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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争
2016年09月14日

T0021066p.jpg『信じる者は救われる』
その出典は、やはりあの人で、新約聖書の「ローマ信徒への手紙」や、または「ヨハネによる福音書」にそれらしい記述がある。

で、これに対してよく言われるのが「信じなかったら地獄行きですかい?」というツッコミ。
あの御仁もそういうことを言って脅迫してる訳じゃないんだろうけど。
そう言ってんなら、なんと狭っちい三畳一間の考え方なのであろうか。

でも、世間一般に浸透してる『信じる者は救われる』とは、信じる対象が神を含めての他者ではなく、自分が希望する生き方や、求め得ようとする目標の実現を信じきれば自ずと運命の方からすり寄ってくるものだという教えではないか。
一時流行った「引き寄せの法則」みたいな理屈である。

信じる心。 これは本当に大切なこと。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
第二次世界大戦下のアメリカ。
戦争に行ってしまった愛する父をなんとか呼び戻そうとする少年がやがて起こす奇跡とは・・・・
信じるという勇気、赦すという勇気・・・
一人の少年の姿を通じて描かれる、戦争へのメッセージが込められた感動作。


さほど遠くない昔。 世界中の国が戦争をしていた頃。
アメリカのカリフォルニアにオヘア(架空の町)という漁村がありました。
そこに、車の修理工場を営むお父さんとお母さん。そして二人の息子の4人家族のバズビー家が暮らしていました。

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彼の名はペッパー・フリント・バズビー。 バズビー家の末っ子。 8歳です。
ペッパーくんはとても背が低く、周りの同年代の子と比べてもはるかに小さい子でした。
ですから、ペッパーくんは周りの子供たちから「リトル・ボーイ」と呼ばれて、いつもからかわれていました。

「おい、リトル・ボーイ、座ってないで立てよ。 あれ?それで立ってんのか?アッハッハ~。」
「おまえはちっちゃすぎて見えないから邪魔なんだよ。 そこどけっつんだよ~。」

なんでボクの背は大きくならないんだろう?
お医者さんは「セイチョウショウガイのウタガイ」とか言ってた。
よく分からないけど、一生ボクはリトル・ボーイのままなのかなあ?

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いじめられてばかりのペッパーくんには友だちがいません。
そんなペッパーくんの友だち代わりになったのはお父さんのジェイムズでした。
お父さんは奇術師のベン・イーグルが大好きです。
お父さんにとっての英雄であるベン・イーグルはもちろんペッパーくんも大好き。

パパとボクはどんな奇跡でも起こすベン・イーグルになりきって、二人でよく空想ごっこをするよ。
時には西部のガンマン。 時にはジャパニーズ・サムライになって悪い奴らと戦うんだ。
どんな大ピンチになったって、ボクとパパのコンビは恐いもの知らずだ。
その時のパパの決まり文句。
「相棒、やれると思うか?」
ボクは力強く答える。
「やれるさ!」

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アメリカは今、日本やドイツと戦争をしています。
バズビー家の長男であるロンドンくんも戦争に参加するために兵隊になるつもりでした。
しかし、ロンドンくんは偏平足だったために、入隊審査に落ちてしまったのです。
すると代わりに徴兵されることになったのはお父さんでした。

偏平足だったら兵隊になれないんだね。 お兄ちゃんは悔しがってたけど。
ボクとしてはお兄ちゃんが戦争に行かずに済んだのは嬉しい。
でも、その代わりにパパが戦争に行くことになっちゃった。 これはもっとイヤだ。
パパは「すぐ戻る」と言ってるけど、お母さんの悲しそうな顔はボクも見ていられない。

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お父さんがすぐに帰ってくると信じるペッパーくんは、お父さんの欲しがってたウエスタンブーツとベン・イーグルのマジックショーのチケット2枚を持って待ち続けていました。
しかしある日、バズビー家に「ジェイムズがフィリピンで日本軍の捕虜になった」という知らせが届きました。
お父さんが心配でならないペッパーくんはご飯もろくに喉を通りません。
見かねたお母さんはロンドン兄さんに言って、ペッパーくんをマジックショーに連れて行かせました。

ベン・イーグルのマジックは凄いよ。
しかもボク、ステージに上げられちゃったよ。
テーブルの上のビンを念力で動かしてごらんと言われたのでボクは必死で念じたら・・・・
動いちゃいましたけど!!!!! 
これはアレだね。「フォースの覚醒」だね。
ボクにもベン・イーグルのような力があるんだ。
そうだ! この力があれば戦場のパパが戻ってくるかもしれない。
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フゥ~ッ! ハァ~ッ! ムムムムム~ッ!
トオリャア~ッ! アイヤ~ッ!
・・・・ふう~。 ジェダイのへの道は険しいね。


ある日、合衆国への忠誠を示した日系人が収容所から釈放されることになりました。
やがて町にハシモトという男が引っ越してきました。
ペッパーくんにとってはお父さんを捕まえている日本兵の仲間でもあるハシモトのことが憎くてしょうがありません。
ペッパーくんはハシモトの家に行き石を投げつけてガラスを割りました。
「ジャップ、出ていけ!」
その翌日、ペッパーくんはハシモトの身元引受人でもある教会のオリバー司祭から呼び出されました。
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おしりペンされんのかなあ。 恐いなあと思ってたけど。
司祭様が机の上にのせたビンを念力で動かしてみなさいとおっしゃるのでやってみた。
ホォォォ~ッ! ウリャ~ッ! キィエ~ッ!
すると司祭様は自分でビンを持ち上げて机の端に動かした。
「君の力で私の手が動いた。 ビンを動かしたいという君の願いが私を動かしたのだよ。」
・・・・なんか、マギー司郎みたいなことをおっしゃるけど、まあいいか。

要するに司祭様は信仰の力が神様に届けば願いは叶うかもしれないということをおっしゃってたね。

司祭はペッパーくんに、キリスト教に古くから伝わる、赤の他人に親切にするリストを渡しました。
● 飢えた人に食べ物を
● 家なき人に屋根を
● 囚人を励ませ
● 裸者に衣服を
● 病人を見舞え
● 死者の埋葬を
「ハシモトに親切を」と書き加えられたリストの項目を全てやり遂げられれば信仰が神様に伝わるのだと司祭はペッパーくんに教えたのでした。

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ペッパーくんは渋々ながらもハシモトの家を訪ねますが、最初はなかなか心を開いてくれませんでした。
「俺の名はジャップじゃない。」
ハシモトの目から憎しみが消えるまで付き合うように言われていたペッパーくんはしつこく家を訪ねます。

ある日、リストのことをバカにしたイジメっ子に追いかけられたペッパーくんはハシモトに助けられました。
こうしてハシモトと打ちとけたペッパーくんは、ハシモトの力も借りながらリストの項目を一つ一つこなしていくのでした。

みんなが「ジャップジャップ」とか言うから真似してたし、ジャップは悪い奴だって聞いたけどハシモトは全然そんな人じゃない。
物静かでどっしりした人だ。 それに町の人たちから何を言われようとハシモトは全然怒らないんだね。
むしろいい人だと思う。 炭酸のジュースは嫌いなんだって。
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ペッパーくんはハシモトを自宅に招きました。
ジェイムズを日本兵に囚われてる妻のエマは複雑な気持ちですが、父親不在の今の息子にとって唯一の友だちを快く受け入れるのでした。
しかし、そこへお兄さんのロンドンくんが帰ってきて鉢合わせ。
日本と戦えずに、代わりに行ったお父さんが囚われてしまったことを悔やむロンドンくんにとっては、どんな人物であろうと日本人は憎きジャップでしかありません。
「何を考えてるんだ!こいつは敵だぞ!」
ライフルを持ち出してまでハシモトを家から追い出したロンドンくんは弟にも声を荒げます。
日頃からハシモトと付き合っていたのも面白くないし、リストを完成させたら父親が帰ってくるなんてことを信じている弟が腹立たしくてしょうがなかったのでした。
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お兄ちゃんが怒るのも分からないことはないけど、ハシモトは違う。そんな悪い人じゃないよ。
ボクはパパに帰ってきてほしい一心でこうして頑張ってるのに。
司祭様だって言ってたんだ。
「辛子の種一粒ほどの信仰心があれば山だって動かせる。」
するとお兄ちゃんは
「じゃあ、あの向こうの山を動かしてみろよ! 出来るって言うんならやってみろ!」

パパの声が聞こえるような気がする。
「相棒、やれるか?」
やれるさ!
イィ~ヤァァァァァァァァァ~ッ!

するとどうでしょう。
わずかに地面が震えたかと思うと、揺れはどんどん大きくなり、オヘアの町一帯に地震が起きたのです。
それはおそらく偶然なのでしょう。 偶然なのですが・・・。
この地震の真相はのちに触れましょう。
まあまあけっこうな揺れの地震で、海岸沿いの向こうに見える大きな山が本当に動いたかは定かではありませんが、町の人たちの中にはペッパーくんの起こした奇跡を信じる人もチラホラいたようです。
Little Boy Movie 
すっかりその気になったペッパーくんは、来る日も来る日も太平洋を見渡す桟橋に立ち、お父さんが帰ってくるように念じるのでした。
オリバー司祭は、ペッパーくんの父親にもしものことが起きた時が心配です。
あの子は受け入れられるだろうか。 自分のせいで父親が死んだと責めないだろうか。
「このままではあの子は自分を見失うだろう。」と気が気でなりません。
「その時は私があの子を支える。」とハシモトは言いました。

お父さんの帰還を念じるペッパーくんの想いはやがて意外な結果となりました。
戦争が終わったのです。
日本の「HIROSHIMA」という町に強力な爆弾が落ちたのです。
その爆弾の名は「リトルボーイ」。
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その時、1945年8月6日、午前8時15分。
広島市は一瞬にして焼きつくされた。

アメリカのB-29爆撃機「エノラ・ゲイ(機長ポール・ティべッツの母親の名前)」が広島市に投下した原子爆弾「リトルボーイ」。
全長3.12メートル、総重量5トン。
濃縮ウランを用いた「ガンバレル型ウラニウム活性実弾L11」であり、開発当初の設計寸法よりも小さくなったので「リトルボーイ」と名付けられたと言われている。

劇中で、兄から「山を動かしてみろ」と言われたペッパー少年が念を送って地震が起きる偶然の奇跡は、おそらく原爆実験による地震ではないだろうか。
実際の歴史では、広島の1ヶ月前の7月にニューメキシコ州の南部で人類初の核実験「トリニティ実験」が行われている。
ニューメキシコと映画の舞台であるカリフォルニアは微妙な距離があり、そこまでの地震が起きるかは疑問だが、設定自体が架空の町でもあるし、そこは十分補正が利くと自分なりに納得。

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町中がお祭り騒ぎだよ。
「これで戦争が終わるぞ。」 「ざまあみろ、ジャップ。」
みんな大喜び。
ボクが外を歩いていたら、みんなが褒めてくれるんだ。
「やったなリトル・ボーイ。」 「凄いじゃないか、リトル・ボーイ。」
これも、ボクが一生懸命に念力を届けたからなのかな?
今まで「リトル・ボーイ」って言われるのが嫌だったけど、なんだかいい気分だね。

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もちろん自分のあだ名と同じの爆弾が多くの人の命を奪ったなんて彼は知る由もありません。 
やがてペッパーくんの喜びもつかの間、彼は大きな間違いに気づきます。
戦争は終わったかもしれないけど、それによって日本兵に囚われているお父さんの立場が悪くなり、もしかしたら殺されるかもしれないとお母さんは悲しい顔で言いました。
そして何よりも、爆弾の落ちた日本の現状を知ったペッパーくんの胸は激しく痛みました。

一体なんでこんなことに・・・。 ハシモトが住んでた国が・・・。
戦争が終わるのはいいことだけど、どうしてこんなにたくさんの人が死ななきゃいけないの?
僕たちの国はなにか大きな間違いをやっちゃったんじゃないだろうか?


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日本兵に囚われてるアメリカ兵の立場が悪くなるということは、アメリカにいる日本人の立場も悪くなるということです。
真珠湾で息子を失い、今も日本人を目の敵にしていたサムという男は、かねてからハシモトに対して「この町から出ていけ。」と脅迫していましたが、遂にある夜、ハシモトの家に押しかけて 彼にひどいリンチを加えたのでした。

そして、ある日の午後。
アメリカ軍からの使者が悲しい報せを持ってバズビー家を訪れました。
ジェイムズはフィリピンの収容所で亡くなったと。
遺体は現地で埋葬されたと。

ペッパーくんが目指していたリストの完成のための最後の項目。
「死者の埋葬を」が皮肉な形で叶ったのでした。

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ハシモトは大怪我をしたけど、死ぬことはなくて良かったよね。
でも、ボクのパパはもう帰ってこない。
修理工場を継いだお兄ちゃんは未だ仕事に身が入らないし、ママはパパの着ていたシャツの匂いを嗅いでは泣いている。
ボクもこの先どうしていいか分からない。
ボクが戦争を終わらせようとして力一杯念じたのが良くなかったのだろうか。
戦争が終わればパパが帰ってくると信じてたのに。
ハシモトの住んでた国でたくさんの人が死んで、ハシモトもケガをして、そしてパパも死んだ。
ボクがいけないことをしたから?
天国からボクを見ているパパはどう思ってるんだろう?

ハシモトがそっと抱き寄せて言ってくれた。
「君はお父さんの誇りだよ。」


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少年よ。何年後かには君も、人類が犯した過ちの歴史を学ぶだろう。
そこには敵だとか味方だとか、何がいけなかったのか、誰が悪かったのかという理由などない。
人間はそれだけ愚かな生き物で、過ちから学ぶことなく、君が大人になって、やがておじいさんの歳になっても、国が争い、武器を人に向けて多くの血が流れる歴史を繰り返して行くのだ。

君が戦争を終わらせたいと願った気持ちや、自分の力でそれが実現できると信じた想いは何ひとつ間違ってはいない。
何年たっても、そんな気持ちのかけらさえも持たない大人であふれた世の中が続いているのだから。
人を傷つけない。 戦争をしない。 そんな簡単なことができないのだ。

「リトル・ボーイ」と呼ばれた君は、その名前をぜひとも忘れないでほしい。
君の国の多くの人はその名を“戦争を終わらせた英雄”のようにもてはやすだろう。
だが、君なら分かるはずだ。
HIROSHIMAから何もかも奪い去った爆弾が英雄などではないことを。
君の国の人々が「リトル・ボーイ」を大いなる愚挙として胸に刻み、犠牲者を悼んで祈ってくれる人が一人でも増えるのならば、それは君の望んだ平和が一歩近づくことになる。

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この映画は実はアメリカではさほど評判がよろしくない。
評論の詳細は知らないが、内容からして原爆に対する批判が込められてるからではないか。
「リトル・ボーイ」という名の少年の主人公の目を通して、反戦の寓意や、敵を赦す勇気というものが描かれており、「原爆を落としたことで、戦争終結を早めた」という正当化が未だにまかり通っているアメリカ人にはさぞこの映画は喉の奥に骨が刺さったような感覚を覚えるだろう。
そこを踏まえての低評価ならば、つくづく悲しい国じゃのぉ。
そうではなくて、ただ単に面白くないのだろうか?
いやいや、いい映画だったけどねえ。

ペッパーくんを演じたジェイコブ・サルバーティ君は、「エスケイプ・フロム・トゥモロー」でアリソン・リーズ=テイラーの息子役で出ていた子。
この子、クロエ・グレース・モレッツに似てるね。

お母さん役のエミリー・ワトソンのうまさは言うまでもなく。
ハシモト役のケリー=ヒロユキ・タガワの深みもまた味が良し。

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
さて・・・・
悲しい結末で終わってしまうのかと思ったこの物語は、なんとラストに超どんでん返しが待っている。
やはり、信じる者は救われるのだね。
感涙がほとばしるウルトラ・サプライズに劇場内はすすり泣きの嵐だ!
Little20Boy_20a.jpg 
「僕たち、相棒だろ?」


「賢人のお言葉」
 
「信じるのだ。 こんなちっぽけな人間でも、やろうとする意志さえあれば、どんなことでもやれるということを!」
 マクシム・ゴーリキー
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