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星の旅人たち
2012年06月28日

T0012924p.jpg ローマ、エルサレムと並ぶ、カトリック三大巡礼地のひとつとされるサンティアゴ・デ・コンポステーラ

 フランス側からスペインの北部をほぼ横断する巡礼路は約1200年の歴史を持ち、現在も世界各地から年間10万人以上が巡礼の旅に訪れます。
 およそ800キロほどの道のりで、ゴールに待つサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂には聖ヤコブの遺骸が祀られています。

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 サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を舞台にした本作。
巡礼に向かおうとして不慮の死を遂げた息子の遺灰と共に、巡礼の旅に出る父の姿を描いた、救いの物語。
 監督はエミリオ・エステベス。
主演を務める マーティン・シーンの息子です。

 マーティン・シーンって芸名なんですね。
本名はラモン・アントニオ・ジェラルド・エステベス
ああ、それで息子がエステベスですか。 「今頃気がついたんかい!」と言われそうですが御容赦のほどを。
父子コラボはこれで3作目だそうで。 


  カリフォルニアで眼科医をしているトム・エイヴリー(マーティン・シーン)。
一人息子のダニエル(エミリオ・エステベス)とは、あまり関係が良好ではない。
「なにしようと俺の勝手だろ!」 「世の中なめんな!」
 よくある父と息子の角突き合い。

 巡礼の旅に出るというので、先日もプチ喧嘩をしたばかり。
「気楽だな。 普通の人はフラッと旅行などできんぞ。」
「僕の道に賛成しなくてもいいけど、勝手に判断しないでほしいな。」
「生き方は違うが、私は今の人生を選んだ。 おまえもそろそろ・・・」
「人は人生を選べない。 ただ生きるだけだ。」


 しばらくしてフランスの警察からダニエルが死んだという報せが入る。
ピレネー山脈で嵐に巻き込まれたらしい。
 フランスに飛んだトムダニエルの遺体と対面する。
トムは遺体とともに帰国するはずだったが、ふと、息子が何を思って旅に出ようとしたのか、その真意を知りたくなる。

現地で荼毘に付された息子の遺灰をリュックに入れて、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すトムの巡礼が始まる。

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 60を過ぎた体にはチトきつい800キロの道。
「菅直人だって60過ぎで四国八十八ヶ所霊場を歩いてんだもんヨ。 私も負けちゃいられないね。 息子よ、今さら迷惑かもしれんが、おまえの旅に父さんもお供することにしたよ。」

 旅は道連れ世は情け。
トムが偶然出会う3人の旅仲間。
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 ざっくばらんなオランダ人のヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)。
「ジーンズが入らねえんだよ・・・。」
巡礼はダイエットのため・・・と言いながら、行く先々で何か食ってばっかり。
いびきがでかい。

 カナダ人女性のサラ(デボラ・カーラ・アンガー)。
いつも何かに対してイラついているヘビースモーカー。
「しつこい人は嫌いよ。」
i-podにジェイムス・テイラーを入れてるような団塊世代をからかう性質。

 アイルランド人のジャック(ジェームズ・ネスビット)。
近頃まったく筆が進まなくなってしまった旅行ライター。
自信過剰で、口から生まれてきたような冗舌家。
「パリから歩いてきて、もう3ヶ月さ。」

 息子の遺灰が入ったリュックを川に落とす。
 ログローニョの街ではワインで悪酔いしたトムが警察のお世話になる。
 ブルゴスではジプシーの子供にリュックを盗まれる。
・・・いろんなことがありながら、迷える子羊たちは一路、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す。
彼らの魂はそこで何を得るのか。


 我が息子が、この旅で何を見つけたかったのか、何を持ち帰りたかったのか。
今は灰となった息子と寄り添いながら、その心に触れようと、老いた体にムチ打ちながら星の平原を旅人は行く。
自分を戒めてるのか、救いを求めてるのか。

 トムが出会うそれぞれ国の違う3人の旅人たちとの交流は、長きにわたって不仲だった息子、またはもう一人のトム自身との対話のようにも見受けられます。

自制か解放か、自分の弱さと向き合う者。
家庭が破綻した辛苦が今も尾を引く者。
言葉を綴ることに行き詰った者。
彼らもまた、この巡礼で何を得るのでしょうか。
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 ダニエル、おまえは「人生は選べない」と言ったろ。
バカなことを言うなと思ったが、確かにおまえの言う通りかもしれないな。
この旅を通じて、いろんな人と出会って、いろんな人生を知って分かった気がする。

 人は誰もよりよい人生のために、その時その時の選択をすることで、人生を選んだつもりになってるのかもな。
その選択が正解なのかは自分でもわからないし、いずれ壁にぶち当たって、ハナから思い描いていたのとは違う人生を送る人の方が大半だ。
選んだつもりの人生は、非合理で当てずっぽうなんだ。

 自分自身の手で人生をつかみ取る強さとチャンスがあればいいが、人はそんなに強いもんじゃないんだよな。
人間だもんな。
でも人生はいやでも進んでいくから、前を向いて歩くだけでも歩かないとしょうがないんだ。

 ダニエル、おまえがこの旅に私を呼んだのか。
おまえに何があったのだ。 人生の何に行き詰って、何を見失っていたんだ。
どうしてこの旅に出たんだ。
それを知りたかったが、持ち帰れるものは何もなさそうだ。
でも少なからずおまえの心に触れることができたし、この旅に出て良かったと思うよ。

 風と星が交差するこの旅路で、おまえの声を聞いた気がする・・・。
「ブエン、カミーノ(良い旅を)」 
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 昔者ならではの熟成された味わいを醸し出すマーティン・シーン
ビター! エクセレント!


「賢人のお言葉」
 「発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。 新しい目を持つことなのだ。」
マルセル・プルースト
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