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エル・クラン
2016年10月14日

T0021063p.jpg この御時世、突然失業することもある。
そんな時、ふと商売でも始めようかと思いついたものの、潤沢な資金もないし、コネもない。
だが、家族がいる。
妻や子供たちという立派な"人手"さえあれば、あとはアイデア次第だ。
たいそうな元手がなくたって、家族ぐるみで出来るような仕事は何かあるはずである。

ただし、「家族経営」にブラック企業が多いのが世の実情。
自分たちが始めた仕事がブラックなものにならないように、ぜひとも家族みんなが協力し合わねばならない。 ・・・と言いたいところだが。
______________

今から30年ほど前の1985年に、アルゼンチンを揺るがした犯罪事件がある。
※ ※ ※
ブエノスアイレス郊外のサン・イシドロの中心街。
マルティン・イ・オマール通りの一角にマリンスポーツ・ショップを構える家で暮らすプッチオ家。 その家族構成は―――
父・アルキメデス・ラファエル・プッチオ(当時56歳)
母・エピファニア・アンジェレス・カルボ(当時53歳)
長男・アレハンドロ・ラファエル(当時26歳)
次男・マギラ・ダニエル(当時23歳)
三男・ギジェルモ・J(当時21歳)
長女・シルビア・イネス(当時25歳)
次女・アドリアナ・クラウディア(当時14歳)

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その街で長年暮らしているプッチオ家は近所の人たちからも慕われる裕福な一家だった。
だが彼らの周辺では金持ちの家ばかりを狙った身代金誘拐事件が多発していた。
やがてブエノスアイレス州誘拐捜査課は、このプッチオ家に踏み込み、監禁されていた女性一人を救出するとともに、プッチオ・ファミリーのうち5人と長男の恋人モニカ・ソビック(当時21歳)を、4件の誘拐と3件の殺人の容疑で逮捕する。(三男と次女は犯罪の加担を疑われず)
その後、母と娘、長男の恋人は釈放されるが、父アルキメデスと長男アレハンドロ、次男マギラは裁判で重罪となる。

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アルキメデス・プッチオは、元はイサベル・ペロン失脚後の軍事政権下で秘密警察のような部署で情報管理官の仕事をしていた。
役職が役職だけに、もちろん汚れ仕事もしていたのだろう。
しかし、1982年のフォークランド紛争によって軍事政権が終わり、軍の幹部は軒並みその地位を追われ、アルキメデスも一転して無職となってしまったのだ。

そこで彼が手を出したのが誘拐ビジネスだった。
毎朝、自宅1階の息子が経営する店の前を熱心に掃き掃除しているのを多くの人が知っている、この穏やかな老紳士がまさか身代金誘拐で生計を立てていたなどとは誰もが知る由もなかった。
そんな凶悪犯罪を息子たちも手伝っていたのだが、罪に問われなかった妻や娘ら他の家族も全面的に関わっていなくとも、一家の主が何をしていたかは把握していながら黙っていたのではないかと言われている。

第72回ヴェネチア国際映画祭において銀獅子賞を受賞したアルゼンチン映画「エル・クラン」は、凶悪犯罪に手を染めたプッチオ・ファミリーの知られざる実態に迫った実録サスペンスである。
監督は「ホワイト・エレファント」のパブロ・トラペロ。
「瞳の奥の秘密」のギレルモ・フランセーヤがアルキメデス役で存在感あふれる怪演を見せている。
ちなみに"エル・クラン"とは「一族」の意味。

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どうも皆さん、私がアルキメデス・プッチオです。
センターの位置で、血色のいい顔をしているジジイが私です。
それでは私の愛する家族を紹介させていただきます。

まずは、手前のカーリーヘアは長男のアレハンドロ。 ラグビーチームでバックスをしていて、NFLからも誘いを受けているほどなのです。 自慢の息子です。
その隣が私の妻のエピファニア。 気のしっかりした高校教師です。 たまに肩や首をマッサージをしてあげるのですが上手だと褒めてくれます。
私の向こう側の隣りは次女のアドリアナ。 勉学をおろそかにできない難しい時期ですが一生懸命頑張ってるようです。
その隣は長女のシルビア。 彼女も教師でして、高校で美術を教えています。 妹想いのいいお姉さんです。
一番奥にいるのが三男のギジェルモ。 彼もスポーツが得意です。
そして今、この場にいませんが、次男のマギラは現在オーストラリアへ養羊業の勉強に行っております。

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「アレハンドロ、ラグビーの調子はどうだ?」
「まあまあってとこかね。 そういうパパはどうなのさ。 このまま隠居でもするの? それとも何か仕事を見つけるの?」
「そのことだがな、アレハンドロ。 私はいいビジネスを思いついたのだ。 これは絶対儲かるぞ。」
「おやおや。 さては、どこかのウェブサイトの隅っこにチョコンと出てくる広告に引っかかったんじゃねえの?」
「バカを言え。 これはな、私のオリジナルのアイデアだ。 聞いて驚くなよ。 それは『誘拐』だ。」
「ああ、ゲゲゲの鬼太郎か。 今ならジバニャンってとこかな。」
「それは『妖怪』だ、バカモノ。 私が言ってるのは『誘拐』だ。」
「弘法大師だっけ?」
「それは『空海』だ。 おまえ、どんな耳をしとる?」
「分かってるって。 ゴセイジャーに出てた千葉君でしょ。」 「千葉『雄大』のことか。」
「埼玉西武ライオンズの菊池。」 「『雄星』だっつーの。」
「じゃあ、なんなんだよ!」
「だからさっきから『誘拐』だと言っとるだろうが!」
「誘拐がどうやってビジネスになるんだよ?」
「決まっとるじゃないか。 人をさらって身代金をいただくだけだ。」
「やれやれ。 パパも遂にボケだしたか。 しょうがないな。 ねえねえパパちゃ~ん、誘拐はねぇ、とっても悪いことなんでちゅよ~、おまわりさんに怒られちゃうんでちゅよ~。 分かりまちたかぁ~?」
「おもてに出ろ。 ウンコちびるぐらいお仕置きをしてやる。」
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「犯罪なんかに手を出さなくったって・・・。 なんだよ急に。 別にうちの家計が苦しい訳でもないのにさあ。 パパは隠居して気が向いた時に僕の店を手伝ってくれればいいじゃないか。 なんでそんなにお金が欲しいのさ?」
「別にお金がどうとかいう訳じゃない。 今の国を見てみろ。 民政移管した途端に、この貧富格差は何だ。 ろくに汗水も流さずに要領よくやってるタヌキ野郎どもだけが羽振りが良くなって、のうのうと暮らしておる。」
「しょうがないじゃないか。 政治が変わったんだもん。」
「今は職を追われたとはいえ、この国のために働いてきた私にすれば、『しょうがない』で済ます気にはなれんのだよ。 ああいう成金どもがこの国をダメにしてしまうんだ。」
「だから、そういう連中の親族を誘拐して、身代金をせしめてやろうって訳?」
「それにな。 ああいう奴らは今の政府の官僚連中ともつながっていて甘い汁の吸い合いをしとるからな。 ちょいとギャフンと言わせてやろうっていう魂胆もあるのだよ。」
「執念深いねえ、パパは。」
「軍事政権時代から一緒にやってきたのに、その時になったら自分だけ上手く言い逃れして、いまだに政治家の椅子に座ってる裏切り者もいるからな。 そいつらに大恥をかかせてやる。」
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「でもさ、身代金誘拐って成功率がゼロに近いし、割に合わないって言うじゃん?」
「それは日本だけの話だ。 イスラム国なんか、それを資金源にしてるからな。 まあ見てろ。 そんなに要求を吹っかけさえしなければ、なんでも金で渡り歩いてきた奴らは身内の命のためには大人しく金を出す。」
「そんなにうまくいくかなあ?」
「いくさ。 おまえがヘマさえしなけりゃな。」
「なんて言った今ぁ? 僕にも手伝えっての?」
「その通りだ。 いいお小遣いになるぞ。 どうだ、嬉しいだろ?」
「イヤだね。絶対イヤだね。 そんなこと辞めようよ。 ねえパパ、考え直してくれよ。」
「もう遅い。 前職時代の部下の二人も手伝ってくれるし、このことはすでに女房やマギラも知っておる。 もう具体的な計画は練ってあるし、あとはおまえの協力次第。 おまえが手伝ってくれなくて失敗したら私がブタ箱に行くだけでは済まない。 家族みんなが困る。もう二度と町を歩けなくなるぞ。 そうなりゃ破滅だ。 それはおまえの責任だ。」
「そんな・・・ムチャクチャじゃないか。」
「腹を決めろ、アレハンドロ。 なあに、安心しろ。 おまえはターゲットを誘いだすためにひと芝居を打てばいいだけだ。 あとの肝心なことは私と部下がやる。」
**********
こうして父と子の誘拐ミッションが遂行される。
誘拐のターゲットは、あろうことかアレハンドロの所属するラグビーチームの同僚リカルドだった。
リカルドが運転する車をアレハンドロは路上で待ち伏せて停めさせる。
自分の車がエンストしたので送ってほしいと言ってリカルドの車に乗り込んだアレハンドロは道を案内するが、少し走った先の交差点でアルキメデスたちの車が道をふさいで、リカルドを引きずりだす。
頭に布袋をかぶせてトランクに押し込んでプッチオ邸まで直行。
これで誘拐完了。
リカルドはプッチオ邸の2階にある特別にしつらえた“監禁部屋”に布袋をかぶったまま拘束される。
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「人質ちゃん、ご飯だよ~。 あ~もう、うるせえな。 ギャーギャーわめくんじゃない。 何もしやせんよ。 うちの女房が作った料理だぞ。口に合うかどうかだがな。」
「実は君に頼みがあってな。 そろそろ君の御両親宛てに手紙でも書こうかなと。 もちろん君が書くんだぞ。 目隠ししたまんまで書こうと思えば書けるだろ? 私の言う通りに書けばいいのだよ。  両親が見たらドカ泣き間違いなしの、早く身代金を払いたくなるような、お涙頂戴の名文を書いてもらうからな。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よしよし、それでいい。 あとは最後に『パパ、愛してる』とでも書いとこうか。 おお、なかなかいいな。 感動してこっちまで泣きそうになるな。 いやあ、これで君の御両親がポンとお金を払ってくれれば万々歳だ。」
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「もしもし、マノウキアンさんかね? お宅んとこの息子さん、こっちで預かってるからね。 そうそう。誘拐ってこと。 飲み込みが早いね。」
「要求言うよ。 あのね、50万ドル。 アルゼンチン・ペソじゃなくてドルだからね。 でね。50万ドルを全部100ドル紙幣で用意して。 頼んだよ。」
「えっ?息子の声を聞かせてくれ? あいにく今はムリだ。 あとで息子さん直筆の手紙が届くよ。 一刻でも早く元気な息子さんに会いたいのなら、さっさとお金を払うことだ。 じゃ、よろしく。」
***********
アレハンドロがラグビーの練習に顔を出すと、リカルドが失踪したことがチームメイトの間で話題になっていた。
居心地の悪さを覚えるアレハンドロは練習に身が入らず、たびたびコーチから叱られる。
少しの辛抱だ。 リカルドの両親が金を払えば、リカルドは何ごともなく帰ってこれるんだし。
だが、何日かして、アレハンドロはとてつもない衝撃を受けることになる。
なんと、リカルドが死体で発見されたのだ。
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「パパぁ!どういうことだよ!」
「どういうことかは、こっちが聞きたいな。 アルゼンチンがパラグアイに負けたぞ。 一体どうなっとるんだ?」
「今、そんなこと、どうでもいいよ!」
「どうでもいいことあるか、ボケ! アルゼンチンがワールドカップに行けなくなるかもしれんのだぞ。 アグエロの野郎、PKはずしやがって。 やっぱメッシがいないとダメだな。 次の対戦相手はブラジルだし、これはうかうかしてられんぞ。」
「ねえパパ。 なんでリカルドを殺したんだよ。」
「ああ、そのことか。 あれは仕方がなかったんだ。 リカルドのやつな、早くから私らのことを疑ってたぞ。目隠しされてるのにカンのいい奴だよ。 それにおまえのことも言ってたぞ。 どうやらあいつには全部チョンバレだったようだ。」
「そんな・・・。」
「しかも、あいつな、急に強気になりだしやがって。 私らを脅迫してきたんだ。拘束されてるくせに。 “おまえらを地獄に落としてやる!”ってな。 そうなったら仕方がない。 家族を守るためだ。 ピストルでパンと撃って山にポイ。これで終了。」
「ああ・・・なんてことだよ。」
「安心しろアレハンドロ。 金はもらったあとだ。」
「いや、そういう問題じゃなくてさ。」
「ガタガタ言ったって、過ぎたことはどうにもならん。 もう引き返せないとこまで来てしまったんだ。」

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アレハンドロが経営するサーフショップがオープン。
そこに客としてやってきたモニカという女性と知り合って、やがて恋人の関係になったアレハンドロ

一方でアルキメデスの誘拐ビジネスは続く。
起業家フロレンシオ家の息子エドワルドを誘拐。
車のトランクの中から聞こえるわめき声を助手席で聞きながら、アレハンドロはさすがに自分がやってることの異常さを感じずにはいられない。なにより自分にとって大切な相手が出来たことが大きく、早く普通の生活に戻りたい気持ちが強くなっていく。

誘拐されたエドワルドは手紙を書かされたあと即射殺されて山に埋められた。 アレハンドロはそんなことは知る由もない。
非情にも、息子が帰ってくると信じるフロレンシオ夫妻から身代金を巻き上げるアルキメデス
家庭内では父親の暴走は、息子も娘もみんな知っている。
「もう手伝いたくない。」と言うアレハンドロに対して、母のエピファニアまでもがビジネスへの協力を説得する始末である。
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「アレハンドロ。 辞めたいとはどういうことだ。 新しいビジネスを始めた私を見捨てるつもりか。」
「人殺しまでは聞いてない。 パパこそ目を覚ましてくれよ。」
「薄情な奴だな。 おまえがそんなバカ息子だとは思わなかったぞ。 おい、母さんからもなんとか言ってやってくれ。」
「アレハンドロ、お父さんに謝りなさい。 お父さんのことを裏切ってなんとも思わないの?」
「ママまで何を言い出すんだよ。 信じられないよ。 そう言えばマギラはオーストラリアに行くのか。 いいよなあ。」
「兄さん。 この家はヤバいよ。 僕がオーストラリアへ行くのは、ここから逃げる目的でもあるんだ。 兄さんも早くこの家から出てくれ。」
「二人で何をヒソヒソ話しとる。 そんなことより、さあさあメシだ。 その前に御祈りだ。 アルゼンチンが予選を突破できますように。 ついでに日本も。」
「まだそれ言ってんのかよ。」
********
アレハンドロ不在のまま、アルキメデスと部下たちは知人のビジネスマン、エミリオの誘拐を企てるが失敗に終わる。
予想以上の抵抗をしたエミリオを誤って撃ち殺してしまい、計画はパー。
アルキメデスアレハンドロにキレまくる。
「おまえが脱けたからシロウトみたいにしくじったぞ! そんなに父親を破滅させたかったのか!」

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1年後、マギラが呼び戻される形で帰国。
空港で再会した次男坊はブックブクに太り、「逆ライザップ状態」になっていたことに家族が一瞬ドン引きするが、アルキメデスはさっそく次なる誘拐に着手する。

女性実業家ネリダ・ボリーニ・デ・プラド(当時58歳)を誘拐したものの、一旦狂った歯車は元には戻らない。
監禁部屋で女が何日も何日も、朝から晩まで泣きわめき続ける声に家族みんなが参っていた。
身代金の交渉もなぜかスムーズに進まないことにアルキメデスは焦る。

そして、1985年8月23日金曜日。
夜のプッチオ邸に武装した警官隊が押し入る・・・・・・

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予告編の感じからブラック・コメディなのかと思ってしまうが、これは実話だし、もちろん被害者の遺族や関係者に配慮するなら、やはり語り口はシリアスなものになるのも当然。
全編、緊張感とはまた違う、妙に落ち着かないサスペンスムードがある。
ハードな実録ものであっても、描かれてることはコントのネタのような犯罪ものなので、そのあたりに得もしれぬ人間のおぞましさが出ているからなのだろう。

政変から失業したのをきっかけに、まるで世間に喧嘩を売るようなモチベーションで身代金誘拐に精を出す親父。
荒っぽいがシンプルな手口で人をさらい、ボイスチェンジャーを使わずに、もろに自分の肉声で脅迫電話をかけるやり方など、おかしなところでシロウトのようなことをしてるのだから、なんともユニーク。
おそらく本当の目的は金ではなく、金持ちの家庭を破壊し、金を脅し取ってやる経過が楽しいのだろう。

息子たちは嫌々ながらも手伝わされ、母も娘も家庭内でよからぬことが起きていることも感知しながら、余計な首は突っ込まない態度を貫く。
監禁部屋から拉致された人の叫び声が響き渡っていても、その隣の部屋では下の娘が学校の宿題をやってるというシュールな光景は、どう考えてもコントである。
もちろんそんな家族の結束も、犯罪が絡むとなると容易く不協和音が生じていき、家族ぐるみの悪事が瓦解していく様が物語のポイントになる。
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普通ならば、こんな怖ろしいことはもっと早くから家庭内で反発が出てもいいのに、考えを放棄したかのようにズルズルと行ってしまうのはなぜだろうか。
それほどにアルキメデスという親父が家族でも震えあがるような独裁者かというとそうでもないのだ。
なのになぜ、泥沼に足を突っ込んで身動きできないような状況なのだろう。

危ない仕事というなら、親父の前の仕事だってある意味"カタギ"ではない。 
その頃から、アルキメデスは熱心に仕事をする男だったのだろう。 家庭に“仕事”を持ちこむような・・・。
言い換えれば少々不器用なのだ。
だから政変があった時、うまく立ち回って失職を免れた同胞とは違って要領よく出来ずに、幹部であるにも関わらず組織から弾かれてしまう。

軍事政権時代の秘密警察のことも含めて、家族のみんなが昔から「ちょっとヤバい人」な親父を熟知している。 同時に不器用でガサツな所も。
ダンナがどんな怖ろしいことをやろうが、奥さんが平然と内助の功を尽くすのもなんとなく分かる。
みんなでこの人を助けてやらないと・・・。
秘密警察時代から家族も慣れているのだ。 犯罪でなくてもそうやって、このブキッチョな主を支えてきたのがプッチオ・ファミリーだったのだ。

ただし、この父親は意外に卑小で、捕まったら今度は息子を脅して罪から逃れようとする。
今も政府で諜報の仕事をしている元同僚に口を利いてもらえれば、罪が軽くなるとも思い込んでいたようだが・・・
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さしたる教訓やメッセージ性もなく、南米に実在したオモロイ家族のゴシップ映画である。
あえて言うのなら、善悪の概念など家族の絆に比べればもろいということだ。
そもそもすでに善悪の概念など崩壊してるから犯罪が行われるのだろうが、特に「家族」という一定にまとまった運命共同体は、まかり間違うと、やることすべてを「善」とするほど狂気に陥りやすいのかもしれない。

しかし、この映画の中で一番度肝を抜かれるのは、実は本編が終わった後なのである。
このファミリーが事件後にどういう余生を送ったかが、エンドロールが流れる直前に字幕で紹介される。
終身刑を宣告されたアルキメデスは、ムショの中で猛勉強して弁護士の資格を取得。 23年ほどでシャバに出て本当に弁護士になって若い女と結婚したそうな。
どこまでもマンガ的なオッサンだ。
そっちの話を映画化しても面白かったんじゃないの?
CaaloBAUUAI1hAq.jpg 

♪ ♪ ♪ ♪ ♪
あっ、そうそう。
劇中、デイヴ・リー・ロスの「ジャスト・ア・ジゴロ」が流れた。
あまりの懐かしさに笑いそうになった。


「賢人のお言葉」
 
「最大の敵は、己自身の家庭と家族の連中だ。」
 ウィリアム・ブレイク
(「天国と地獄の結婚」)
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