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マグニフィセント・セブン
2017年02月15日

T0021185p.jpg「父ちゃん、ただいまぁ。」
「息子よ、こっちに来て座りなさい。」
「なあに?」
「おまえ、また学校で悪さをしたらしいな。」
「さては先生、チクッたな。」
「なんだ、その言い草は。 一体何をやらかしたんだ?」
「女の子のスカートをめくったらピーピー泣かれちゃってさぁ。」
「最低だな、おまえ。 そんなのは小学生のやることだ。」
「小学生だけど、僕。 っていうか小学生でもやっちゃダメっしょ?」
「わかってるんなら、そんなしょうもないことをするんじゃない。」
「二度といたしません。」
「これだけは言っとくぞ。 女の子を泣かせる男は人間のクズだ。いいな。」
「アイアイサー。」
「それでナニ色だった?」
「ハ?」
「パンツの色だ。 ナニ色だったかと聞いてるんだ。」
「よく見てないし覚えてないんだよね。」
「おまえはやっぱり人間のクズだな。」
「なんだよソレ!」
「まあいいだろ。 よし、息子よ。今から映画を観に出かけるぞ。」
「やったー! 行こう行こう。 『妖怪ウォッチ』が観たいなあ。」
「ガキか、おまえは。」
「ガキですけど。」
「おまえが一人前の男になる教育のための映画を観に行くのだ。」
「難しそうなのは観たくないよ~。」
「何も難しくはない。 これを観て学べば、おまえも明日からモテ男だ。」
「マジで? そりゃぜひ観なきゃね。」
「そうだ。 少なくともスカートをめくっておいて見るべきモノを見逃すクズにはならない。」
「まだ言ってんのかよ!」
「ただ面白がって意味のない行動をするなと言ってるんだ。」
「父ちゃんの言ってる意味が分からんわ。 それで?観るのはなんていう映画?」
マグニフィセント・セブンだ。」
父ちゃん、それ3回続けて言ってみて。」
「ことわる。 さっき何回も練習して、やっと舌を噛まないようになったところだ。」
「そこまでのタイトルじゃねえでしょう! 舌足らず過ぎだよ。」
「男に早口言葉のスキルなど不要だ。 とにかく映画館に行くぞ。」

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「息子よ、『七人の侍』を以前にDVDで観せたよな。」
「クソ長い映画だったねえ。」
「クソ長いとか言うな。 大和民族の宝だぞ、あの映画は。」
「確かにあれは子供でも楽しめる娯楽傑作だよね。」
「ならば、その『七人の侍』をハリウッド・リメイクした『荒野の七人』はどうだ?」
「父ちゃんとこの前、『午前十時の映画祭』で観たじゃん。」
「そうだったな。 アレを観ておきながら、学校で女子を泣かすとは、おまえは何も学んでおらんようだな。」
「そこまで深く考えながら観てないよ。」
「今から観る『マグニフィセント・セブン』は『七人の侍』と、そのリメイク作の『荒野の七人』を原案にした西部劇だ。」
「じゃあ、おんなじ話?」
「9割方は同じと思っていいんじゃないかな。」
「監督はアントワン・フークアか。 『イコライザー』とか『エンド・オブ・ホワイトハウス』とか面白かったよね。」
「キャストもいいなあ。 デンゼル・ワシントンにイーサン・ホークの顔合せは同じフークア監督の『トレーニング デイ』の再コラボというのが憎いなあ。」
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「父ちゃん、面白かったね。」
「エンドタイトルにエルマー・バーンスタインの『荒野の七人』のメインテーマが流れた時はしびれたなあ。」
「ドラマよりもアクション重視だったね。」
「そりゃあ、どう作ったって『七人の侍』を超えられる訳はないし、『荒野の七人』ほどのカタルシスにもほど遠いが、その分アクションはド派手になっている。 これはこれで十分楽しめる痛快な西部劇だな。」
「アントワン・フークアが『荒野の七人』をどう料理するか?だったけど、割とストレートだったね。」

「依頼人の女性のエマ以外の村人とガンマンたちの交流のドラマも排除してしまってるので、“弱きを助けて悪をくじく”大義のスピリットに対するアクセントも弱い。 フークワはそこらへんは承知で、勧善懲悪の動機にいちいち理屈を持ちこまないことにしたんだろう。」
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「いろんな人種が出てくるのも特徴だね。」
「黒人、アジア人、メキシコ人、ネイティヴ・アメリカン。 しかもアジア人+残り3人の白人は全員死んでしまうからなぁ。」
「トランプさんへのあてつけ?」
「撮影が始まったのが一昨年だからそんな他意はないと思うけど、多様性を拒む今のアメリカにタイムリーなほどの牽制になってるな。」
「“正義より復讐を”と言ったエマさんに賛同したはずのリーダーが実は復讐目当てだったオチのつけ方も意外。」
「そうだな。 過去作と比較してしまったら賛否両論になるだろうけど、せっかくデンゼル・ワシントンがやってる役だし、ただのクールな賞金稼ぎに終わらず、家族を愛していた人物の血肉の通いが感じられた点では却ってこれも良かったと思うけどな。」

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「どうだ息子よ。 少しはいい勉強になっただろ。」
「そうだね。 見返りを求めずに正しいことを為す男たちって憧れるよね。」
「では聞こう。 もしも目の前に、女の子を泣かしている悪ガキがいたらおまえはどうする?」
「大統領に頼んで入国禁止にしてもらいます。」
「ダメだ。 どこの国の話をしている。 そうじゃないだろう。」
「分かってるよ。 そいつが自分よりも強そうで痛い目に遭いそうでも、たとえ勝っても女の子が僕と付き合ってくれる訳でもないと分かってても、いけないことはいけないと正面切って問題に向き合う勇気が大事なんだね。」
「そうだ。 これも言っておこう。 弱い者いじめは絶対にするな。 人間として基本的なことだ。 人間はみな強くあれというのは土台無理で、差がつくの仕方がないことなのだ。 だからと言って『世の中は弱肉強食で万々歳だぜー』と弱きを虐げるボケナスこそ生きるに値しないただのアホだ。」
「きっつー。」
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「はじめから弱い者はいないんだ。 強い者が我慢知らずで、独りよがりで、思考が浅くて、欲深いばっかりに理不尽な力を振るうからこそ弱いものが生まれる。 なぜ認めない? なぜ手を差し伸べて共に歩もうとしない? 同じ時代に生まれて同じ学び舎にいるのに、うざいとかブサイクだとかつまらん理由で人をいじめるヤツらには自分のカッコ悪さが分からんのか? ドラマや漫画でいえば脇の脇のクズキャラだぞ。 なぜそんなモノになりたい? アホだからか?」
「父ちゃん、止まらないなあ。」
「いずれにしても、人間関係で生まれた差と言うのは弱い者から何かを奪うために利用するもんじゃない。 弱い者を踏みつけたりするための武器にしてもならん。 いいか息子よ。 強き力は正しきことに使え。 弱き者を助けるのだ。 男としてマグニフィセント(崇高な)であれ。」
「アイアイサー。」
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Commentary】 
南北戦争終結から14年後の1879年。
アメリカ西部の町ローズ・クリーク。
ヨーロッパから入植してきた開拓者の血と汗の結晶である小さな町は、今や非道な資産家バーソロミュー・ボーグが金の採掘の拠点にするために住民に立ち退きを迫っていた。
保安官も買収されていて、住民にはただ泣き寝入りするしか道はない。
逆らった者は容赦なく殺され、教会も燃やされてしまったローズ・クリークは絶望の空気だけが流れていた。
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バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)
非道なやり方で巨万の富を築いたサクラメントの資産家。
私腹のためには手段を選ばずに農民や労働者から搾取するゲス富豪で、付いた仇名は「略奪男爵」。
なにか変なヤクでもキメてるのか、終始イッてるような目つきで面倒くさそうな喋り方をするところが不気味さに拍車をかけている。
金と物量でブイブイいわす、神をも恐れぬM字ヘッドの暴君である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夫をボーグに殺された妻のエマ(ヘイリー・ベネット)は、ボーグと戦ってくれる用心棒を捜し、やがてお尋ね者を追っていた賞金稼ぎのチザムと出会う。
エマの依頼にチザムは問う。
「復讐を望むのか?」
「正義を。 復讐は手段よ。」
かくしてローズ・クリークに迫る危機を救う決心をしたチザムは共に戦う仲間を次々とスカウトしていく。
そして集った崇高なる7人の戦士たち。
一週間後には町に襲来するボーグの率いる数百人もの軍勢を相手に、ただ真っ直ぐに正義を貫く男たちの誇り高き戦いが幕を開けようとしていた・・・・・・・


【荒野の神セブン】
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[1] サム・チザム(デンゼル・ワシントン)
南北戦争時は北軍の騎兵隊に所属していたスゴ腕のガンマン。
7州にまたがって委任執行官を務めながら、賞金稼ぎとして日々お尋ね者をハンティングし、庶民のみなさんに安眠を提供する西部のイコライザー。
憎たらしいほど常に冷静沈着で、弱者の心に寄り添える慈悲深いハートの持ち主でもある。
バーソロミュー・ボーグとは実は浅からぬ因縁がある。

銃は定番のピースメーカーだが、グリップを前に向けてホルスターに差し、右手首を返して抜くリバースドロー(キャバリー・ドローともいう)というトリッキーなスタイルで銃を抜くのが特徴。
40~50年代に活躍した西部劇スター、ワイルド・ビル・エリオットが得意としていたスタイルであり、「平原児」(36)という映画でもゲイリー・クーパーが披露しているシーンは有名。
ちなみに全身黒づくめなのはユル・ブリンナーのオマージュ。

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[2] ジョシュ・ファラデー(クリス・プラット)
酒・女・バクチ・・・・・男をアゲるかサゲるか紙一重の三種の神器をこよなく愛する、さすらいのギャンブラー。
笑いどころのつかみ辛いジョークを常にまくしたてるので、一見ガサツなチャラ男に見えるが実は人一倍義理堅いホカホカハートの人情マンなのだ。

もちろん銃さばきは超一流で、ピースメーカーの2丁拳銃というスタイル。
右の銃を「妻のエセル」、左の銃を「愛人のマリア」と呼んでおり、そのためか、他人に銃を触られることを殊のほか嫌がる、西部きってのDQN全開野郎である。

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[3] グッドナイト・ロビショー(イーサン・ホーク)
元南軍の兵士で、アンティータムの戦いで23人の敵兵を撃ち殺した伝説を持つ“死の天使”。
終戦後、賞金稼ぎをしていた際に知り合った東洋人のビリーとアツアツの友情を育んで、以来仲良くコンビで行動。
敗戦で捕虜になった時に北軍のチザムに助けられたことから多大な恩義を感じており、もちろんスカウトを快諾。

愛用のウィンチェスターライフルで発揮する狙撃スキルは百発百中、千発千中。
頼れるスナイパーとヨイショしたいところだが、これまで多くの死を見てきたトラウマに苛まれており、いざという時にチビるほどメンタルがブレイクダウンしてしまっている。
迷惑はかけられないと途中でドロンしてしまうが・・・・

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[4] ビリー・ロックス(イ・ビョンホン)
お尋ね者として、賞金稼ぎのグッドナイト・ロビショーに追われていたが、あまりにエグい戦闘力を持ったこの東洋人に惚れたロビショーから“友達申請”されて、それ以来ヒューヒューなお熱い仲に。
心に傷を負ったロビショーを常に気遣っているが、少々過保護な面も微笑ましい。

早撃ちの名手であるが、それ以上に目を見張るのがナイフを手にした時の戦闘力。
ガンベルトに差した、長さの異なる9本の短刀で敵をバッサバッサと調理していく、殺しのウエスタン・シェフである。
「ナイフとは、投げる・刺す・裂く。 それだけだ。」

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[5] ジャック・ホーン(ヴィンセント・ドノフィリオ)
森の中で熊さんに出会うことはあるが、西部の荒野で出会える熊さんとは彼のこと。
ファラデーいわく「人間の皮を着た熊」という表現もバッチリな、ワイルド極まりないビジュアルの山男。
北米インディアンのクロウ族を300人殺したというハードな逸話を持っているが、意外に人懐っこくて、しかも信心深い。

M1873ウィンチェスターというイカついライフルを持ってはいるが、戦闘になればさすがに山男。手斧と15インチのボウイナイフを振り回して相手に突進する「13金」のジェイソンばりのバトルを好む。
「主よ、示したまえ、我が道を。」と聖書の一節を吠えながらナイフで敵をえぐっていく光景はホラーでシュール。

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[6] バスケス(マヌエル・ガルシア・ルルフォ)
チンケな強盗に明け暮れていたが、テキサス・レンジャーを殺してしまって賞金首へと見事昇格したメキシカン。
チザムに追い詰められた時は、小屋の中で死体と添い寝していたという、乙なところがあるテラスハウスなアミーゴでもある。
ボーグとの戦いに加わるのなら放免という条件を呑んで仲間入り。

形から入るタイプなのか、銀メッキの2丁拳銃をガンスピンしながら撃ちまくるという、イキリ丸出しのタコス野郎だ。
良い子はマネしちゃダメ。 実弾が入った銃をクルクル回すのは映画だけだぞ。

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[7] レッドハーベスト(マーティン・センズメアー)
メンバー中、最年少のネイティヴ・アメリカン。
名前はコマンチ族の言葉で「赤い狩人」の意味。
長老から「おまえの道は皆とは違う。」とハミゴにされ、スネながら旅していたところをチザムと出会う。

弓矢の名手で、その素早さと正確さは「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラスとタメを張るほど。
戦う時は顔にペインティングするという、こいつもイキリたがりの部類。
白人の食事が口に合わず、「犬の餌だ」とレビューしたまま一切口にしないので、かなりのすきっ腹で戦っていたはず。


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男たるもの、大義に生きて大義のもとに死すべし。
死に場所も死にざまも己で示し、決して命を持ち腐らせるな。
泣く者と共に泣き、泣かせる者に憤怒せよ。
正義を為してこそ、男の道は輝く。
誰かのために流した崇高な血を糧に、正された未来が芽を吹く。



「賢人のお言葉」
 
「死への準備をするということは、良い人生を送るということである。 良い人生ほど、死への恐怖は少なく、安らかな死を迎える。 崇高なる行いをやり抜いた人には、もはや死は無いのである。」
 レフ・トルストイ
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