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他にもこれ観ました  ~10月編(上)
2016年10月23日

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「アイ・ソー・ザ・ライト」

1940~50年代に活躍した伝説のカントリー・シンガー、ハンク・ウィリアムス。 といっても馴染み薄いでしょうかねえ。
アッシもよく存じ上げてない方です。
曲で言えば、「ジャンバラヤ」。 カーペンターズもカバーした「♪ グッバイジョー、ミガーリゴー、ミオーマイオー」って歌ってるおなじみの名曲ですね。
あとは「ホンキー・トンク・ブルース」や、ノラ・ジョーンズがカバーした「コールド・コールド・ハート」などヒット曲が山のようにあります。
「アイ・ソー・ザ・ライト」も、聴けば「あ~、この歌か」と思っていただけるはず。

トム・ヒドルストンがハンク・ウィリアムスを演じる伝記映画ですが、功績をヨイショするだけで終わらないのは昨今の伝記映画の作り方の流れとはいえ、ま~、この人の私生活はギスギスし過ぎ。 ほとんど、そういう陰の部分だけに絞ったような映画です。

ケチャップ大好きなケチャラーのハンク・ウィリアムス。
彼は生まれつき「二分脊椎症」という持病があり、生涯背中の痛みに悩まされたそうで、それから逃れるためにモルヒネなどの鎮痛剤を多用したり、アルコール依存症に陥るなどで身体がボロボロでした。
そのために29歳という若さで亡くなってしまうのですが、それ以外にも色々とございました。

バンドでたまに奥さんのオードリー(エリザベス・オルセン)も一緒に歌ったりするのですが、これがまたヘタ!
まだハンクがそんなにメジャーでなかった頃、売れるためにはハッキリ言って、この奥さんはお呼びでない。
それでもシンガーの夢をあきらめきれない彼女と、ハンクのお母さんとも、絵に書いたような嫁姑戦争状態。
子供ができたのでどうにかやってたんですが、売れたら売れたで天狗になるハンク。
酒に溺れる、浮気はする、離婚する、酔ってコンサートをドタキャンする・・・
とにかくマイナー・エピソードの雨あられ。
知らない人から見ればこの人、本当に売れたの?って思うでしょうね。
トム・ヒドルストンの好演もあって、内容は悪くはないんですが観てて気が滅入る映画です。
陰の部分だけでなく、アーティストとしての陽の部分をもっと観たかったですね。
        

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「メカニック:ワールドミッション」

チャールズ・ブロンソンの名作をリメイクして、2011年にヒットした我らがジェイソン・ステイサム兄貴主演のアクション映画「メカニック」の続編。
殺人の痕跡を残さず、事故死に見せかける殺し屋。 その名はアーサー・ビショップ。
精密機械のように仕事をこなすメカニック兄貴である。
前作のラストで死んだように見せかけた兄貴はちゃっかり高飛び。
ブラジルのリオで完全隠居ライフを送ってたが、裏稼業の人間はやっぱりすぐに居場所がばれる。

兄貴がまだ鼻たれ小僧だった時に、ギャングに売られて少年兵士として訓練を受けてたのだが、一緒に訓練を受けてたのがクレインという男。
ギャングの元から自分だけトンズラしたビショップ兄貴を恨んでいたクレインは、兄貴のカノジョをラチって脅迫。
3人の武器商人を暗殺してちょうだいというミッションを押し付けるのだ。
ここで「イヤじゃ、ボケ!」と言うわけにもいかず、兄貴はこの難攻不落のミッションに挑むことになる。
カタギじゃない故にガードの固い相手だけに非常に難しく、成功したとしてもどうせクレインに殺されるに決まってるのである。
さあどうするよ兄貴。

ステ兄ぃのアクション映画は全部観てるわけではないが、良くも悪くもステ兄ぃの映画であります。
ストーリーとしてはヒネリもないし、毎度お決まりのような展開にツッコミポイントのバーゲンセール。
ジェシカ・アルバは可愛いが、このキャラ、ジェシカ・アルバじゃなきゃダメか?
ミシェル・ヨーの使い方ももったいない!
しかしである。 我々観客に日頃の疲れを癒して英気を養っていただくためにステ兄ぃのアクション映画がある。
今回もキレッキレだ。 四の五の考えずに楽しんじゃっていいんじゃない?
ラストシーンは、引田天功の脱出マジックを思い出しましまして、ちょっと笑ってしまいましたがね。「あっ!出てきました!出てきました!」
防犯カメラに映ってしまってるぜ兄貴!
        

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「SCOOP!」

福山雅治がパパラッチを演じる社会ドラマ。
監督は「バクマン。」の大根仁。
落ちぶれたスクープカメラマン都城静役として、ましゃ君がイメージを覆す熱演です。
いきなりからカーセックスですからな。
「すんげえ、いい乳してやがんなー!」とか、「ヤリマン最高~!」とか、そんなセリフばんばんかましてますし、タバコをめっちゃ吸いまくってます。
途中から「何本吸うてんねやろ?」と数えたくなりました。

手段を選ばないやり方で著名人のスキャンダルをカメラで暴いてきた男、静と新人カメラマン野火(二階堂ふみ)のコンビが様々なスクープを追いながら、静のジャーナリストとしての再生と、野火のプロフェッショナルとしての成長が描かれています。
これはなかなか面白かったですね。
スクープカメラマンの仕事そのものを描く方に偏ったジャンル映画ではなく、それぞれのキャラに深みがあって、むしろ濃密な人間関係のドラマの趣きになっています。
だもんで、気合満点のキャスティングが無駄になっておりません。

福山・二階堂は言うまでもなく他のメンツも負けていません。
鬼気迫るチャラ源のリリー・フランキーが凄まじかったですね。 さすがです。
滝藤賢一もカッコ良かったですね。
吉田羊って、今年何本映画に出てんの? お忙しい方ですなあ。

ロバート・キャパを持ちだしてくるところは少々あざといんですが、野火が撮った例の“あの写真”は、現実的には雑誌に載せられないでしょう。
まあフィクションですからね。
        

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「少女」

湊かなえ原作のベストセラーを「繕い裁つ人」の三島有紀子監督が映画化したミステリー。
本田翼と山本美月の共演ですが、「笑顔」が代名詞のような本田翼の、怒りをためた「私に話しかけんなよ顔」が凄いですよ。
アンジャッシュの渡部も出てましたね。「児嶋だよ!」 あっ、そうでした。

桜川女学院高校に通う高校2年の桜井由紀(本田翼)と草野敦子(山本美月)は幼なじみの親友同士。
敦子は剣道で将来有望とされていたが,ある試合でミスをし、それ以来クラスでいじめられている。
そんな敦子を助けずにいられずに悩んでいた由紀は彼女のために「ヨルの綱渡り」という小説を書き始める。
だがその原稿は、学校内で何者かに盗まれ、その後国語教師の小倉(児嶋一哉)が「ヨルの綱渡り」という小説で文芸賞を獲ったことから由紀の中に大きな怒りが生まれる。
ある日、学校に転校してきた紫織(佐藤玲)から「親友の死体を見たことがある」と告白された由紀と敦子は、人が死ぬ瞬間に興味を持ち、夏休みの期間、それぞれ老人ホームと小児科病棟へとボランティアに行くことに。
死に囚われた彼女たちは死の瞬間を見ることで、一体何を探しているのであろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
憎しみ、苦しみ、悲しみ、妬み、蔑みなど、あらゆるマイナス感情ばかりの心象を前へ前へと出して、人物の内的イメージを織り交ぜながら詩的な語り口で映画が進んでいきます。
最初は多少大仰な感じに面食らうかもしれませんが、慣れてくるとこれがまた心地いい。
とにかくダークなヤツばっかり出てきますが、悪いことをすると自分にはねかえってくる「因果応報」の暗黒譚が、変ることのない友情の物語という意外な着地でホロリとさせられるのが上手いですね。
        

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「ジェイソン・ボーン」

シリーズ最新作ですが、悪く言うと同じ事の繰り返し。
4作目ともなると、少しぐらいは「おっ?今回はちょっと違う角度から斬り込んできたね。」なって展開を期待したんですがね。
前作で記憶を全部取り戻したんじゃないの? えっ?お父さんのこと? まだ思い出さなきゃならんことがあったんかいな。
それでボーンも「ああ、そう言えば・・・」と記憶の断片が蘇えって、お父さんの死の真相を追うという話。

一方でCIAはボーンが動き出したということで、彼を消そうという側のトミー・リー・ジョーンズと「彼は戻りたがっている。 もう一度仲間に引き入れる」という側のアリシア・ビキャンデルの思惑が絡んで、例によっての追跡劇が展開されます。
前作、前々作に登場しているジュリア・スタイルズが前半であっけなく殺されてしまうのは、1作目のヒロイン、フランカ・ポテンテが2作目の冒頭で殺されてしまうシーンをなぞってるような感じです。

まあ、それでも全然つまらんこともなく、同じことやってても割り切って付き合えば面白く拝見できるもんですね。
ポール・グリーングラスのオハコである手持ちカメラも健在。
暗殺者のヴァンサン・カッセルとの対決もいい緊張感で見せてくれます。
最後の方は追う側と追われる側がなんで逆転したんかね? まあいいけど。
ラスベガスでの装甲車の逆走がえげつないですねえ。 15回撮り直したそうですよ。
        

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「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」

一冊の本が世に出るまでには、ただ作家が書いて、ハイおしまいではなく、出版社のスタッフによる校閲や編集を経て本が出版されます。
本は作家一人ではなく編集者との二人三脚で作られると言っても過言ではありません。
どんな名作が世に出るかは編集者の腕次第。

1920~30年代のニューヨークでカリスマ編集者として活躍したマックスウェル・パーキンズ。
F・スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイらの才能をいち早く見抜いて、数々の名作の編集に携わった人です。
パーキンズが関わった作家の一人に、トマス・ウルフという人がいます。 あんまり知りませんよねえ。 でもアメリカでは偉大な作家のひとりとして数えられる人です。

この映画はコリン・ファース演じるパーキンズとジュード・ロウが演じるウルフとの交流を描いた物語です。
表に出る作家と裏方の編集者という、複雑な葛藤も生じやすい関係が、これまた絵に書いたような展開を見せて、実際の二人がどうだったかは分かりませんが実に興味深い話です。

この映画に登場するパーキンズという人はずーっとソフト帽をかぶったまんま。
仕事場でも家の中でも食事中でもソフト帽を脱ぎません。 実際のパーキンズの写真は帽子姿など一枚もないのですが・・・。
ゴリゴリの仕事人間でして、家庭サービスどころではなく、奥さんも幼い子供も「こいつ、しょうがねえなあ」みたいな感じです。
ウルフの持ちこんでくるクソ長い小説を赤ペン先生のごとく「削除!削除!」と赤線を入れていく。 その容赦ない編集に対し、「トルストイだったら『戦争と無』になっちまうぞ!」と言うウルフのツッコミがナイスでした。

トマス・ウルフもカノジョのアリーン(ニコール・キッドマン)のことなんかそっちのけ。
嫉妬深いアリーンが出版社に押しかけてパーキンズに銃を突きつけたりなんかします。
それほどパーキンズとウルフの本の出版に賭ける仕事ぶりは、まるで夫婦のよう。
だから「おまえが売れてるのは編集者のおかげだろう?」なんて世間から言われたウルフと、一人でやらせてみせようという親心を見せるパーキンズの二人が決別する時がやってくるのですが、本当の悲しい別れが訪れてしまいます。

37歳とは若いですねえ。
ウルフがパーキンズに宛てた"最後の作品"ともいうべき、「親愛なるマックス」という手紙が泣かせます。
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