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他にもこれ観ました  ~3月編(下)
2017年04月07日

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「ボヤージュ・オブ・タイム」

巨匠テレンス・マリックが自然と生命の讃歌を謳いあげた壮大な映像詩。
宇宙の誕生から人類の出現までを「プラネットアース」ばりの圧倒的なビジュアルで描き、私たちが今ここに存在する理由を求め、生命そのものの美しさや儚さを厳かに語りかける、テレンス・マリックの集大成と銘打たれた映像哲学大作なのであります。
以上。 おしまい。

「・・・・はぁ? だからどういう内容なの?」ですと?
アッシに聞くな!とキレても、「おまえ、感想記事書いてるんちゃうんかい!」とキレ返されそうですな。
なんせテレンス・マリックですから。 好きな人は超感動できると思いますよ。
でも「もうマリックさんはコリゴリだわ」と思ってる人が性懲りもなく観に行ったら、確実に落ちます。 爆睡できます。

言うなれば昔あった「NHKスペシャル 地球大進化46億年・人類の旅」みたいな映像がずーっと続きまして、ケイト・ブランシェットのゆったりとしたポエムのナレーションがかぶさってきます。
そこから何を読み取ればいいのかというと、巨匠が過去作から一貫して語ってきた「命」へのリスペクトなのであることには違いないのでありますが・・・。
ドラマではなくドキュメンタリーでもない。 「命が生まれてそして消え去っていくその儚さがもうたまらんやん。 命に囲まれて生きて死んでまた生まれてくる命が繋がり合う世界って素敵やん。」・・・と巨匠がしたためた絵と詩。 それがこの映画。

なんていうかねえ。 この巨匠の特に最近の作品って、予告編観たら、そこから想像したとおりの範囲で収まる内容で終わるんですよ。
トーンもテンポもいつもの調子で、哲学書を読まされてるかのような語り口なのは相変わらず。
映像がヤバいほどビュ~チフルなので退屈はしないけど、感動もしませんでしたな。
        

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「哭声/コクソン」

一言で言うとコリアン・オカルト・ムービー。 韓国のこの手の恐怖映画ってのはまあまあ恐いですからねえ。
でも単純なオカルト映画ではないのですよ。
監督はナ・ホンジン。 あの「チェイサー」の監督さんですから、きっつい映画なんだろうなと覚悟してた通りに、いい意味で追い詰めてくれましたね。
本当に2時間半もあったのかと思うほど、緊張しっ放しで観てると時間はアッという間。
日本の國村準さんも出てまして、大鐘賞と並ぶ権威ある韓国映画祭のひとつである「青龍映画賞」において男優助演賞、人気スター賞の2冠を獲得する快挙を達成しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とある田舎の村で、村人が自分の家族を惨殺するという事件が連続して起きる。
どの事件の加害者も濁った眼をして、体中に湿疹ができており放心状態。
幻覚性の毒キノコが原因とされていたが、村人の間では、いつの頃からか山の中に住み着いた日本人らしい"よそ者"(國村準)が怪しいと噂していた。
村の警察官ジョング(クァク・ドウォン)は、事件を目撃したと言う謎の女と出会ったことから、例の"よそ者"の男の素性を調べ始める。
一方でジョングの幼い一人娘ヒョジンの体に湿疹ができ、熱を出して寝込んでいたが、やがてヒョジンは言葉遣いや行動がどんどん凶暴化していく。
ジョングは娘を救うために祈祷師を呼んで悪魔払いをしたり、"よそ者"が住んでいる家に直接乗り込んで正体を探ろうとするのだが・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これを観終わって、誰もが思うであろう、"結局あいつは何者?"という疑問のカオス。
何かに取り憑かれたらしい娘のために必死になる父親。 祈祷師にすがる。よそ者を殺そうとする。
やれやれと思ったら、また・・・・。
いつぞや会った謎の女が出てきて助言をするが、明らかにこの世のものではないので信じていいのやら。
インチキくさいように見えた祈祷師も、まあまあマジな奴だったが、最後の行動は何を意味するのか。
國村準演じる"よそ者"も善の顔を出したり悪の顔を出したりと行動自体に一貫性がなくて、正体については混乱するばかり。
ただラストでは國村さん、凄い姿に変身しますけど。

事件の真相や禍々しいモノの正体がハッキリと提示されないまま映画が終わるのですけど、アッシはあれこれ考えましたがどうしても辻褄の合わない点も出てきますねえ。
でもこの映画はそこなんでしょう。 目に見えているものが信じることのできない恐怖。
善悪の分からない恐怖に主人公がもがき苦しむクライマックスはとんでもない緊迫感です。
        

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「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」

ナチスドイツの親衛隊中佐だったアドルフ・アイヒマンが裁判にかけられ、「私はただ指示に従っただけだ」と繰り返したその姿に、「人は誰でも権威に服従してしまうのか?」という疑問が呈され、それを証明すべく行われたのがイェーツ大学の心理学助教授スタンレー・ミルグラム博士による『アイヒマン実験』。
これによって、「ごく普通の人でも一定の条件下では誰でも残虐行為をしてしまう」ということが立証されるのですが、周囲からは詐欺だ、非倫理的だと凄まじい非難を浴びました。
この映画はミルグラム博士が挑んだ人間心理の探求と倫理のジレンマにあがきながら我が道を歩き続けた異端の研究者の物語です。

『アイヒマン実験』はなんとなく知っている方もおられるでしょう。
簡単に説明しますと。 「教師役」が出した問題の答えをまちがえた「生徒役」にペナルティとして電流が流されるというもの。
~~~~~~~~~~~~
2人の被験者が呼ばれ、実験協力の謝礼を渡された後に、くじ引きで「教師」「生徒」という役割が充てられる。
2人はそれぞれ別室に別れる。 互いの姿は見えない。
実は、くじ引きはどれも「教師」と書かれており、先にくじを引いて必然的に「教師」となってしまった人が真の被験者。
「生徒」役になった人物は実はサクラ。
「教師」はまず「生徒」がこれから受けることになる電流の45ボルトのレベルをサンプルとして体験させられる。 まあまあピリッと来るらしい。

ここからが本番。
「教師」「生徒」に問題を出す。(記憶力が要求される、形容詞と名詞の組み合わせの4択問題)
「生徒」が答えをまちがったら「教師」は目の前の機械のスイッチを入れて「生徒」に電流の罰を与える。
スイッチは全部で30あり、左端が最小の15ボルトで右端が最大の450ボルトである。
「生徒」がまちがうごとに、「教師」は一段階ずつ強度の上がる電流スイッチを入れなければならない。
そのたびに、「教師」は壁の向こうの「生徒」の苦しむ声を聞かされる。
心配ご無用。 「生徒」は演技をしているだけなのだから。 電流なんて流されていない。

サクラの「生徒」は最初は正解したりまちがったりを適当にやっているが、途中から間違える頻度を多くし、電流が上がるごとに苦しむリアクションが大きくなる演技をする。 「痛い!」 「もういやだ!」 「やめてくれ!」
300ボルトまでいったら、壁を叩いてくる。 330ボルトぐらいまで行くと無反応になる。
「教師」は事前に45ボルトを体験しており、100とか200とかの電流の怖さが想像できるので、別室の「生徒」の様子が気がかりでならない。
後ろにいる係員を振りかえって中止を促しても、係員は「続けてください」とか「続けてくれなければいけない」「続けるべきです」などと繰り返し、結局、実験対象者の「教師」は困惑しながらも最後の450ボルトのスイッチを入れてしまうのである。

実験が終了し、ミルグラム博士から「なぜスイッチを入れたのか?」と聞かれた被験者は「続けろと言われたから」と答えるのだ。
この実験は40人に行われ、62.5%の25人が450ボルトのスイッチを入れ、300ボルトに達するまで辞めた被験者は一人もいなかったという。
様々な条件が複合しての状況とはいえ、人は容易くも命令の奴隷と化すということだ。

~~~~~~~~~~~~
そんなのズルいっちゃあズルいよね。
確かに、白衣を着て後ろで観察してる責任者が「続けろ」って言ってんなら、取り返しのつかないことにならない自信があるんだろうなと、こっちも安心するわけじゃないにせよ、スイッチ入れちゃうよね。 実験に協力するんだという責任もあるんだし。
この博士は他にもユニークな心理実験を数多くやってまして、それらの実験の数々が出てきて興味深いですが、この博士、よっぽど人嫌いだね。
ただ、この映画。 伝記物の物語としてはさほどの面白さは無いですね。 いろいろ深い描写はありますけど。
ミルグラム博士を演じたのは「マグニフィセント・セブン」のピーター・サースガードで、さすがのカメレオン俳優ぶりです。
後半、変なヒゲを生やした顔がおかしかったですが。
        

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「SING/シング」

ムーン劇場の支配人であるコアラのバスター・ムーンは、すっかり客足の途絶えた劇場を守るために歌唱コンテストをプロデュースする。
賞金は1000ドル。 しかしちょっとした手違いで100000ドルと印刷されたチラシが出回って参加者が殺到。
オーディションの結果、6名が選ばれる。
子育てに追われるブタのロジータ。
カレシと別れたばかりのパンクロッカー、ヤマアラシのアッシュ。
強盗稼業に明け暮れる父親と仲たがいしたゴリラのジョニー。
極度の引っ込み思案で、家族からプレッシャーを受けているゾウのミーナ。
ハイテンションなダンサー、ブタのグンター。
オレ様風を吹かせる自信家のジャズミュージシャン、ネズミのマイク。
自分の人生を変えるチャンスが来たと信じて劇場に集まった彼らは果たしてどんな歌声を披露するのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ミニオンズ」や「ペット」などのイルミネーション・エンターテインメントが放つ新作アニメですが、これは楽ちぃ~ねえ。 早くも続編の製作が決定してますよ。
全編ミュージックに溢れかえり、ちょろっとワンフレーズだけしか流れない曲も入れたらザッと60曲以上。
洋楽に疎い人でも、「あっ、この歌知ってる」っていうのが必ず何曲かはあるはず。

滑り出しから「ゴールデンスランバー」を持ってくるか!
ニッキー・ミナージュの「アナコンダ」をちょっとだけ歌い踊ったウサギさんたち。 あれ、フルで見たかったですな。
崩壊してしまった劇場の瓦礫の上でミーナがレナード・コーエンの「ハレルヤ」を歌うシーンもジーンときましたねえ。
アッシュの歌う書き下ろし曲「セット・イット・オール・フリー」がカッコいい!素晴らしい!
スカーレット・ヨハンソンの歌唱がヤバい! 飛んでくるハリに刺されたい!
難しい歌ばっかり歌うミーナのスティービー・ワンダーの「くよくよするなよ!」も感動しましたね。
きゃりーぱみゅぱみゅまで聴けるとは!

気になるのは日本語吹き替え版ですけど。
違和感とか大丈夫ですかね? そんなに悪い評判は聞こえてきてないので良かったのかな?
        

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「パッセンジャー」

ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット共演のSFヒューマンドラマ。
女子やヤロウがお一人様で観ても別にいいのですが、ご夫婦、恋人同士で鑑賞するにはうってつけのデートムービー。

宇宙船アヴァロン号は5000人の乗客と258人のクルーを乗せ、人類移住計画の目的地である惑星「ホームステッドII」を目指していた。
到着までは120年かかるので全員冬眠ポッドでオネンネ中。
ところが、その中の一つにエラーが生じ、目覚めてしまった男、ジム(クリス・プラット)。
まだ90年あるというのに、彼は一人ぼっちのまま船内で一生を終えなければならない。
あまりの孤独感に苛まれた彼は、他のポッドの中に見つけた一人の美しい女性に惹かれ、いけないと分かっていながらポッドを操作して彼女を目覚めさせてしまう。
女性は作家でジャーナリストのオーロラ(ジェニファー・ローレンス)。 もちろんジムはオーロラに本当のことは言わず、後ろめたい気持ちを抱えながら、共に船内で暮らし、やがて二人はラブラブに。
しかし、ジムがオーロラを故意に目覚めさせてしまった事実が彼女に知れてしまう。
二人の関係は最悪な状況になるが、さてお二人さんは仲直りできるのか・・・と、実は悠長なことは言ってられず、この宇宙船は大きな故障を発生させてた“沈みゆく船”だったのだ。
さあこの危機をどう乗り越えれるのか、という話であるが・・・・・。

それにしたって、ジムのやったことは極悪人の犯罪ですよ。
寂しい気持ちは分かるけど、一人の人生を破壊したこの男には最後までモヤモヤします。
オトコマエだから良かったかもしれんけど、これがもしも、パンチの利いたブサメンだったら女性は災難でっせ。

それと途中で甲板長のガス(ローレンス・フィッシュバーン)というオジサンが、これもポッドの故障で目覚めて出てくるくだりはあまりにもご都合的。
そりゃこの人が出てこんかったら、宇宙船の故障も気がつかなかっただろうし、修理のためのシステムへのアクセスもできんかっただろうしね。
で、この人、やることやったら、あとは用済みみたいにすぐ死んじゃうし。 この扱い・・・。
でもクライマックスはまずまず迫力もあり、ラストは意外に感動できたから、まあいいかね。

アンドロイドのバーテンダー、アーサー。  なんで秘密をペラペラしゃってしまうの? 使えねえ奴だ。
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コメント

アーサーが秘密をばらした理由

こんばんわ。
いつも楽しく読ませていただいています。

「パッセンジャー」私も見ました。
アーサーが秘密をしゃべったのには理由がありますよ。

そのシーンでこんなやり取りがありました。
カクテルを作るアーサーにオーロラが「年齢を確認しなくていいの?未成年かもしれないわよ」
アーサー「紳士の前で女性に年齢を聞くような野暮なことはしません」
オーロラ「私とジムの間には秘密なんてないわよ。ねえ?」
ジム「そのとおりさ。秘密なんてないよ」
それを聞いたアーサーが「もう秘密ではなくなった」と解釈してしゃべってしまったんです。

ジムはアーサーのことを怒ったりしなかったので、ジム良い奴だなー、なんて思いました。

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Re: アーサーが秘密をばらした理由

古都子さん、コメントありがとうございます。


> オーロラ「私とジムの間には秘密なんてないわよ。ねえ?」
> ジム「そのとおりさ。秘密なんてないよ」
> それを聞いたアーサーが「もう秘密ではなくなった」と解釈してしゃべってしまったんです。

なるほど。
そういう風に解釈されてしまってはしょうがないですね。
難しいなあ、アンドロイドは。
でもアーサーはどこか安心させる、いいキャラなので、うちにも置きたい。

> ジムはアーサーのことを怒ったりしなかったので、ジム良い奴だなー、なんて思いました。

秘密を抱えたままじゃ、やっぱりしんどかったのかも。
アッシなら怒っちゃうなー、なんて思いました。

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