルジョを訪ねる。 仕えているマフィアから麻薬取引を任されたセルジョの仕事についていくことになったエンツォ
その前にセルジョの家に寄ったエンツォはそこでセルジョの娘アレッシア(イレニア・パストレッリ)と対面する。
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会った途端、エンツォに向かって「あんた、アマソの手先?」と聞いてくるアレッシア
彼女は熱狂的な「鋼鉄ジーグ」のファンで、DVDプレーヤーを片時も離さず、炎の帝王がどうだのと、しゃべる言葉は「鋼鉄ジーグ」のことばかり。
どうやら彼女は現実とアニメの世界を混同した妄想の中で過ごしているらしい。
母親が亡くなり、セルジョがムショに入っている間に施設に預けられた孤独から心を病んでしまったのだと、娘の不憫な境遇をセルジョは嘆く。

だがセルジョはそのあとで向かった麻薬取引の現場で、突発的なイザコザの末に射殺されてしまう。
そばにいたエンツォも銃弾をくらい、ビルの9階から転落して地上に叩きつけられる。
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今度こそマジで「おまえはもう死んでいる」のはずなのだが。
なんと、エンツォはむっくりと起き上った。
もちろん彼自身もビルの9階から落ちたことぐらいは分かっている。
なのに、素人レスラーからパワーボムをくらった程度のような感覚で、骨折はおろか打ち身も捻挫も出血もなし。

(一体自分の体に何が起きているのか・・・・)
(「お母さん、僕は丈夫な体に育ちました」どころのレベルではないことは確かだ。)
(川に飛び込んでから一時期体調不良がMAXだったのが関係しているのかもしれない・・・)

とにもかくにも、自身の体が劇的にレヴォリューションしたことをエンツォは悟った。

だが、この時点で彼はまだ知る由もなかった。
エンツォ自身の人生もまた大きく変わろうとしていることを。

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アパートに帰り、エンツォは試してみた。
セントラルヒーティングのラジエーター(アコーディオンみたいな暖房器具)を引っこ抜き、力任せにひん曲げてみた。
スーパーマンやターミネーターなら顔色一つ変えずにクイッとやってしまうだろうが、さすがにそこまでではない。
それでも地球人離れした怪力で、ラジエーターはハリセンみたいに変貌した。

しかし、これで真冬の夜はクソ寒い思いをすることになるとは考えなかったのか。 暑さ寒さもヘッチャラになったのならいいが。
確かなのは、あとでアパートの大家さんに激ギレされることである。

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スーパーパワーを身につけたと分かった人の8割方は、まずは自分の利益にそれを役立てることを考える。
まっとうなことはしないのが人間のサガ。

いかにも怪しい格好で夜中の街に出たエンツォは、銀行に外付けされてるATMを引っこ抜き、かついでお持ち帰りした。
あの型のATMなら紙幣がカッツカツに入っていても300キロぐらいかもしれない。
ただ、イタリアのATMのメーカーはどうか知らないが、日本のATMは無理やり力づくで金を盗ろうとしたら特殊なインクが噴出される仕組みになっている(のもある)。
くれぐれも、いくら力自慢であろうとATMのお持ち帰りは絶対してはいけない。
どうせ紙幣が使えないという事ではなく、泥棒はいけないのは当たり前。

何者かがATMを引っこ抜いてお持ち帰りするという、防犯カメラの映像が動画サイトに流れて世間は騒然。
一体、あのフードの人物は何者なのか?
人々はこの謎の人物を「スーパークリミナル」と呼んだ。


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一方、イタリアン・マフィアのボス、ジンガロ(ルカ・マリネッリ)のイライラは頂点を迎えようとしていた。
麻薬の取引に行かせたセルジョが死んでしまっていることなど知らないジンガロは、てっきりセルジョが麻薬を持ち逃げしたのではないかと気が気でない。
取り引き相手である上部組織の女親玉ヌンツァ(アントニア・トルッポ)に知れたら殺されかねない。 いやまちがいなく殺される。

このジンガロという男は病的と言っていいほどのナルシストである。
周りから注目されたい、尊敬されたい・・・ 自己顕示欲がスクスク育った彼は自分をリスペクトしない奴は部下でもアッサリと殺す。
スマホの色はブラック意外は有り得ないという。
部下にスマホを買わせに行かせたら(自分で買いに行けよ)、「これ64ギガだぜ」と白を買ってきやがったことに子供の様なキレ方をする。
カラオケを歌うとカマっぽい歌い方をし、昔テレビのオーディション番組に一回だけ出たことをいつも自慢している。

ヌンツァにキレられる前に、なんとかセルジョを探し出そうとジンガロは部下を引き連れてセルジョの家に押し掛け、アレッシアを拷問しようとする。

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ジンガロたちがたむろしている部屋の外をたまたま通りかかったエンツォは一旦スルーした。 もちろん助ける義理などない。
だが、彼の心はざわつかずにはいられなかった。
母親を亡くして「鋼鉄ジーグ」だけを支えに生きている女は、父親も失ってしまったことをまだ知らない。
かつてはエンツォも、多くの仲間や友達を失って、今までを自暴自棄に生きてきたのだ。
昔の自分の面影を垣間見せるアレッシアの心の叫びが今エンツォの胸をかき乱していた。

この力が生まれたのは己のためではなく、この力を必要とする人のため。
救いを求める人の力になることで、自らの魂も救われるのだとエンツォの中の正義が語りかける。

フード姿で部屋に飛び込んだエンツォはアッという間にジンガロの手下どもを一網打尽。
ローマの片隅で、鋼鉄ジーグが降臨した瞬間である。
スーパーパワーを振るうエンツォに魅了されたアレッシアは、彼を「ヒロシ」と呼んで慕い、こうして二人は共同生活を始めるのだった。

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「ヒロシ。 その力で皆を救わなきゃ。 あなたは人類を救う運命を背負ってるのよ」
「だからヒロシじゃねえし。 俺は誰も救わねえ」
「闇の世界を救って。 そして父さんを助けて」

おまえの親父さんは死んだんだよとは、なかなか言い出せなかったエンツォだが、やがてそのことをアレッシアが知る。
父親を見殺しにしたことを知って傷ついたアレッシアエンツォのもとから去ろうとするが、エンツォの想いは止まらなかった。
彼女のために生きていく、その固い決意こそが今のエンツォの生きる意味であった。

「今は生きていて楽しい。 おまえがいるから」
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遺体安置所でセルジョの亡骸と対面したアレッシアが、セルジョの胸の入れ墨の形を知っていたことや、セルジョに別れを告げる時に、「さよならアマソ」と、アニメに出てくる敵幹部の名前を呼んだことから、何がアレッシアを傷つけていたのかをエンツォは悟った。
彼女は幼い頃から父親から性的虐待を受けていたのだ。

もう何者にも彼女を傷つけさせはしない。
鋼の肉体と鉄の心で、世界のあらゆる敵から彼女を守ってみせるのだと、エンツォは身も心も鋼鉄ジーグへと生まれ変わっていく。

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その頃、オカマのナル男、ジンガロは進退極っていた。
大ボス、ヌンツァの怒りを買い、仲間からの信頼も失くしていたジンガロは、組織を抜けようとした部下を粛清する。
なんとか金は作ったのに、些細なトラブルからヌンツァの部下を殺してしまい、完全にヌンツァを敵に回してしまった。
もう後戻りはできない。

その時ジンガロが目にしたのは、一般人がYouTubeにあげた「スーパークリミナル」の動画だった。
目立ちたがりで「オレ様一番」でないと気が済まないジンガロにとって、自分の仕事を邪魔した上に世間から持てはやされるフード姿のヒーロー気取り野郎は鼻持ちならない存在だった。
だが、ジンガロが今観ている動画の中のスーパークリミナルはフード姿ではなかった。
路面電車を素手で止め、セルジョの娘をお嬢様抱っこしている、むさ苦しさ満点の男。 見覚えのある顔だった。

自分もスーパーパワーを手に入れたいという一心に駆られたジンガロエンツォの居場所を突き止め、アレッシアを人質に取り、エンツォを脅迫する。
エンツォは仕方なくジンガロを川まで案内するが、その時ヌンツァジンガロを殺すために部下を引き連れて襲撃してきた。
その銃撃戦のさ中、エンツォを守ろうとしたアレッシアは銃弾に倒れてしまう。
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エンツォの腕の中で息を引き取ったアレッシアが残した最期の言葉を彼は涙にくれながら噛みしめる。
「ヒロ。 人々のために戦って」

アレッシアが愛してやまなかった「鋼鉄ジーグ」。
大いなる力を人類の平和のために使って、命の限りに戦う美しきヒーローの雄姿がアレッシアにとっての、このクズだらけの世界の唯一の希望であった。
現代は未だに邪魔大王国の支配下にあるのだろう。
悪の女王ヒミカやハニワ幻人が平和を脅かしているのだ。
人々がジーグを求めている。 人々がジーグを呼んでいる。
強い者が弱い者を泣かし、傷つけて奪う世界がいい方向へと導かれることを願うアレッシアの想いを託されたエンツォのヒーロー魂が今覚醒しようとしていた。

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ヌンツァの襲撃により、火を付けられたジンガロは川へと飛び込んでそれっきりだったが、後日、ヌンツァの屋敷に一見アリス・クーパーを思わせるメタル野郎が乗り込んできた。
その男こそ、川へ飛び込んで、エンツォと同じくスーパーパワーを身につけて、すっかりヴィジュアルが痛くなったジンガロであった。

ジンガロヌンツァをはじめ部下たちを血祭りに上げ、それを動画撮影して御満悦。
「いいね」をたくさんもらえれば彼の気が済むかというと、もちろんそんな訳はなく、大胆不敵に爆弾テロを予告する。

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アレッシアが死んだショックで、呆然とさまよっていたエンツォの目の前で交通事故が起きる。
炎上する車に取り残された少女を救い出したエンツォは、少女の母親に感謝されて温かいものが胸に広がるのを感じていた。
その場で、ジンガロの犯行予告の動画を目にしたエンツォは決意の一歩を踏み出す。
取り囲んでいた人々から「あんた、何者なんだ?」と問う声が上がる。
「ヒロシ・シバだ」
行け、ジーグ。 行け、エンツォ。 今こそ人類のために戦う時が来た。

♪ たたきぬいた この体には
平和の願い こもっている
負けるものか 地獄の敵に
ジーグの力 みせてやる ダダッダー ♪



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「スパイダーマン」を彷彿とさせると言うより、ほぼ同等のテイストのヒーロードラマ。
イタリア人だって、ハリウッド製のアメコミ映画は観ているであろうに、さほど珍しくない"ヒーロー覚醒序曲"の映画が何ゆえにイタリアのアカデミー賞をにぎわすぐらいウケたのだろう?

確かに、イタリア人は日本のアニメが好きだ。 好き過ぎておかしくなっているのではと思うほど、イタリア人のオタ・レベルは度を超している。
そのくせ、自前のアニメや漫画の創作に対する熱はさほどでもないからユニークな国である。
この40年ほどの間で、日本のアニメこそがイタリア人の情操教育を担ってきたと言っても過言ではない。
特に「鋼鉄ジーグ」は、イタリアの老若男女のバイブルであり、ここから多くのことを学んだ人は多いはずなのだ。

映画の舞台であるトル・べッラ・モナカは、ローマをぐるっと囲むGRA環状道路の円の外の東側にある街で、ガラの悪さはお墨付き。
そんな街でクソ人生を粛々と歩んできた一人の男。
AVを観ることだけが楽しみで、ヤクザのパシリとコソ泥をしながらその日暮らしをしている、そんなゴロツキが突然スーパーパワーを身につける。
どん底から一転して恐いものなしの状況に好転する、誰もが憧れる夢のシチュエーションだ。
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誰にもない力を身につけた時、人はその力をどの方向へと使うのか。
誰だって幸せになりたい。 うまくやれば、お金に困らない人生を手にできるかもしれない。
今まで人生にもがいてきた分、多少は周囲に影響を及ぼしてでも、自分の人生のために力を使いたいというのは、人情として分からないではない。
だがイタリア人だけでなく、我々日本人も、世界中の人々もヒーローアニメで大事なことを学んできた。
人より秀でた力は、人のために使ってこそ意義があるのだということを。

邪まな道へ行く者もいる。
その方が楽だし、面白いからだ。
しかし、その力で世界が意のままになると思い違えたその行く末は、人から蔑まれる孤独なガキ大将の人生が待っているだけだ。
エンツォは自分の境遇と重ねずにはいられない女アレッシアと出会い、自分をシバ・ヒロシと慕ってくれる温かい感情に触れる。
そして彼女の愛する「鋼鉄ジーグ」の精神を共有し、人のために力を使う、世界の救世主シバ・ヒロシになることを決意する。

誰からも名を知られることなく、人生を無為に削っていくスラムのゴロツキだった彼の姿は今はもうない。
荒んだ街に光と希望を見出した人々は、この一人の男の名をこう呼ぶのであろう。
「鋼鉄ジーグ」と。

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日本人以上にイタリア人が親しむ「鋼鉄ジーグ」をモチーフに、かつて人々がヒーローに託した夢や生き様を、小悪党オヤジのリアリティあふれる再生のドラマとして昇華させた、イタリア映画らしさと異色さが同居したジャンル映画の傑作。
ヒーローものの王道的な展開をなぞりながらも、泥臭いハードボイルドと、ピュアなラブストーリーが融合した昭和歌謡の様な物語のカタルシスがたまらない。
毒々しさ全開の悪役も見事。


「賢人のお言葉
 「最も熱い炉から最も清純な鋼が生まれ、最も暗い嵐から最も明るい稲妻が生まれる」
 チャールズ・コルトン
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