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ゾンビ映画 三態
2020年01月19日

今回採り上げるのは3本の映画。

いずれもゾンビ映画という、もう一度正月が来たような豪華3本立て。
正確には3本の内1本はゾンビ映画とは言えないかもしれないが。

世界中で老若男女に愛されるゾンビ映画。
ホラーモンスターは数々あれど、ドラキュラや狼男といったいわゆる大御所のパイセンを差し置き、映画出演回数は群を抜く人気を誇るゾンビ。
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なにゆえにゾンビがこれほど愛されるのか。
思うに、鬼ごっこ的なゲーム的要素があるからではないだろうか。
追っかけてくる。 逃げる。 捕まったら鬼になる。 モロ鬼ごっこである。

それに加えて、戦うハメになってもドタマを破壊すれば人間もゾンビに勝てるというチャンスが与えられた、もうひとつのシンプルなゲーム要素も込みになっているのだ。
ゾンビはホラーキャラであると同時にゲームキャラでもあり、ゾンビ映画はゲーム映画とも言える。

そして、シューティングゲームの一面を持つゾンビ映画は人間の隠された暴力性を刺激しているのは間違いない。
モンスターとはいえ、見た目は人間である。 少々顔色がすぐれないことを除けば、"標的"は人間なのである。
ゾンビの頭が銃でPaaan!されるシーンは残酷ではあるが、観る人は知らず知らずのうちに「人間が人間を殺している」非日常に酔っているのだ。 イヤな話であるが。

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まずは昨年11月に公開された「ゾンビランド:ダブルタップ」から。

2009年に全米で公開され、興行収入が1憶ドルを突破するという、ゾンビ映画としては異例の大ヒットとなった「ゾンビランド」の10年ぶりの続編。

コメディ・テイストのゾンビ映画としてはエドガー・ライト監督の「ショーン・オブ・ザ・デッド」(04)が代表格であろうが、「ゾンビランド」はバイオレンスとウィットのバランスがよく、アクション映画としてもコメディとしても高水準で、興行的にも成功した、まさに笑えて楽しいゾンビ映画の決定版と言っていい。

そして今回の続編は監督のルーベン・フライシャーはもちろん、主要キャストも続投。
10年前はまだポッと出のニューフェイスだったエマ・ストーンやジェシー・アイゼンバーグはすっかり大出世したとはいえ、大スターになってもこんなチャラさ満開のゾンビ映画に出演してくれるのが嬉しい。

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前も後ろも、右も左もゾンビだらけ。
人間の数は天然記念物なみに激減し、芋の子を洗うようにゾンビであふれかえったアメリカをサバイブする4人の男女。
行く手を阻むゾンビを殺しちゃ進み、殺しちゃ進みの地獄の殺戮ロード。
ゾンビがいない夢の地を探し求めて、今日もまた4人の旅が始まる。

T48-10-MEDLEY-Zombieland tr  タラハシー(ウディ・ハレルソン)
鬼級の腕っぷしと射撃スキルでゾンビをバッタバッタと駆逐していく熱血オヤジ。
聞くも涙の諸事情によりゾンビを果てしなく憎みまくる彼にとってゾンビ討伐は唯一無二のライフワーク。

T48-10-MEDLEY-Zombieland cb コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)
元引きこもりのネトゲヲタ。
お腹のユルいチキン君だが、自ら考えた『ゾンビの世界を生き抜くための32のルール』で地獄を切り抜け、タラハシーと行動を共にする事に。

T48-10-MEDLEY-Zombieland wc ウィチタ(エマ・ストーン)
妹と共に人を出し抜きながら生きてきたプロの詐欺師。
メンズの気性である一方、オトメな心を秘めた扱い辛い女。

T48-10-MEDLEY-Zombieland rc リトルロック(アビゲイル・ブレスリン)
ウィチタの妹。
ガキのくせにガキ扱いされるのを嫌がる独立心旺盛な女。

これより先はこの4人がホストを相勤めますにて候。

 
T48-10-MEDLEY-Zombieland t おい、コロンバス、起きろ。 いつまで寝てんだ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c ムニャムニャ・・・ タラハシーのタコハゲーッ!租チン野郎! ムニャムニャムニャ・・・
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 聞き捨てならん寝言だな。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c あっ、おはよう、タラハシー。 今日もオトコマエだね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t あとで事情を聴いた上でたっぷりと折檻するからそのつもりで。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c はい?
T48-10-MEDLEY-Zombieland t それよりな、ウィチタとリトルロックが消えたぞ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c そりゃまたイリュージョンな。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t オメエ、ウィチタになんか言ったのか?
T48-10-MEDLEY-Zombieland c そろそろ身を固めようとプロポーズを。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t やっちまったなオメエ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c やっちまいましたかね?
T48-10-MEDLEY-Zombieland t タイミングが悪いんだよ。 そういうのはプロポーズとは言えねえ。 アマチュアだな。 アマポーズだ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c どうすりやいいの?
T48-10-MEDLEY-Zombieland t めんどくせえが探しに行くか。 ぐずぐずしてるヒマはねえ。 さっそく出発だ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c アイアイサー。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t そりゃそうとオメエ、自分で考えた例のルールは覚えてるだろうな。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c ゾンビ社会を生き抜くための? 10年たてば忘却の彼方。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 忘れるとは頼りない奴だ。 まあ頼るつもりはないが。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 大丈夫、いい考えがあるよ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t オメエの言う“いい考え”は大抵ロクなことじゃねえが、俺も一応聞く耳は持ってるから聞こうじゃねえか。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c こういう時は、ウィキペディアが一番の味方なのさ。 えっへん。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 胸を張るな、アホタレ。 読書感想文の宿題に困ってる小学生か、オメエは。

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【ゾンビ社会を生き抜くための32のルール】
#  1 有酸素運動
#  2 二度撃ちしてとどめを刺せ
#  3 トイレに用心
#  4シートベルトをしろ
#  5 ゾンビを発見したらまず逃げろ
#  6 フライパンてぶっ叩け
#  7 旅行は身軽であれ
#  8 クソったれな相棒を見つけろ
#  9 家族・友人でも容赦しない
#10 素早く振り向け
#11 静かに行動すべし
#12 バウンティ・ペーパータオルは必需品
#13 異性の誘惑には注意
#14 ショッピングモールは補給基地
#15 ボウリングの球をぶん投げろ
#16 人の集まる場所は避けろ
#17 英雄になるな
#18 準備体操を怠るな
#19 葬儀・埋葬の必要はない
#20 人を見たらゾンビと思え
#21 ストリップクラブは避けろ
#22 逃げ道を確保しろ
#23 金品よりも食料を確保
#24 生き残るためには犯罪も
#25 火の用心
#26 肌の露出は最小限に
#27 就寝前には安全確認
#28 食事と風呂は短時間で
#29 二人組で行動しろ
#30 予備の武器を持て
#31 後部座席を確保しろ
#32 小さいことを楽しめ

T48-10-MEDLEY-Zombieland t ウィチタは(11)・(13)・(29)を実践したというわけか。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 愛しのウィチタちゃん、どうか見つかりますように。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t コロンバス、ちょいと映画館に寄ってくぞ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c へ? なにすんの?
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 映画を観るに決まってんだろが。 オメエは映画館に行って社交ダンスでも踊んのか?
T48-10-MEDLEY-Zombieland c いや、それよりこの映画はこれから新キャラの女の子が登場して、僕とちょっといい仲になって、そしたらウィチタが一人で戻って来て、気まずくなって、トンズラしたリトルロックを探しに4人の旅が始まるっていう展開になるんじゃ・・・
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 知らん。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c はい、3文字で終了。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t そんなことより、どうしても観たいゾンビ映画があるんだよ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c ゾンビ映画? どんなタイトルなの?           
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 「ゾンビ」だ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c そのまんまじゃんよ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t そのまんまで悪いか。 まあ正確には「ゾンビ - 日本初公開復元版 -」だ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 日本? 日本で公開されたバージョン? そんな映画がアメリカでやってんの? そもそもこのご時世に映画館、営業してんの?
T48-10-MEDLEY-Zombieland t オメエな、細かいことは気にするなって、オハイオのおふくろさんから教わらなかったか?
T48-10-MEDLEY-Zombieland c どうだったかなあ? ウディ・ハレルソンとジェシー・アイゼンバーグの映画はつまらんから観ない方がいいって言ってたような。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t オチャメなおふくろさんだな。 今度挨拶に伺おう。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 多分死んでるけどね。 いや、ひょっとしたらハッピーなゾンビライフを送ってるかも。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t ならば遠慮しよう。 オメエのおふくろさんのドタマをカチ割るのは忍びねえ。 さっ、映画を観るぞ。



『ゾンビ 日本初公開復元版』

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1978年に公開された、誰もがお馴染みのゾンビ映画の金字塔。

それまでのゾンビ映画は1968年にジョージ・A・ロメロが発表したデビュー作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が先駆的作品。

その映画も評価は高いが、まだ〔ゾンビ〕という言葉は世に出ておらず、生ける屍を“リビングデッド”や“グール”と呼んでいた。

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を観て感動したダリオ・アルジェントが共同出資を申し出て製作されたこの伝説の映画で、初めて“ゾンビ”という名称が使われて以降、世界共通語のように定着するようになった。


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世界興収も5500万ドルという年間ランキング11位の大ヒットを記録。
今や「ゾンビ」を抜きにしてゾンビ映画は語れぬほど、歴史の1ページとして刻まれた傑作である。

そして。 40年ぶりに日本のスクリーンにお目見えする「ゾンビ」は〔日本初公開復元版〕というバージョン。

それは現在DVDや配信で観られるバージョンとは違い、当時配給会社が残酷シーンを静止画やモノクロなどに修正した、いわゆるデグレバージョン。
映画ファン的には噴飯モノだが、実は「日本初公開版」のプリントは行方不明状態。
「ダリオ・アルジェント版」をベースにしているのは間違いないので、そこからネットなどの情報や識者らの記憶など、ありとあらゆる手掛かりを基に修正を施して「日本初公開版」を"復元"したものが、今回40周年記念で公開されたバージョンなのである。

ゾンビカルチャーの創造主ジョージ・A・ロメロの伝説の原点が今まさに記憶の墓から甦った・・・・
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T48-10-MEDLEY-Zombieland t ほとんど記憶に残っとらんところと、鮮明に覚えてるシーンがゴッチャになっていて妙な懐かしさがあるな。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c  いかにも70年代の低予算映画って感じの演出だけど、不思議と興奮させられるね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t ゾンビという恐怖対象を物量作戦的に大量投入して、どこに行っても気が抜けない緊迫感を盛り上げてるんだな。 ショッピングモールという舞台のアイデアも効果抜群だ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 世界が元通りになりそうもない終末感のムードがたまらんなあ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t バケモノホラーをバイオレンス・アクションとサバイバル・ドラマでリミックスして、恐怖映画のアプローチの可能性の幅を広めた、実に画期的な作品だ。

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T48-10-MEDLEY-Zombieland c それにしても、残酷シーンの修正はブサイクだね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t コンプライアンスに縛られて、神経質なまでに自主規制しておかしくなってる現在のテレビ業界ならいざ知らず。 40年前の一般興行映画でこんな暴挙がまかり通ってたとは、これはこれで貴重な歴史と言えるのかもしれんな。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 想像力をかき立てられるって言えば聞こえはいいけどね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t 欺瞞だな。 気づかれないようなやり方をするならまだしも、「ちゃんと社会的影響を考えてますよ」みたいなアピールが見え見えで、作品の質を落とすようなことをやってちゃ何をか言わんやだ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c でも当時は日本ではこれが公開されて、みんなが度肝を抜いてたんだよね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t それだけ色んな部分が斬新な映画だったんだ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c 【ゾンビ社会を生き抜くための32のルール】の半分以上を満たしてるね。

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T48-10-MEDLEY-Zombieland t  さてと。 いいお勉強になったな。 そろそろ出発するか。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c ジョージ・A・ロメロに感謝だね。

maxresdefault_2020011901025524c.jpg マディソン(ゾーイ・ドゥイッチ)
ちょっと、なにしてたのよ~。 遅いじゃないのよ~。 私の登場を待ってる人もいるんだからね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t なんだこのパリス・ヒルトンのニセモノみたいなパープリン女は。
maxresdefault mad 失礼しちゃうわね、このタコハゲの租チン野郎。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c そんなひどいことを言っちゃいけないよ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t オメエもな。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c はい?
maxresdefault mad なんでもいいからお腹すいちゃったわよ~。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t ハナクソでも食ってろ。 お嬢ちゃんにふさわしい食い物だ。
maxresdefault mad それって美味しいのかしら?コロンバスちゃん。
T48-10-MEDLEY-Zombieland c どうかなあ? こんな時は得意のウィキペディアで調べよう。
maxresdefault mad 大至急おねがい。 お腹ぺこぺこ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland t やれやれだな、こいつら。


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その頃、ウィチタリトルロックの二人は・・・・

     
T48-10-MEDLEY-Zombieland w 起きなさいリトルロック、いつまで寝てんのよ、出発するわよ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r ムニャムニャムニャ・・・ ウィチタねえちゃんのぺチャパイ!乳輪まっくろけー! ムニャムニャ・・・
T48-10-MEDLEY-Zombieland w 聞き捨てならない寝言ね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r あっ、おはようウィチタねえちゃん。 今日もナイスバディ、ナイスイーグル、ナイスアルバトロスね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w あとで事情を聴いた上でたっぷり折檻するからそのつもりで。          
T48-10-MEDLEY-Zombieland r はい?
T48-10-MEDLEY-Zombieland w それはそうとあなた、姉貴の私を出し抜こうと思ってないでしょうね?
T48-10-MEDLEY-Zombieland r 何のこってす、飛騨こって牛。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w さっき会ったインチキ臭満載のヒッピー野郎に惚れたんじゃないの? そんでもって、そいつと駆け落ちしようなんてプロジェクトを立ててたら承知しないわよ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r めっそうもないわ、メンソーレ沖縄。 ねえちゃんが屁ぇこいて寝てるすきに車をパクってカレとランデブーして、暴力のないユートピア、バビロンを目指すなんてプロジェクトは思いもつかないわ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w 神様にお願いするわ。 不憫な妹に愛の手を。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r サンキュー、せんねん灸。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w ここで提案。 かわいい妹よ、一緒に映画を観ましょう。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r 映画? いいわね。 どんな映画かしら?
T48-10-MEDLEY-Zombieland w ゾンビ映画よ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r  ゾンビ? ゾンビがタカを生むということわざなら知ってるわ。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w それ以上しゃべらないで、かわいい妹よ。 今から観るのはコレよ。

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『屍人荘の殺人』

デビュー作にして「このミステリーがすごい!」第1位、「本格ミステリ大賞」など、国内主要ミステリー賞4冠を達成した今村昌弘の「屍人荘の殺人」の映画化。

ミステリー小説オタクの大学生・葉村譲(神木隆之介)は、先輩でミステリー愛好会会長の明智恭介(中村倫也)に振り回され、ホームズとワトソン気取りで学内の瑣末な事件に首を突っ込んでいた。
同じ大学に通い、私立探偵の顔を持つ剣崎比留子(浜辺美波)は、2人に音楽フェス研究会の夏合宿への参加を持ちかける。
実は比留子のもとには「今年の夏合宿で何かが起こる」との犯行予告が届いていたのだ。
夏合宿が行われる山奥のペンション紫湛荘へと向かい、3人はメンバーと合流する。
そしてその夜、密室状態となった紫湛荘で惨殺死体が発見され・・・・

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ミステリー小説はよく読むが、これに関しては未読。
ほとんど情報を仕入れないまま、密室モノの屋敷ミステリーという本格推理劇を期待して観に行ったら、ひっくり返ったのなんの。

確かに大枠はミステリー映画なのであるが、半分はゾンビ映画。
外にはゾンビがウヨウヨしているので人物たちが屋敷から出られないという「閉じ込められ」の状況が出来上がり、次々と密室殺人が起きる・・・というよりはゾンビに襲われたらしき犠牲者が次々に出る。
密室トリックを使う知能などないはずのゾンビが?という、これまた不可思議状況の犯罪が起きる、一風変わったミステリーである。

しかし、予告編でまったく触れられていなかったこともあってか、突拍子もないゾンビパニックの展開には驚きよりはドン引きと言った方がいいか。
ゾンビ発生の時点で、多少「ダマされた感」に襲われた人も少なくなかろう。

日本の映画だから余計に感じてしまうのか、西洋イメージのゾンビという超常的要素が入ると一気に幼稚臭く感じてしまう。 まあこれを何とか楽しめるように、観ながら自己修正できないことはないが。
密室トリックとかを含めたミステリー劇としてはきちんと形があるので、全体的にとっ散らかった感じをスマートにできればよかったとは思うが。

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T48-10-MEDLEY-Zombieland r 鉄板ナポリタン、めっちゃうまそう!ウルトラソォーッ!ハイッ!
T48-10-MEDLEY-Zombieland w 確かにうまそうだったけどね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r なんでゾンビが?っていう説明が一切ないよね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w 注射を持った不審な人物たちが出てくるけど、何者なのかは不明のまま。 犯人の協力者? そうでないと都合よく出てきたゾンビを殺人に利用できないしね。

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T48-10-MEDLEY-Zombieland r それよりもゾンビの扱いのお手軽さが納得できない。納豆食えない。
T48-10-MEDLEY-Zombieland w ゾンビを映画で扱う・イコール・残酷描写よ。 それがないもんね。 でもそれをやったらこの映画の焦点がボケてしまうから、あくまでも本格ミステリー・ドラマで通すにはゾンビは単なるアイテム扱いになるよね。
T48-10-MEDLEY-Zombieland r ゾンビを殺すシーンは必殺仕事人のレントゲン描写なんて、生ぬるいっ!百貨店マルイッ!
T48-10-MEDLEY-Zombieland w 要はゾンビ映画として観るなってことだわさ。

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T48-10-MEDLEY-Zombieland r 明智先輩ってナイスキャラだったのにもったいないなあ。 指パッチン!小指なみの小チン!
T48-10-MEDLEY-Zombieland w やめんかい。


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それではここで本作にカメオ出演しているビル・マーレイに「ゾンビランド:ダブルタップ」について語っていただこう。
 
 「あれ? おたく前作で残念なくたばり方をしたんじゃ?」

ルーベンがどうしても出てくれって言うからさ・・・・ってのはウッソ~。 クスリ買う金が欲しかっただけ。

 「映画の方はどうでしたか?」

俺っち、主役の連中とカラんでねえし、ラストのインタビューシーン撮っただけだから、よく知らねえよ。
 
 「完成した映画はご覧になってないのですか?」

観たような観なかったような・・・。 まあDVD出たらレンタルするわ。

 「あなたにとってゾンビ映画とは?」

俺っち、こわいの苦手なんだよな。 幽霊とかも嫌いなの。 あっ、そうそう。 この夏、「ゴーストバスターズ」の新作が公開。 俺っちも出てるからぜひ劇場に足を運んでね。 以上。

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「ゾンビ 日本初公開復元版」を観に行き、テンションがあがったアッシは、映画館で売っていたTシャツを勢い余って購入。
♪ ティー!ティティー!ティーティーティティ~!♪ (TT兄弟)

何種類かあったが、赤いバージョンの攻めたガラのTシャツである、
まだ袋から出してはいない。

今年の夏はこれでキマリさ!




「賢人のお言葉」 
 
「子供らしさが死んだとき、その死体を大人と呼ぶ」
 ブライアン・オールディス
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年末年始にこれ観ました
2020年01月14日

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「テッド・バンディ」

テッド・バンディという男。 1970年代にアメリカで36人もの女性を殺害した連続殺人鬼で、“シリアルキラー”という言葉で表現された最初の人物です。
IQ160の頭脳とハンサムな顔立ちで司法やメディアを翻弄。
裁判でも弁護士を立てずに自ら巧みな弁論を繰り広げて異様なカリスマ性を発揮。
バンディの無実を信じる多くの女性ファンが裁判の傍聴席に詰めかけ、刑務所には連日多くのファンレターが寄せられたとか。
彼はギリギリまで無実を主張してましたが、1989年の死刑執行の数日前になってから30件にも及ぶ犯行をペラペラと喋り出したとのこと。
89年1月24日の死刑執行はテレビでライブ中継され、刑務所前は大勢の人が詰めかけて盛大に盛り上がったそうです。

この希代の殺人鬼テッド・バンディとはいかなる人物だったのかを、彼と一時恋人だったエリザベス・クレプファーの回顧録を基に映画化したのが本作。
しかしこの映画、殺人鬼を題材にした一連のサイコパス映画とは違い、テッド・バンディ(ザック・エフロン)の恋人でシングルマザーのリズ(リリー・コリンズ)の視点を中心に描かれるので、犯行そのもののシーンは最後のギリギリまで出てきません。

もちろん観る我々は彼が殺人鬼だと分かってて映画を観る訳ですが、インテリジェンスに富み、優しい一面を持つバンディの、猟奇殺人者のイメージとはほど遠い好人物ぶりに触れると、ヒロインのリズの心理とシンクロしてしまう錯覚に陥るような感覚を味わいます。
「本当に犯人は彼なのだろうか?」

この映画は犯罪者は昼日中でも、人が多い場所でも、ごく普通の顔をして現れるのだという教訓でもありましょう。
バンディが面会室でリズから「被害者の頭部をどうしたの?」と問われ、曇ったガラスに指で、「HACKSAW(糸ノコ)」と書くシーンが怖いですね。

        


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「燃えよスーリヤ!!」

インド映画としては異色のカンフーアクション映画。

主人公スーリヤ(アビマニュ・ダサーニー)は一見なんの変哲もない青年だが、どんな痛みも感じないという特別な体質の持ち主。
幼い頃に祖父から渡されたVHSのカンフー映画に衝撃を受けて以来、街の悪党を倒すことを目標として独自にカンフーの特訓を積んできた。
ある日、スーリヤは離ればなれになっていた幼なじみのスプリ(ラーディカー・マダン)が街を牛耳る悪の組織に狙われていることを知り、カンフーのほとばしる愛と痛み知らずの体を武器に悪の組織との全面戦争を決意する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
痛みを感じない=喉の渇きに気づかない=脱水症状・・・ということで水分補給を怠るとぶっ倒れてしまうという弱点があるものの、やはり何をされても痛くないというシステマ芸人(コンビ解散しちゃったらしいですね)のような特異体質ヒーローなら、面白い映画ができそうなもんですが、無駄に張り切り過ぎるのがインド映画の悪いところ。
なんやかんやと詰め込み過ぎ。 サービス精神旺盛なのはよろしいが、その割にテンポがダルい。
あれこれ盛ったら、そりゃ説明が多くなるのも已むなし。 シンプルに、もっとギャグに走ってもよかったのでは?

        


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「だれもが愛しいチャンピオン」

障がい者がプレーするバスケットボールには「車椅子」と「聴覚障がい」、そして「知的障がい」の3つの部門があります。
このうち、パラリンピックの種目があるのは「車椅子バスケ」だけ。
意外と知られていないですが、聴覚障がいはパラリンピックには出られません。
そして「知的障がいのバスケ」は2000年のシドニー五輪まではあったのですが、この大会でスペインによる不正行為(メンバー12人中10人が健常者)が発覚したのをきっかけに、知的障がい者の全競技が現在までパラリンピックから外されているという経緯があります。

この映画は知的障がい者のバスケットボールチームの物語ですが、奇しくもスペイン映画。 それはそれとして。
2018年のスペイン国内の興行収入1位を記録し、スペインのアカデミー賞であるゴヤ賞でも11部門にノミネート、3部門受賞を成し遂げた感動作です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スペインのプロ・バスケットボールのサブコーチであるマルコは何よりも負けることが大嫌いで、すぐに頭に血が上ってしまう男。
そんな性格が災いして、試合中にヘッドコーチを罵倒したあげく、飲酒運転で事故を起こしてしまい、チームを解雇されてしまう。
おまけに判事から社会奉仕を命じられたマルコは知的障がい者たちのバスケットボール・チーム「アミーゴス」を指導する羽目に。
あまりにもマイペースで自由すぎるアミーゴスの面々の言動に翻弄されっ放しのマルコは頭を抱えるが、彼らの純粋さと情熱、豊かな個性に触れて一念発起。
やがて全国大会に出場したアミーゴスはチーム一丸となって目覚ましい成長を遂げ、まさかの快進撃を見せるのだが・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アミーゴスのメンバーを演じるのはオーディションを受けた実際の障がい者の人たち。
本作は基本コメディであり、彼らの"症状"をギャグにしたシーンもあります。
これに抵抗を覚える人がいるかもしれませんが、言えるのは彼らは世の中から取り残された敗残者ではないし、"症状"も負の面としてではなく、あくまでも"個性"なのだということが強調されていることです。
一応フィクションなのですが、ドキュメンタリー感覚で観ると感動もひとしお。
彼らなりに苦労はあったでしょうが、この世界で懸命に生きている姿に「人に負けなし、誰もが勝者」という本旨が胸を揺さぶります。

生体組織に異常が出る障がいを持ったヘスス・ビダルはマリン役を演じて、ゴヤ賞で新人賞を受賞。 障がい者では初のゴヤ賞受賞です。
「ママ、私を生んでくれてありがとう」というスピーチが会場を感涙の渦に叩き込みました。
YouTubeにもあがってるので、「goya 2019」でぜひご覧あれ。

        


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「ジョン・デロリアン」

これが2019年最後の鑑賞作品。

デロリアンといえば、言わずもながら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するタイムマシンの車。
でも本来は元ゼネラルモーターズの副社長だったジョン・デロリアンという人が独立し、自分で立ち上げた会社が生産した車「デロリアンDMC-12」のこと。
V型6気筒SOHCエンジン、排気量2849cc。 ボディはヘアライン加工のステンレス。
ガルウイングのドアが男子心を刺激しますが、130馬力とスポーツカーにしては物足りないし、燃費もイマイチ、故障も多いという残念な車。
それでも映画の影響か、根強い愛好家もいらっしゃるようで。
そのデロリアンを開発した人の半生を描いた映画なんですが、これがなかなかの破天荒。

ジョン・デロリアンはポンティアックGTOの産みの親として知られ、その功績ゆえに若くして出世したものの、クルマつくりの現場から離れるのが嫌で、48歳の時にGMを退社して「デロリアン・モーター・カンパニー」を設立。
こうして彼は夢の車デロリアンDMC-12を開発するのですが、欠陥だらけの車は全く売れずに3年半で生産は終わり、会社も倒産。 おまけにジョン・デロリアンは麻薬の取引で逮捕されるというドツボな事態に。

実はこの逮捕劇には、デロリアン(リー・ペイス)の近所に住んでいた麻薬の運び屋パイロット、ジム・ホフマンという人物が絡んでおり、一時FBIに逮捕された彼は取引として、資金繰りに苦労していたデロリアンを利用しようと思いつくのです。
危ない橋とはいえ、大金が手に入ることに目がくらんだデロリアンは麻薬取引の片棒を担がされて、まんまとホフマンとFBIのオトリ捜査に嵌められてしまうのです。

そんな顛末を描いた本作ではDMC-12のことはあんまり触れられないので拍子抜けしてしまう分、ジェイソン・サダイキスが演じるジム・ホフマン目線で描かれるドラマに正直身が入らず。
友情の選択のラストがシブいけどね。

        

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「男はつらいよ お帰り 寅さん」

子供の頃は実家に風呂がない時代がありまして、銭湯に通っておりました。
銭湯に行きますとロビーの壁によく近日公開の映画のポスターが貼られていましてね。 ゴジラやガメラや大魔神などのポスターにテンションが上がったもんです。
もちろん「男はつらいよ」のポスターの時もありましたが、これ最初にタイトルを見た時、「オトコワ・ツライヨ」と読まずに「オトコ・ハツライヨ」と読んでしまいまして、「ハツライヨ? なんじゃそれ?」と首をかしげながら、長いあいだ「ハツライヨ」だとばかり思い込んでいた時期がありました。

もうひとつ余談。
実はアッシは「男はつらいよ」を一本も映画館で観たことがありません。
若い頃に、最初にテレビの洋画劇場かなんかで放送された何本かを観て、「映画館に行くまでもない」カテゴリーに入れてそれ以来まったくです。

というわけで、自身初めて映画館で観た寅さん映画がコレなわけですが、何故観ようと思ったのかは、やっぱり「どうやって作るの?」というのが気になったから。 それに、もう寅さん映画を劇場で観る機会はこれが最期だろうと思ったこともありますね。

渥美清が亡くなって24年。
前作からは23年も経ってますし、どんなドラマで構成していくのかというと・・・。
81年の第27作目からずっと出演している吉岡秀隆の満男のその後の物語を中心に、過去作の映像でもって寅さんの思い出にフラッシュバックするという形をとっています。
てっきり、渥美清をCGとかで何とかして登場させちゃうんだろうか思ってましたが、そこまでではなかったですね。

「男はつらいよ」を長年親しんできた方には感慨深いものがあるのでしょうが、残念ながらアッシはそこまでではないので・・・。
それでも共演者や山田監督、スタッフら携わった人たちの"寅さん愛"がジンワリと伝わってきます。
外国暮らしの長いゴクミはちょっと日本語がヘタになりましたかな?

        


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「リンドグレーン」

「長くつ下のピッピ」や「ロッタちゃん」シリーズなどで知られるスウェーデンの世界的な児童文学作家のアストリッド・リンドグレー
ン(1907~2002)。
彼女にとって最も激動の時期だった16歳から20代までの若き日を映画化。

アストリッド・リンドグレーンは旧姓をエリクソンと言います。
映画はまだ彼女がアストリッド・エリクソンであり、作家デビューもしていない時代に絞って描かれますが、ともかく波瀾万丈。

信心深い家庭で、特に母親は厳格な信者。 奔放な性格のアストリッドは神だの教会だのというのが性に合わず度々母親と衝突。
中等学校を卒業した16歳。 新聞社で働きだしますが、そこの編集長ブロムベルイと恋仲に。 ちなみに編集長さんはなかなか別れてくれない奥さんと離婚調停中。
だが、アストリッドは妊娠してしまい、もちろん信心深い両親は許さず、近所に知られないように隣国のデンマークで出産させ、子供は里子に出されます。

1年経っても子供を引き取りに行けないアストリッドの苦悩を解さないブロムベルイとスッパリ別れたものの、デンマークに行く金がない。
国立自動車連盟での仕事を得て、金銭的余裕もできて息子ラッセを引き取りに行くのですが、2歳半になった我が子はすっかり養母が母親と思いこんでしまっていてアストリッドは拒絶されてしまいます。

養母が病気で倒れ、両親の反対を押し切ってラッセを引き取ったアストリッドですが、息子はなかなか懐いてくれない上に、咳が止まらない病気になるわとアストリッドの心身は一杯一杯に。
そんな時に手を差し伸べてくれたのが職場の上司のステューレ・リンドグレーン。
「今すぐ帰りなさい。 息子さんの病気が治るまで会社に出てきてはいけない」 ステューレ、めっちゃいい人!
しかもちゃんと医者の手配まで。 「もうお金は頂いてますよ」とお医者さん。 
イケすぎてるぜステューレ!

ラッセを看病する枕もとでアストリッドが「お話」をしてあげたのが、児童文学作家への萌芽だったのでしょうか。
お母さんと和解するラストのホノボノ感がいいですね。
自立と慈しみ。 女性として母として純粋な気持ちを貫いた文士の波乱のアーリーデイズ・ストーリー。

        


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「ルパン三世 THE FIRST」

なんでまたわざわざ3DCGにするんだろうかと思っていたら、原作者・故モンキー・パンチ氏の念願の構想なんだそうで。
それを山崎貴監督が遺志を受け継ぐ形で実現した新作。

3DCGにすると、それはそれでいい部分もあれば拙い部分もありますな。
大きなスクリーンと併せての3DCGは前後左右のダイナミックなアクションやスペクタクルな描写にきっちり活かされており、視覚的な娯楽は存分に果たしています。
それでも、通常の2Dの「ルパン三世」のキャラクターの動きのエッセンスを限りなく残そうとしているためか、そのリアルさが却って不自然に見える点がなきにしもあらず。

ひょろ長い手足の関節がすばしっこく動くあの独特な描写は2Dだからこその味では?とも思うのですが。 まっ、そんなに気にするほどじゃあないんですけどね。
全体的には十分楽しめたし。 いいんじゃないかな、カリオストロっぽいけど。 今回はあくまで目で楽しむコンセプトのルパンですから。

それにしても悪役がヘボい。

あれ? 五右衛門のあのセリフは?

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2019 映画ベスト:二十選~邦画の巻
2020年01月12日

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「お次は邦画編じゃな」
「お待たせいたしました」
「念のために聞くが『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のランクはもうチョイ上がらんのかのぉ?」
「無理ですよ。 もう記事はあげましたし」
「そこをなんとか」
「ならんですな」
「おぬしもガンコじゃの」
「そういうことでは・・・」
「おぬしのような奴は年末年始、歯の痛みに苦しむがよい」
「よくご存じで。 近々親知らずを抜かなきゃならんのですよ」(マジです)
「フォッフォッフォ」
「何がおもろいんじゃ」


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10位 「町田くんの世界」

勉強も運動も苦手だが、人を分け隔てなく好きになれる町田くんが、まだまだ分からないことだらけの世界と向き合っていく青春ドラマ。
「分からない感情」の正体を探る、瑞々しい彼の一挙手一投足に、人を好きになる感情の原点を今一度考えさせるほどの新鮮な感動が沸き起こる。
主演の二人が演技経験ゼロの全くの新人で、その巧さに驚くのはもちろん、「役者が役を演じてる」という先入観を排除することで、このピュアなキャラクターが生き生きとしたリアルなものになると踏んだ石井監督の賭けに近いキャスティングが功を奏している。
脇役陣が豪華だが、文字通り「脇を固めて」ストーリーの舵を取った前田敦子、太賀が素晴らしい。

imagesRHFQAZED.jpg 町田くんはジェダイの素質十分。 彼のことを「変わったやつ」と思う者はまだまだ修行が足りぬぞ。
 

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9位 「長いお別れ」

認知症を患った父とのお別れまでの7年間の物語。
それぞれの人生の岐路に立つ家族の面々の様々なエピソードを連ねながら、父の娘であった女と父の妻であった女の三女子の「自分再生」が浮き彫りにされていく。
認知症という重い題材でも、ユーモアたっぷりなアプローチを取ることで、消えることのない絆という作品のテーマをブレさせていない。
蒼井優や竹内結子を差し置いて、意外と言っては失礼だが、「女優・松原智恵子」の本領が垣間見れるのがサプライズ。
のほほんとしていたお母さんが一度だけ娘たちにキレるシーンが絶品。 さすがは日活三人娘の一人。

imagesRHFQAZED.jpg 人生の終末を迎えた時、やはり家族という場所が一番のホスピスじゃ。


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8位 「旅のおわり世界のはじまり」

バラエティ番組のリポーターとしてウズベキスタンにやってきたヒロインが心の居場所を見つけていくロードムービー。
監督の黒沢清とはこれが3度目のタッグとなる前田敦子だが、多くの監督からオファーされる理由がこの映画にある。 間違いなく代表作と言っていい秀作。
分からないことだらけの異国の地で、いるかどうかも分からない怪魚を探し、不味い料理を「おいしい」と食レポし、安全基準的に大いに不安な遊園地のアトラクションにヘロヘロになりながら、彼女は自分を偽る顔と言葉をカメラに向ける。 
いない怪魚を求める姿も、荒野をさまようヤギも、みなヒロインの合わせ鏡。 自身のこれからが見えない彼女がさまざまなエピソードを積み重ねながら成長していく過程が愛おしい。
ウズベキスタンという国の魅力に触れ、「愛の讃歌」に心が震える。

imagesRHFQAZED.jpg 自分を知るには多くの他人と触れ合うのも一つの方法じゃ。 それも異国の方でな。 旅は良いぞ。


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7位 「よこがお」

監督・深田晃司、主演・筒井真理子の「淵に立つ」のコンビが放つ新作は、人間の多面性が生み出す不条理を描いたヒューマンサスペンス。
訪問看護士のヒロインが、甥っ子の犯した罪によって人生が狂っていき、やがてささやかな復讐へと発展していく物語は、人間の見えざるもう一つの顔という心理が全編にわたって描写されている。
ヒロインも、またヒロインを貶める知人の女も、ヒロインの甥っ子も、諸刃の刃のマスコミも、善人の顔を反転させ、日常をカオスに巻き込んでいく。 ワイドショー的でもある混沌としたドラマは最後のシーンまで息を飲む。

imagesRHFQAZED.jpg 人は以外に相手の人間性を正面から見ておらぬ。 側面しか見てないのじや。 見えてない側の横顔の本質を知らずにのぉ。


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6位 「宮本から君へ」

恋にも仕事にも不器用な営業マン・宮本の熱き青春闘争。
2018年のTVドラマ版と同じ監督、同じ主要キャストで原作の後半部分を映画化。 
どこの世界にも口だけ番長みたいな奴がいるが、この宮本は口にしたことは何がなんでも実行する。 愛する人のためとはいえ、今時愚直なまでに不言実行にこだわる人間も珍しい。 だから感動するのだろうか。
多少病的ではあるが、忖度もへったくれもなく、何度跳ね返されてもぶつかっていく熱血野郎・宮本を応援したくなる人は多いだろう。
生々しい痛感が伝わる暴力描写も、これまたある意味、熱血演出。
熱帯のジャングルの中で清らかな風を感じるような爽快感に包まれる力作。

imagesRHFQAZED.jpg 冷めた心で人生と向き合うな。 恋にも勉学にも趣味にも仕事にも、熱い心で打ち込むのじゃ。 バカになるほど前へ進め。 それが青春じゃ。


「ベスト5の前に、11位から20位までのランキングです」

11位 「アンダー・ユア・ベッド」
12位 「七つの会議」
13位 「閉鎖病棟 - それぞれの朝 -」
14位 「アルキメデスの大戦」
15位 「Noise」
16位 「わたしは光をにぎっている」
17位 「記憶にございません!」
18位 「蜜蜂と遠雷」
19位 「居眠り磐音」
20位 
「殺さない彼と死なない彼女」



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5位 「天気の子」

環境問題に踏み込んだ新海誠監督の最新作は、要するに「誰かがやってくれるだろう」のままでいる人類に対する警鐘である。
歴史的ヒット作の前作の呪縛に囚われず、本作では「人の命は地球よりも重い」を地で行く話になっており、前作の目線とは多少角度の違うテーマである。
新海印の美しすぎるビジュアルは、光や緑、空の青といったものがくっきりと描かれ、つまりはこの先、地上から無くなるかもしれないものが強調されている。
自己犠牲がチヤホヤされることへの疑問、または自由と公共性は相反するという現実をラブストーリーに組み入れた、かなりの冒険作である。
ちなみに【天気のことはヨシズミに聞け。 女心は凪センパイに聞け】という教訓が生まれたとか生まれなかったとか。

imagesRHFQAZED.jpg 世界を変えてしまったのは彼らではない。 問題を先送りにして何もしてこなかった先人の責任じゃ。


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4位 「さよならくちびる」

解散を目前にした音楽ユニット「ハルレオ」の女性コンビの友情とすれ違いを綴った青春音楽映画。
門脇麦と小松菜奈の絶妙のシナジー。 秦基博、あいみょんが手掛けたエモーショナルな楽曲。 男女3人が微妙な距離感を繰り返す、目の離せないストーリー。
派手な映像も劇的な展開もいらない。 「演技」・「歌」・「物語」。 シンプルな三要素だけで赤裸々な心理がグッと伝わる快作に仕上がっている。
過去と現在の時間を行き来しながらも、この先はどうなるのかの切望感が止まらない。
邦画の音楽映画としては久々の出色の一本。


imagesRHFQAZED.jpg お互いのことをしっかり分かり合っている者同士の喧嘩は却って友情の糧となるのじゃ。 それにしても喧嘩中のオナゴ同士には妙な色気が出てるものじゃのぉ。  


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3位 「ひとよ」

母が犯した事件によって崩壊した家族が再び絆を取り戻までの苦悩を描いたヒューマンドラマ。
憎しみに囚われる人間像を描くことにかけては熟達の監督、白石和彌の渾身の一撃。
何よりも三兄妹役の佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優の演技のつばぜり合いに圧倒されっ放しで、田中裕子や佐々木蔵之介、音尾琢真など他に名演を見せている役者が霞むほど。
家族だからこそ理解したいことと許せないこととの軋轢の心理ドラマを人物の言葉で存分に咆哮させた、そのストレートな語り口がシンプルに心に響く。
深い闇の中からいかに人は這い上がるか。 贖罪の先にある夜明けの陽の美しさに、家族という至高の存在が浮かび上がる超ド級の感動作だ。


imagesRHFQAZED.jpg 親の因果が子に報うのが世の習いじゃ。 しかし子らよ、強くあれ。 報いを救いに変えるのじゃ。


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2位 「火口のふたり」

いとこ同士の男女が抑えきれぬ感情のまま体を重ね合う姿を通し、生死の淵に輝く瞬間瞬間の命の美しさを見つめた官能の衝撃作。
柄本佑と瀧内公美のほぼ二人芝居で、あからさまなセックス描写が次から次へと大放出される内容は、禁断の関係がどうのこうのという理屈を飛び越して仕舞いにはこちらも麻痺してくる。
全編に渡り、いつでもどこでもバスの中だろうとビルの谷間だろうとヤリまくる二人に「こいつら元気やのぉ」と微笑ましくなるほどのバイタリティを自然に感じてしまうのだ。
ヤッているか、何か食べてるシーンか、またはアッケラカンとした会話のループ。 その先に見えてくるのは、大きな災害を何度か経てきた我々日本人が直面した「生きる意味」についてのレスポンス。
死はいつでもそこにある。 だからこそ今を悔いなく懸命に生きることの尊さ。 そんなご鞭撻がエロバナで語られる異形の傑作。

imagesRHFQAZED.jpg 人はなぜ誰かを愛するのか? それが生まれてきた意味じゃ。 愛は最大の生命力なのじゃ。


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1位 「岬の兄妹」

片足が悪く、仕事をリストラされた兄が貧困から脱け出すために、知的障碍の妹に体を売らせるという物語。
生きていくには恥も外聞もない貧困の現実は、モラルを越えた壮絶なサバイバルの様相を呈しながら兄の妹に対する複雑な感情を浮かび上がらせていく。
底辺でもがきつつ、兄は泥棒等の金銭の犯罪に手を染めるまでには至らないとはいえ、何も分からぬ妹を利用する人非人的行為の葛藤に苛まれる。
一方で人から初めて愛される感情に触れた妹が生き生きとしだして自分を主張し出す所が痛々しく、それがラストにも繋がっている。
「生きる」ということのなんとエネルギーのいることか。 オヤジ狩りの中学生に反撃する武器はまさに生命力がヒネリ出したモノ。
障碍者、弱者切り捨て、売春、いじめ、貧困、小人症の男の性処理など、社会のタブーを惜しみなくさらし、人間の心の底を掻き出してみせた平成最後の問題作。
監督、片山慎三。 これがデビュー作というのが未だ信じがたい。


imagesRHFQAZED.jpg 兄と妹・・・・、ルークとレイアじゃのぉ。 それはさておき、ハンデを背負った者が暮らすには忍耐のいる社会じゃ。 道徳も見栄も腹の足しにはならぬ。 

「ベストテンのおさらいです」

 1位 「岬の兄妹」
 2位 「火口のふたり」
 3位 「ひとよ」
 4位 「さよならくちびる」
 5位 「天気の子」
 6位 「宮本から君へ」
 7位 「よこがお」
 8位 「旅のおわり世界のはじまり」
 9位 「長いお別れ」
10位 
「町田くんの世界」


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「こうして見ると、カタカナのタイトルがひとつもないのぉ」
「ホントですねえ」
「しかも、ひらがなオンリーのタイトルが3つもあるぞな」

「なんかホッとするなあ」


【ええ仕事の男優 20人】 (映画公開順)
香川照之 「七つの会議」
松浦祐也 「岬の兄妹」
川瀬陽太 「おっさんのケーフェイ」
鈴木宏侑 「Noise」
大沢たかお 「キングダム」
岸部一徳 「轢き逃げ - 最高の最悪な日 -」
細田佳央太 「町田くんの世界」
松坂桃李 「新聞記者」
井浦新 「こはく」
菅田将輝 「アルキメデスの大戦」
田中泯 「アルキメデスの大戦」
柄本佑 「火口のふたり」
高良健吾 「アンダー・ユア・ベッド」
YOSHI 「タロウのバカ」
中井貴一 「記憶にございません!」
池松壮亮 「宮本から君へ」
綾野剛 「閉鎖病棟 - それぞれの朝 -」
笑福亭鶴瓶 「閉鎖病棟 - それぞれの朝 -」
佐藤健 「ひとよ」
鈴木亮平 「ひとよ」


【ええ仕事の女優 20人】
和田光沙 「岬の兄妹」
篠崎こころ 「Noise」
岸井ゆきの 「愛がなんだ」
壇ふみ 「轢き逃げ - 最高の最悪な日 -」
門脇麦 「さよならくちびる」
小松菜奈 「さよならくちびる」
蒼井優 「長いお別れ」
松原智恵子 「長いお別れ」
竹内結子 「長いお別れ」
浅田美代子 「エリカ38」
関水渚 「町田くんの世界」
前田敦子 「旅のおわり世界のはじまり」
筒井真理子 「よこがお」
希代彩 「JKエレジー」
瀧内公美 「火口のふたり」
杉咲花 「楽園」
松岡茉優 「ひとよ」
田中裕子 「ひとよ」
松本穂香 「わたしは光をにぎっている」
貫地谷しほり 「夕陽のあと」


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「おぬし、このブログ、なんだかんだで今年で11年目じゃぞ」
「よく続けてやってんなと自分でも感心しますよ」
「継続は力なりじゃぞ。 その調子で精進するのじゃ」
「へへ~っ」
「また来てもよいかの?」
「いつでもお待ちしております、マスター」
「それではさらばじゃ。 “映画とともにあらんことを”」



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今年もよろしくお願いいたします

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2019 映画ベスト:二十選~洋画の巻
2020年01月08日

昨年観た映画の個人的ランキングが決まったので書かねばならない。
毎年、「親分&子分」の会話で書いてるが、たまにはパターンを変えよう。
とは言え、さて、どうしたものやら。 なかなかいいアイデアが浮かばない。

順位と映画のタイトルだけ書いて超シンプルに済ませてしまおうか。
いやいや、それではあまりに愛想がない。
何か面白いシチュエーションはないか。

「殿様と家老」、「社長と平社員」、「先生と生徒」、「取調室の刑事と容疑者」、「宇宙人とそれにさらわれたアッシ」、「金正恩とトランプ」、「カルロス・ゴーンと逃亡協力者」・・・・
う~ん・・・・・・・
 

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「おぬし」
「わっ、ビックリした。 帰ったんじゃないんですか」
「ワシはこう見えて、鼻血が出るほどヒマでな」
「さっきも同じこと言いましたが」
「この寂しい老人の相手になってはくれんかのぉ」
「マスター・ヨーダらしからぬことをおっしゃいますな」
「それにしてもGACKTという奴はタダモノではないのぉ」
「ああ『格付けチェック』ですね。 すごいですね、彼は」
「間違いなくフォースの使い手じゃな」
「そうなんですか」
「しかし、内心は相当なプレッシャーに苛まれておるようじゃの」
「そうみたいですね」
「金爆のキリショーにキレておったのも気になる。 怒りと恐れは暗黒面につながるでのぉ。 シスに引き込まれぬようにジェダイ評議会はしっかりと監視せねばならぬ。 おぬしにその大役を任せよう」
「やりませんよ」
「遠慮せんでもよい」
「遠慮してませんよ」
「薄情な弟子じゃのぉ」
「アッシは弟子だったんですかい?」
「弟子にも色々あるでのぉ。 差し詰め、おぬしはパシリじゃ」
「無駄話するなら、お引き取り願えますかな、お師匠さん」
「まあそう言うな。 おぬし、昨年観た映画のランキングを発表するのじゃろ? どおれ、聞かせてもらおうかのぉ」
「やれやれ。 それではまずは洋画編。 10位から」


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10位 「ドッグマン」

トリマーをしている主人公の、他者と関係を保とうとする心理のイビツな内面が、理不尽てんこ盛りの描写で描かれた“心の闇サスペンス”。
犬をしつける者なのか、あるいは尻尾を振る犬なのかという構図で対比させ、やがて主人公が不条理の落とし穴にはまり込んでいく、かまってちゃんのカオスがなんとも哀しくて忌まわしい。
西部劇の寂れた町のような独特のムードがぷんぷんする舞台もしぶい。

imagesRHFQAZED.jpg ペットを飼う要領でコミュニケーションが取ろうとしたこの男の異質の闇はあまりに深いのぉ。


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9位 「女王陛下のお気に入り」

実歴史を基に、宮廷内の絢爛豪華さとは真逆の俗物たちの醜さがこれでもかというほど詰め込まれたブラックなシニカルドラマ。
女の三角関係という、ひと癖ある権力争いの殺伐さだけでなく、クソもあればゲロもふんだんに吐き出され、食べ物を粗末にする乱痴気騒ぎや動物の虐待などなど、これまでの宮廷映画のイメージを覆す映画。
下から見上げるような視線の冷ややかさがユニークな味。 三女優の「腹に一物」キャラのガチンコ競演もエグい見応え。

imagesRHFQAZED.jpg パドメ・アミダラもレイアもデキた姫じゃった。 それに比べれば堕落の極みのオナゴどもじゃの。 寵愛は欲するものではなく感じるものである。


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8位 「マリッジ・ストーリー」

離婚することになった、ある一組の夫婦のアンビバレンスな心の内をリアルにほじくり出しながら、弁護士も含めた、まさに「犬も食わぬ」プライド争いの滑稽さをコミカルなタッチで綴るファミリードラマ。
離婚という終着点から考察する、結婚に至る出発点の尊さを提示し、人が人を愛する素朴な美しさを讃えた秀作。
スカヨハのハイスペックをまざまざと見せつけられ、ベソをかくアダドラに涙腺が緩まずにはいられない。

imagesRHFQAZED.jpg 結婚も離婚も「自分が勝つための」ゲームになってはならぬ。 他人がひとつ屋根の下に暮らすことの奇跡をありがたく思え。 ・・・・誰かと思えばカイロ・レンではないか。 えっ、ちがうの?


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7位 「ROMA/ローマ」

アルフォンソ・キュアロンの生まれ育った家庭と故郷メキシコへの愛情にあふれた自伝的な人間愛物語。
スターは一人とて出てこないし、派手な話ではないのに観る者をグイグイとスクリーンの中へと引っぱり込む。 そんな見えない力が秘められた奇跡のような語り口には脱帽するしかない。
横移動のカメラワークと、6K撮影からモノクロに変換した映像の未だ忘れ難い深みと美しさ。 配信映画だというのがあまりにもったいなく、そのことを含めて映画ファンが色々と考えさせられた作品。

imagesRHFQAZED.jpg 派手な色、派手なスター、派手な物語。 それらが一切なくとも名作は出来るのじゃ。


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6位 「ジョーカー」

病気の母親を世話する心優しき青年が悪の権化へと変貌していく、"人間逆成長"の凄絶なドラマ。
アメコミ・ムービーの概念を1~2段ほど高みに上げた、優れたドラマ性を帯び、格差社会の軋轢が生みだす人間性破壊の悲劇が力強い筆致で貫き描かれている。
ホアキン・フェニックスの偏執性アプローチがいかんなく発揮され、ジョーカーというヴィランの魅力を再認識させた、ヴェネチアの金獅子も当然の超傑作。

imagesRHFQAZED.jpg 人生にも世の中にも絶望した人間に善は無力じゃ。 悪しか信じられんようになるのじゃ。

「ベスト5の前に、11位から20位までのランキングですよ」

11位 「ラスト・ムービースター」
12位 「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」
13位 「2人のローマ教皇」
14位 「さらば愛しきアウトロー」
15位 「ファースト・マン」
16位 「ワイルドライフ」
17位 「ホテル・ムンバイ」
18位 「シークレット・スーパースター」
19位 「ブラインドスポッティング」
20位 
「エセルとアーネスト ふたりの物語」


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「おぬし」
「なんですか、恐い顔して」
「いよいよ暗黒面に堕ちたな。 成敗してくれるから、そこになおれ」
「室内でのライトセーバーのご使用はお控えください」
「やかましい。 すぐに楽にしてやる。 痛くないようにするからありがたく思え」
「なにをそんなにキレてらっしゃるのやら」
「おぬし、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』がベスト10に入ってないとはどういう了見じゃ」
「そう言われても。  押し出されたような感じになってしまいしたが」
「おぬしはワシのパシリを破門じゃ」
「破門でけっこう。 それではベスト5の発表」


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5位 「アイリッシュマン」

(スコセッシ+デ・ニーロ+ペシ+パチーノ)×(ノワール)。 この公式で面白い映画ができないはずがない。
義理と人情の板挟みが避けられない裏社会に翻弄される男が大切なものを失っていく、任侠不条理物語。
長尺の上に時間軸をシャッフルする構成で、決して観客に優しくはない映画のはずが、人間描写の濃密さと、終始気を抜くことを許さない快テンポな語り口で心地いいピリピリ感をもたらす極上のエンタテインメントに仕上がっている。
役を演じてる俳優がみな、板につきすぎてるところがまた凄い。

imagesRHFQAZED.jpg ひとつ言っておこう。 NetflixのCMのように、道端にへたり込んでスマホで観るのはこの映画に対して失礼じゃぞ。


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4位 「グリーンブック」

コンサートツアーに出た黒人のピアニスト。 お抱え運転手として同行することになった用心棒の白人男。
少々異質な二人の友情物語は、一介の人種差別モノとは一線を画し、ステレオタイプな悪い白人と可哀そうな黒人という構図に逆らいながら、そういうことに敏感なリベラル層の求めるイメージを逆差別だと暗に訴えた伝記コメディ。
成功を為した人物であろうと、黒人には「黒人らしく」扱うのをためらいなく是とする、60年代のアメリカの暗部をピリッとしたユーモアでツッコんだ内容は学ぶべきものが多々込められている。
ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの絶妙な味わいのコンビを好きにならない人はいないだろう。

imagesRHFQAZED.jpg 差別は人の生き方を制限してしまうのじゃ。 芸術もそうであってはならぬ。


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3位 「アベンジャーズ/エンドゲーム」

アメコミ・ヒーロー映画の頂点を極めた屈指の名作。
全編、名場面とカタルシスのつるべ打ちで、ツボの心得方が小憎らしいほどマトを外していない。
意外な展開も二度三度、サイドストーリーの組み込みなど、そのアクロバティックな構成力は神レベル。
あれだけの数の主役級のキャラクターが総出演するにもかかわらず、まるでガチャガチャすることなく、想像を遥かに超えるアゲアゲなクライマックスを見届けた時、「映画を観た」という実感の歓びに浸れる珠玉のエンタテインメント。

imagesRHFQAZED.jpg 誰にでもヒーローになれるための門は開いておる。 だが、ヒーローである前に人であることも忘れてはならぬ。


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2位 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

毎度、作品に「映画愛」を惜しみなくブッ込んでくるタランティーノが詠いあげた黎明期のハリウッドへのラブレター。
衰退していくものと、新しい時代の波が混在した映画の都で、やり場のない空虚感を抱えた二人の男がある事件と対峙することになる物語は、やがて消えゆく欺瞞に満ちたカウンターカルチャーへの明らかなアンチテーゼ。
さまよえる栄光の遺物たちの抵抗は、疑似的西部劇を思わせ、さらにはラストで大胆な歴史改ざんを敢行。
“もしシャロン・テートが生きていたら”というハッピーな並行世界を映画ファンにプレゼントをする、魔法のような御伽話。

imagesRHFQAZED.jpg 変革は歓迎すべきことじゃが、歴史をリスペクトしてこそ新しい時代は明るいものになるのじゃ。


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1位 「運び屋」

麻薬の運び屋に手を染めた昔気質の男が、失った家族の絆を探して己の罪と向き合っていく姿をサスペンスフルに描いた至高の人間ドラマ。
久々に二足のわらじを履いたクリント・イーストウッドの未だ衰え知らずなクリエイティブ魂は唯一無二。
ケレン味のない洗練された演出と丹念な人物描写は、もはやいつものこと。
饒舌になることなく、コンパクトに小気味の良いストーリーテリングで、観客の五感を映画の中に引きずり込む、匠のテクもお約束。
要するに巨匠イーストウッドのいいところが全部出ている映画なのだ。
決して家庭志向ではなかったイーストウッド自身の贖罪と、これからも走り続けるであろう彼の「映画屋魂」がヒシヒシ伝わる集大成の逸品。

imagesRHFQAZED.jpg 人生に与えられた時間はさほど多くはないが使いようによってはたっぷりとある。 年月ではなく、時間という概念で無駄のない人生を生きるのじゃ。


「今一度、ベスト10のおさらいを」
 1位 「運び屋」
 2位 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
 3位 「アベンジャーズ/エンドゲーム」
 4位 「グリーンブック」
 5位 「アイリッシュマン」
 6位 「ジョーカー」
 7位 「ROMA/ローマ」
 8位 「マリッジ・ストーリー」
 9位 「女王陛下のお気に入り」
10位 
「ドッグマン」


「ネット配信映画が13位までに4本もランクインしたのも、これまた時代の趨勢じゃのぉ」
「なんだか複雑ですねえ」


【ええ仕事の男優 20人】 (映画公開順)
コリン・ファース 「喜望峰の風に乗せて」
ドゥニ・メノーシュ 「ジュリアン」
ヒュー・ジャックマン 「フロントランナー」
ライアン・ゴズリング 「ファーストマン」
ヴィゴ・モーテンセン 「グリーンブック」
マハーシャラ・アリ 「グリーンブック」
クリント・イーストウッド 「運び屋」
イーサン・ホーク 「魂のゆくえ」
スティーヴ・カレル 「ビューティフル・ボーイ」
ジョン・C・ライリー 「僕たちのラストステージ」
ロバート・レッドフォード 「さらば愛しきアウトロー」
エド・オクセンボールド 「ワイルドライフ」
マルチェロ・フォンテ 「ドッグマン」
タロン・エガートン 「ロケットマン」
バート・レイノルズ 「ラスト・ムービースター」
ホアキン・フェニックス 「ジョーカー」
ロバート・デ・ニーロ 「アイリッシュマン」
ジョー・ペシ 「アイリッシュマン」
アダム・ドライバー 「マリッジ・ストーリー」
ジョナサン・プライス 「2人のローマ教皇」


【ええ仕事の女優 20人】
ジュディ・デンチ 「ビクトリア女王 最期の秘密」
グレン・クローズ 「天才作家の妻 - 40年目の真実 -」
シャーロット・ランプリング 「ともしび」
オリビア・コールマン 「女王陛下のお気に入り」
エマ・ストーン 「女王陛下のお気に入り」
リンダ・カーデリーニ 「グリーンブック」
ブレイク・ライブリー 「シンプルフェイバー」
シアーシャ・ローナン 「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
ダイアン・ウィースト 「運び屋」
フェリシティ・ジョーンズ 「ビリーブ 未来への大逆転」
ヤリッツァ・アパリシオ 「ROMA/ローマ」
ジュリア・ロバーツ 「ベン・イズ・バック」
シシー・スぺイセク 「さらば愛しきアウトロー」
キャリー・マリガン 「ワイルドライフ」
ザイラー・ワシーム 「シークレット・スーパースター」
エルシー・フィッシャー 「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」
ロザムンド・パイク 「プライベート・ウォー」
イザベル・ユペール 「グレタ GLETA」
スカーレット・ヨハンソン 「マリッジ・ストーリー」
ローラ・ダーン 「マリッジ・ストーリー」

『邦画の巻』に続く

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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
2020年01月03日

swsky.jpg皆さま、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
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さあさあさあ。
いよいよ最後である。
『シークエル・トリロジー』と銘打たれたエピソード7~9の「スター・ウォーズ」の続三部作。

帝国崩壊から30年後。 新たな脅威として台頭してきたファースト・オーダーと新共和国のレイア・オーガナ将軍率いるレジスタンスが熾烈な戦いを繰り広げる舞台で、フォースに目覚めた孤独な少女レイハン・ソロレイアの息子であるカイロ・レンの運命が激突する「スター・ウォーズ」サーガの集大成、「エピソード9」待望の降臨。

77年の「EP4:新たなる希望」から足掛け42年。
ルーク...レイア...ハン・ソロ...アナキン...チューバッカ...C-3PO...R2-D2...オビ=ワン...ヨーダ...パルパティーン...パドメ...ダース・モール...メイス・ウィンドウ...レイ...ベン・ソロ...フィン...ポー...BB-8...
シリーズを彩った数々のキャラクターたちの思い出とともに、映画ファンに愛され続けた壮大なるキング・オブ・エンタテインメントの長い旅路は遂に終焉を迎える。

ディズニーが発表した本シリーズ終了後の「スター・ウォーズ」の展開は、まったく新しいキャラクターによる新しい物語が描かれるという予定なので、「スター・ウォーズ」のひとつの本流はこの9作目を持って終わるのだ。 ガチの最後なのだ。


ここからは完全ネタバレだ!
でも、もうみんな観てるよね。
観てない奴は知らん。
そういう貴兄は今からでもミレニアム・ファルコンに乗ってハイパースペースジャンプで映画館に直行せよ! これはオーガナ将軍の命令である。
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「チューイ、映画館に間に合わねえから連続ジャンプだ」
「フンガァ~(距離設定、大丈夫? 建物に突っ込まないかな?)」
「さあな」

「グホォ~(さあなって・・・)」

昨年末に22日・30日と2回観に行った。
せっかくだから1回目はDolby Atomos。 2回目はDolby Cinemaで鑑賞。
あっぱれ! メッチャいい!
別に映画館の回し者ではないが、大作映画を観る時は、なるだけ現実から乖離した環境で観たいものだ。
500円アップとお値段がお高う成り申すが、時には視覚・聴覚を甘やかさない映画鑑賞も最高の時間となる。

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さて、今回の「スカイウォーカーの夜明け」であるが、多方面で評価が分かれている。
ここから少々ディスってる文章が続くが心配無用。 アッシは「スカイウォーカーの夜明け」の味方である。


実際のところ、アッシも本作を1回目に観た時には、「フォースの覚醒」や「最後のジェダイ」で存分に浸ったカタルシスが本作に関しては多少弱いのではないかと感じたのは事実だ。

「オオッ!感」が足りないのだ。
ここであの人が出てくるのか! ここでこの人がこうなってしまうのか!・・・といった、「オオッ!」と高揚させてくれるアプローチが控えめであるのは否めない。
ハン・ソロが出てきた時くらいだろうか。 キュンと来たのは。

前作の「最後のジェダイ」がかなり冒険した内容だったし、実際「スカイウォーカーの夜明け」を観終わってみて、続三部作の中で好きなのはやはり「最後のジェダイ」である。
その前作の次だったから印象が弱くなるのかもしれないが、「スカイウォーカーの夜明け」は締めの一作でもあるし、当然ハッピーエンドに持って行かねばならない着地点から逆算すれば、冒険に打って出るような「エエッ!?」な展開を放り込みにくいのは理解できないでもない。

ストーリーもロードムービー的な構成で、途中いくつか見せ場はあるが内容はシンプル。
あくまでも、ずっと「自分は何者なのか」で苦悩してきたレイの気持ちに決着をつけるという最大のテーマを重視している。
フィンレイに何かを言いかけるが、結局そのままで、ポー・ダメロン同様それ以上レイとはあまり関わらないフィンの描写からも感じるように、レジスタンスとファースト・オーダーの戦争のシークエンスと、レイ個人のストーリーとはちょっぴり距離感が感じられる。 悪く言えばアンバランスなのだ。

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解せないのは予告編の時点でパルパティーンが出てくるのをバラしてしまっている点である。
「エエッ?生きてたの?」
本編公開までシークレットにしようという気はなかったのだろうか? 
サプライズな面白さは、予告編ですでに終わってしまった。

まあ、冒頭の早い段階で、もったいつけてる感もないほどアッサリとパルパティーンが出てくるからそんなもんかも知れない。
カイロ・レンがラスボスになるイメージとはほど遠く、最後を締めくくるのに相応しいラスボスはパルパティーンを置いて他にないという噂も多々あった。 結局その通りだった訳だ。

これによって、パルパティーンレイの生い立ちに深く関わってる大方の予想も肯定してしまったようなもの。

しかもパルパティーンは出てくるなり「スノークは余の作りだした幻じゃ」と突拍子もないことを言う。 それがサプライズと言えばサプライズだけれども。
クローンの肉体を借りて、めでたく皇帝が復活なされたという、半ば力技なアプローチはこれだけに留まらない。

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フォースの力をもってすれば、相手が離れた場所にいても一対一のバトルが可能。
「最後のジェダイ」の時にも描かれたように、フォースでなら、二人っきりで重要な会話もできる。 ただし、相手のいる場所や、そばに誰がいるかなどまでは分からないが。
ちょっとしたアイテム1個くらいなら、次元の壁を超越して、こちら側に引っ張ってこれるのだから、まことにフォースの力は偉大なり。

これらの力技は、映画的には、ある意味「時間の節約」にも繋がっている。
それはそれとして。
ファースでのやり取りが、物語の中で重要な位置を占めているのも間違いないところ。

劇中何回かあるレイベンの二人の感情むき出しのディスカッションは、アクション・シーンにもない異質な緊迫感を生みだしている。
どうせ戦争はレジスタンスが勝つのだと観客は承知している。
そうすれば一番の興味はレイベンの関係がどう転がるかだけ。
その要所を思い切って、何の邪魔も入らない「二人だけの世界」を構築させることで、映画の中に「見せる」だけではない「聞かせる」だけでも興奮させる「沸点」を作り上げているのである。

そして、レイアが全身全霊を込めて初めて息子に語りかける、ほんのわずかな一言。 これがまた感涙必至。
共にある。 それがフォースの美と奇跡。

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ライトサイドのジェダイ限定だが、死してもフォースと一体化して自我を保ったまま霊体化できる技も便利と言えば便利。
ルーク・スカイウォーカーが再登場するが、霊体であるにも関わらず、物理的な干渉もできるようになっている。
「ジェダイの武器にはもっと敬意を払え」
いや、おたく、前作でライトセーバーをポイって捨ててませんでした?


強引だの御都合的だの、それを言っちゃあおしめえよ。
今さらそんなことに目くじらを立ててるようではジェダイになる資格はない。 即刻シスの暗黒面に堕ちるべし。

御都合イズムはスター・ウォーズの伝統である。
正義は勝つ。
だからどんな困難に直面しても、愛や仲間を信じる絆など、悪の側にはない一番の武器があれば必ずや道は開ける。
卑屈な目で世の中や他人を見るな。 輝く希望を持ち続ける個人個人の心があれば、世界に平和が訪れることなど決して夢物語ではない。

スター・ウォーズの御都合の神はそう教えてくれている。


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「フォッフォッフォ。 おぬしも少しは分かってきたようじゃの」
「おおっ、これはこれはマスター・ヨーダ。 あけましておめでとうございます」
「お年玉などやらんぞ」
「何も言ってませんけど。 それはそうとマスター、本日は何かご用でも?」
「来ちゃ迷惑だったかのぉ」
「とんでもない」
「ワシもこう見えてな、鼻血が出るほどヒマなのじゃ」
「ちょうど良かった。 ただいま絶賛公開中の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』について、ナンヤカンヤ言いながらヒマをつぶしていただければ」
「何から話していいものやら」
「キャラクターごとに語っていきましょうか」

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フィン (ジョン・ボイエガ)

「"フィンはレイに何を伝えたかったのか?"が結局明かされずじまいで、謎として残ったのぉ」
「『オラぁ、おみゃあのことが好きだぁ』なんてのは短絡的ですもんね」
「そうじゃな。 愛の告白ではなかろう。 フィンは劇中で再三、予知能力めいたセリフを発しておる。 ジャナから「なぜ、分かるの?」と言われても、自分でも分からないようなリアクションを取っとる」
「フォースの持ち主ということですかね?」
「可能性は高いのぉ。 彼は夢か、あるいはフラッシュバックのようなものでレイの行く末を見てしまったんじゃなかろうか。 彼女はこのままではシスの玉座に座ってしまうことが心配だったのかもしれん」
「ならば、ポー・ダメロンがいる前でも言っても良さそうなもんでしょ」
「そこなんじゃよなあ。 でもやっぱり愛の告白じゃないと思うがな。 レイの力がどんどん上がっていくに呼応するかのように、フィンも目覚めた。 そしてレイにそのことを伝えたかった。 彼は自分の出自のヒントをつかんだんではなかろうかのぉ」
「兄か弟かってことですか?」
「いや、それはないじゃろ。 だが、彼もレイ同様に自分が何者であるかを探しておった人間じゃ」
「元々彼には名前がなかったですからね。 ストームトルーパーの識別番号から取った“エイト=セブン”と呼ばれていたけど、のちにポー・ダメロンからフィンという名前を付けてもらった」
「名前がないというところが、もう思わせぶりじゃのぉ。 ワシはフィンがレイとは直接の関係はないまでも、ジェダイの血縁者だという見方は外れておらんと思うのだがな」
「巷で言われているメイス・ウィンドウ説が俄然有力ですね」
「どっちにせよ、フィンのことはさほど掘らずに終わってしまったから、今となってはどうでもいいのじゃがの」


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ポー・ダメロン (オスカー・アイザック)

「旧三部作でいうところのハン・ソロに相当するキャラクターで、冒頭、連続ジャンプでミレニアム・ファルコンを無茶使いしてレイにキレられる。 それくらい前二作から通しての無鉄砲キャラですが、彼がリーダーとして成長していく過程が描かれています」
「前作でも、作戦に関してナンヤカンヤと口出しする奴だったが、指揮官を引き継ぐことになり、あらためてレイアの偉大さを知ることになるのじゃ」
『どうしていいか分かりません』なんてこと言うくらいですからね」
「多くの命を背負うリーダーというのは重圧であり正解のない責務であるからのぉ」
「彼も元々はスパイス・ランナーズという密輸グループに属していた小悪党だったことが判明。 しかし彼はレジスタンスに参加する道を選んで、今や正義の戦いに身を捧げるリーダー」
「そうなのじゃ。 もうここで答えが出たようなもんじゃの。 この映画は“人は何者にでもなれる”というのがテーマじゃ。 フィンもポーも、そしてレイもベンも」
「そして彼は誰もが決して孤独ではないと実感する。 正義のために戦う者には必ずあとに続く仲間がいるのだと」
「その通りじゃ」

『誰も準備などできてなかった。 だが強い絆があった。 だから勝てた』
「素晴らしいセリフですね」


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C-3PO (アンソニー・ダニエルズ)

「R2と共にシリーズ皆勤賞のC-3じゃが、今回の彼はちょっと特別な働きをするのぉ」
「何かと確立を持ちだしては悲観的なことしか言わないチキンなドロイドですが、珍しく自己犠牲の精神を発揮するんですよね」
「シス語の解読のために記憶メモリを初期化しなければならない。 つまりこれまでの記憶がすべて無くなるという、それまで多くの仲間と旅を共にしてきたC-3POは“死ぬ”ということになる。 時間的にはさほど費やさずに描かれてるシーンなのが残念じゃがな」
『どうして承知してしまったのか』と悔みながらも、受け入れた彼が『友だちの姿を目に焼き付けているのです』というセリフには驚きと共にグッと来ましたね。 『友だち』と来たか・・・」
「目に焼き付けたってしょうがないことは彼も分かっているのだ。 これは彼なりに仲間たちに向かって、“友だちだった時の自分を忘れないでくれ”という逆のメッセージなのじゃ」
「そのあと、アッサリとR2がメモリを復元してしまいますけどね」
「バブ・フリックの所に行かずとも、R2ならうまくやったかもしれんのぉ」


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チューバッカ (ヨーナス・スオタモ)

「いやあ、あのシーンはマジでチューイ死んじゃったよ~って思ったなあ」
「結局生きてたんかい!ってなるが、レイが力を制御できなかった自分に慄くことになる重要なポイントじゃから、あのシーンは必要じゃ」
「レン騎士団は強いんだろうけど、たいした負傷もしてなかったようだから、おそらくさほど抵抗せずに簡単に捕まっちゃったのがなんだかね~」
「それよりも、レイアが死んだと聞いた時のあの泣き声がのぉ・・・」
「人間のように泣き叫ぶんですよねぇ。 あれはちょっとホロっと来てしまいましたよ」
「ハン・ソロも、ルークも、レイアも次々と世を去ってしまう。 C-3やR2もそうだろうが、3人と常に共にいたチューイの悲しみは察するにあまりある」


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レイア・オーガナ (キャリー・フィッシャー)

「やっぱレイの出自を知ってたんだなあ」
「そしてあえてレイ自身で乗り越えさせる試練を与えたのじゃ。 彼女も兄もベイダーの子であることを乗り越えたように」

『レイ、本当の自分を恐れないで』

「もしかしたら息子がレイに殺されるかもしれないというのも覚悟の上で・・・」
「息子の名前を呼んだのが人生最期の言葉。 どうしても息子に別れを告げてから逝きたかったのじゃ」
「大変な人生だったな、この人も」
「マズ・カナタの『さようなら、お姫様』の“弔辞”もグッと来たのぉ」
「今頃は夫や兄と一緒に、あちらの世界で3人が揃い踏みしていると思うと感慨深い」 

 
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ハン・ソロ (ハリソン・フォード)

「ベンの心の中では、せめてもう一度母に会いたい気持ちが残っていたのは明白。 でも間にわなかったことに動揺する彼の前に亡き父が現れたのも必然かのぉ」
「姿を見せる前の『Hey,Kid』の声だけで鳥肌が立った。 やっぱりベンの心を解放するのは彼しかいない」

『カイロ・レンは死んだ。 でも俺の息子は生きてる』

「ベン・ソロとしてこの先の御し方が分からなくて戸惑う息子に、志と勇気が今も残っておることを諭すシーンは深い。 ベイダーが息子への愛に目覚めたように、ベイダーの孫は父の愛に浄化されるのじゃ」
「なんも言えませんな!」


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ルーク・スカイウォーカー (マーク・ハミル)

「我が弟子ながら、相変わらず小汚いビジュアルじゃのぉ。 オビ=ワンの悪いところをマネしておるのぉ」
「ベンが父と母によって導かれるなら、レイを導くのはマスター・ルーク」
「自分にはライトセーバーを持つ資格などないと思うほど自分の血を呪うレイに最後のご教示じゃ」

『恐れとの戦いはジェダイの宿命』

「ルークもまた、レイの血を知っていながら修業させる。 その力が絶大なものであることも分かっているし、下手をすればベン・ソロの二の舞になるかもしれないこと恐れている。 これもまたルーク・スカイウォーカー自身の長い戦いがまだ続いていることを示唆しています」
「“フォースにバランスをもたらす者”の解釈は未だ何とも言えぬが、ルークはレイの魂の中に“選ばれし者”の資質を見出したのは間違いない」
「そうしてレイアのライトセーバーを託すのですね」
「ルークもレイアも、自分の弟子を、自分の息子を正しい道へ導くことに失敗した負い目があり、常に自身がまいた種に葛藤してきたのじゃ」

『これを手にする者が私の長い旅を終わらせてくれる』


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シーヴ・パルパティーン{ダース・シディアス} (イアン・マクダーミド)

「しぶとい奴ですねえ。 しかも例によってやることが回りくどい」
「傀儡師であることが、こ奴のスタンスじゃからのぉ」
「白くなった男梅みたいなジジイなんぞ、チョチョイと畳めそうなもんですがねえ」
「おぬしな、こ奴の力を侮ってはならんぞ。 ワシともタメを張るくらいじゃからのぉ。 一対一で勝負するのは絶対避けねばならぬ最強のシスじゃ」
「指先から発するフォース・ライトニング。 久々に見たなあ」
「あれはホントに恐ろしい技じゃ。 レジスタンスの船団を無力化してしまうほどのパワーじゃからのぉ。 シスの暗黒卿の中でも使える者は一部の者しかおらん」
「そのフォース・ライトニングをレイが一瞬だけ放って輸送船を破壊してしまうシーンが衝撃でした」
「あのシーンで確信した観客も多かろうのぉ」


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「ここで一旦小休止じゃ」
「マスター、大晦日はどう過ごされてましたか?」
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「・・・・・・・」
「紅白とかご覧になってましたか? それとも、笑ってはいけないの方ですかね?」
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「・・・・・・・」
「ほんまに小休止しとるんかい。 なんか言えよ、ゴジラの息子」
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「誰がミニラやねん!」
「本題に戻りますよ、マスター」

「レイとカイロ・レンの前に、その他のキャラに一言ずつ」

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ランド・カルリジアン (ビリー・ディー・ウィリアムズ)
 「すっかり脂ぎっちゃいましたねえ」
 「これでも八十過ぎの爺さんだからのぉ」

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R2-D2
 「なんだかんだでC-3との友情を大事にするR2」
 「レイアを看取った時のPi-Po音が悲しいのぉ」

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BB-8
 「BBの形状はタトゥイーンの太陽をイメージしたもの?」
 「だからラストにも登場? それは考え過ぎじゃろ」
 
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ゾーリ・ブリス (ケリー・ラッセル)
 「ホントにケリー・ラッセルがやってるの?」
 「あの目、あの声は・・・知らん」 「知らんのかい」

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ローズ・ティコ (ケリー・マリー・トラン)
 「フィンとの関係がアッサリした感じになってましたが」
 「整備士からエンジニアのトップに昇格したから色恋どころではねえのかの」

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ハックス将軍 (ドーナル・グリーソン)
 「どの時点からスパイやってたんだろ?」
 「最高指導者の座を奪われた時からじゃろうな」

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ジャナ (ナオミ・アッキー)
 「トルーパー出身同士ということでフィンとの仲が急接近」
 「最後は二人で旅に出るようなことが示唆されておるの」
 
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バブ・フリック
 「声はハリポタで嘆きのマートルをやってたシャーリー・ヘンダーソン」
 「声を加工するんならシャーリー・ヘンダーソンがやらんでもええじゃろ」


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ベン・ソロ{カイロ・レン} (アダム・ドライバー)

「父を殺した傷が今も残り、母親の元には帰れぬ葛藤を背負っておる。 彼もまた、何者にもなり切れぬ奴じゃったのぉ」
「ベイダーの孫であり、レイアの息子であり、ルークの甥。 光と闇の両方の血筋を引き、ジェダイへの嫌悪はもちろんだけど、かと言って暗黒面に堕ち切っている訳でもない。 宙ぶらりんの彼は常にアイデンティティを模索する自身の戦いに苦しんでいた」
「孤独な男じゃった。 スノークや部下など誰ひとり信頼してなかった。 彼が志を共にできると思えた、たった一人の人物がレイじゃった」
「本当の自分を恐れながら探し続けるレイにシンパシー、いやそれ以上の感情がある。 再三彼がレイにアプローチする姿は実はあれは愛の告白とも受け取れる」
「強引に奪おうという気まではない。 『俺の手を取れ』じゃからのぉ。 前作で上半身の裸を見せたのも、あれは完全にモーションをかけるオトコの露骨な姿じゃ」
「振られても振られても口説きに来る執念深さ。 それだけ彼の気持ちはレイ一筋」
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「自分を凌駕する力を秘めた彼女が一緒なら、シスさえも倒せる。 彼はレイと一緒に、ジェダイでもないシスでもない、二人だけが到達した二人だけの世界を築きたいのじゃ」
「しかし、それまでに多くの人を傷つけて、大事なものをいくつか捨ててしまった。 その傷が癒えぬままダークサイドになり切れない彼は、実は本当の自分を知っていて、それを恐れている」
「本来は光の側にいるべき者だったのじゃ。 両親を敬い、師と共に精進し、善を全うするべき道はそこにあったはずなのじゃ。 ベンも分かっていながら踏み出し勇気が持てなかった。 やり直す術が見えない所まで来てしまっていたのじゃ」
「父ハン・ソロが『今からでも遅くはない』と言う」
「自分が何者であるかの答えは、自分が何をしてきたかではない。 何をするかじゃ。 勇気と行動で、人は何者にでもなれるのじゃ」


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レイ (デイジー・リドリー)

「カイロ・レンはもちろんだけど、これは“自分が何者であるか”を探すレイの物語」
「パルパティーンもいつのまに子供を作っていたのやら。 奴もやることは、しっかりやっとるのじゃのぉ」
「その息子が善人に育って、パルパティーンとは関係を断って暮らしていたのもこれまた奇跡のようなもの。 娘を守るために、あえて惑星ジャクーに置き去りにしたのもファインプレイ」
「レイには辛い記憶になってしまったがのぉ。 それでもいつか両親が迎えに来てくれると信じながら一人でたくましく生きてきたのじゃ。 “ゴミ漁り”は彼女にとって生い立ちを探す希望の行動なのじゃ」
「親から捨てられたという傷は、やがて自分がパルパティーンの孫であるという慄きにとって代わる。 抑えることができず、意図せず他者を傷つけてしまう自分の力が、忌まわしい血を持つせいだという事実に彼女は打ちのめされることになる」
「ジェダイの遺志を継ぎたいのは基本なのじゃろう。 カイロ・レンの手を取る訳にはいかぬのじゃ。 さりとて両親の仇であるパルパティーンに怒りにまかせて復讐の手を下すことは自分が暗黒面に堕ちることを意味しておる」
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「訓練でジェダイの先人の声を聞こうとしてもうまくいかず、カイロ・レンが座った玉座の横に立つ自分の夢を見ることが彼女を追いこんでいく。 そこへきて衝撃の出自。 “レイ・パルパティーン”である自分にジェダイの資格がないのではと道を見失ってしまう」
「確かに血筋は動かせぬ。 しかし本当の自分というのは血で決まるものではない。 旅の終わりが近づいていることを悟った彼女は、ここまで来た自分の戦いの道のりを支えた者たちの愛を知るのじゃ」
「フィンやポー、チューイら、レジスタンスの仲間たち。 パルパティーンの孫だと知りながら成長を見守ってくれたレイア。 そして道を示し導いてくれた師ルーク。 英雄に囲まれた彼女は孤独じゃない」
「かつて銀河帝国と戦った反乱軍の英雄ルーク・スカイウォーカー。 翻ればその父親アナキン・スカイウォーカーも息子を救うために勇気を振り絞った。 レイのフォースは導いてきたのじゃ。 皇帝と戦ってきたスカイウォーカーの魂を継ぐために」

『私はジェダイのすべて!』

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「親を恨んだこともあったじゃろう。 望まずして与えられた能力を呪ったこともあるじゃろう。 ベンに怒り、パルパティーンを憎み、本当の自分に恐れをなし、全てを投げ出して堕ちてもいいとさえ思ったこともあるはずじゃ。 だが彼女はそれを乗り越える。 カイロ・レンからベンに生まれ変わった彼の心の声を聞いた時のホッとした顔が全てを物語っておる」
「ベンが乗り越えたことに彼女の勇気が奮い立つのですね。 それとジェダイの先人たちの声が次々と響き渡るシーンがいい」
「ワシの声はもちろん、アナキン、オビ=ワン、クワイ=ガン・ジン、メイス・ウィンドウ、ルミナーラ・セキュラ、アイラ・セキュラ、アディ・ガリア。 おまけにスピンオフ・アニメのアソーカ・タノ、ケイナン・ジャラスの声まで出てくる、我らジェダイの大仕事じゃ」

『共にあれ』  『立ち上がれ』  『Rise!』

「ルークとレイアが力を合わせてるかのように、2本のライトセーバーがパルパティーンを滅する。 実際はレイだけども、ルークとレイアの兄妹がパルパティーンを倒すという形で完結することが、スター・ウォーズの42年を真の伝説として昇華させるに最もふさわしい」

『私は手を取りたかった。 “ベン”の手を』

「レイを再三誘おうとするカイロ・レンに彼女は戦いの時にこう言った。 “カイロ・レン”の手ではなく、良くも悪くも自分の理解者であり、共に支え合えるであろうレンの手を取りたかったのじゃ。 そしてそれは儚い形で実現する。 この三部作を通じて初めてレイがベンに触れる。 命を与えた手にそっとレイが手を重ねるシーンが見事なまでに美しいのじゃ」


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「今一度言うがこの映画は“人は何者にもなれる”というのが大きなテーマじゃ。 人は育ちや血で生き方が決まるのではない。 アイデンティティは確かに大事だが、それが差別や諍いの道具になってはならぬ。 人は皆同じであり、どう生きたかではなく、どう生きるかで、なりたい者になれる道が開けるのじゃ」
「人は過去に縛られちゃ成長しない。 前を見て歩くんだ。 未来を見つめる生き方に人も社会も成熟してゆく」 
「この映画の1作目が公開された70年代はまだアメリカは冷戦の時代であり、旧三部作は当然戦争スペクタクル色が強かったのじゃ。 その冷戦を国家と共に乗り越えたハリウッドの者たちは、人が隔てられることのない社会の公平性にしっかりとした目を向けるようになったのじゃ」
「文化や人種の違いについての映画も増えましたからね」
「それがスター・ウォーズに如実に表れておる。 それがこの続三部作じゃ。 女性が主人公であり、黒人もアジア人もいる。 人の履歴は物語にならぬ。 未来を目指す人間の物語が人の胸を打つのじゃ」

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「ルークとレイアのライトセーバーがタトゥイーンの地に還されるシーンもまた言い知れぬ到達感がありますねえ」
「ルークがレイアと共にタトゥイーンに帰ってきた。 これだけでも何か報われるというものがあるのぉ。 誰とは言わない、誰でもない。 スター・ウォーズを愛したすべての人々の42年が報われるのじゃ」
「最後に出てくるのはルークとレイアの霊体だけど、これを見たレイはアナキン・スカイウォーカーの落し種である二人の愛に支えられた人生こそが自分のすべてだったと悟る。 ベンの死でスカイウォーカーの血は断たれたけど、レイはハッキリと自分のこれからの生き方を見つける」

『I’m Rey』
『Rey、Who?』
『Rey Skywalker』


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「この黄色のライトセーバーは?」
「レイが持っておったクォータースタッフという長い棍棒があったじゃろ。 あれを改造したものじゃ」
「黄色は珍しいですよね?」
「ジェダイ・テンプル・ガードのセーバー・パイクは黄色じゃったがの。 あとアサージ・ヴェントレスがダークサイドから抜けた時に闇市で手に入れたのも黄色のライトセーバーじゃった」
「緑と赤の中間色が黄色ですから、ルークの緑とダークサイド全般の赤とで、"フォースにバランスをもたらした"とも受け取れますね」


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「さてと、この辺でワシもそろそろオイトマしようかいの」
「何のおかまいも出来ませんで」
「茶の一杯も出してもらえんとはワシもなめられたもんじゃのぉ」
「そんな言い方・・・」
「よいか、おぬし。 この映画に関してブーブーギャーギャー言う者に対して怒りや憎しみを持つでないぞ。 負の感情は暗黒面につながっておるからな。 いかなる批判もまた尊重されるべき人の意思であり、魂の息吹でもあるのじゃ」
「大ヒットが宿命づけられている映画には、これが正解という評論など存在しないというのは承知しております」
「そうじゃ。 スター・ウォーズはそもそも始まりの頃からライトサイドの称賛と、ダークサイドの嘲罵が入り混じった声の中で成長してきたカルチャーじゃ。 何も気にすることではない。 ただ確かなのは、すでに世に出たこの映画は永遠のものなのじゃ。 消えることはない。 伝えるのじゃ。 そして作品に歴史を与えるのじゃ。 9つの偉大なるサーガ。 スター・ウォーズは不滅なり」
「ハハアーッ」
「おっと忘れておった。 “フォースと共にあらんことを”」
「May the Force be with you」


「スター・ウォーズ」42年の歴史に感謝をこめて・・・・
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「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」

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「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」

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「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」

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「スター・ウォーズ エピソード1/ファントムメナス」
 
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「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」

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「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」

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「スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」

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「スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ」

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「スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」


「賢人のお言葉」
 「世界は丸い。 「終わり」に見える場所はまた「始まり」に過ぎないかもしれない」
 アイビー・ベイカー・プリースト

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他にもこれ観ました  ~12月編
2019年12月30日

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「決算!忠臣蔵」

時は元禄。 赤穂浪士四十七人が吉良邸に討ち入り、主君浅野内匠頭の無念を晴らした、世に言う赤穂事件、ってか「忠臣蔵」。

この討ち入りにかかった費用は現代のお金に換算して総計9500万円也。
お家取り潰しになった藩士の生活費、退職金。 江戸への足代。 宿賃。 武装費用。
カネはなかなか貯まりませんのに、出ていくのはアッと言う間。
本当は殿の命日に決行したかった討ち入りも、トラブルが相次いで延期延期で出費はかさむばかり。
どうなさるおつもりかのぉ、内蔵助殿!
カネないから辞めますわという訳にはいかない。
知恵を絞って経費節約。
果たして討ち入りはできるのかぁーっ!って、できたんだけどね。 それが史実ですし。

ことの発端から結末まで、日本人にはお馴染みの話ですが、吉良上野介が登場しないという珍しい忠臣蔵。
本作はあくまで「いくらかかったか」というお金のことに焦点を当てた構成になっています。
最初のうちは「へぇ~、ほぉ~」と言いながら観てられるのですが、お金に苦労した話だということをコッチもあらかじめ知ってる訳ですから、お金の話が何回も続くと段々その説明に煩わしさを覚えてしまいますね。
悪くはなかったのですが、コメディに振り切りにくいのが史実モノの弱いところ。
        


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「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」

ニューヨークとスペインの二つの舞台で、数十年に渡る家族の人生を描いたヒューマンドラマ。

始まりはニューヨーク。 学生時代に出会い、大恋愛の末に結ばれたウィル(オスカー・アイザック)とアビー(オリヴィア・ワイルド)は最初の子供の誕生を目前に控え、幸福の絶頂にいた時、思いもかけない事故に見舞われる。
そしてたまたまニューヨークを旅行中にその事故に関わった幼い少年ロドリゴ。 彼は海を越えたスペインの大地で、両親と父の雇い主であるオリーブ農園のオーナー、サチオーネ(アントニオ・バンデラス)をドラマティックな人生へと導いていく。
次々と訪れる過酷な試練を愛だけで乗り越えていく二つの家族は、数奇な運命に引き裂かれながらも、思わぬ奇跡で繋がっていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
国の違う別々のドラマは一つの交通事故をきっかけに絡み合い、時を経て両者の子供の人生が繋がっていく。
こういう話はクオリティの高い構成が要求されますが、多めの登場人物も、交差する時間軸も苦にならず、ほぼ二部構成の組み立てになっているので、スンナリと世界に入って行けます。

ただ、アメリカではボロクソに言われてる本作。 確かに「感動してよ」みたいな映画を斜めに観たがる"批評家"の嫌いな映画だよね。
いい人ばっかり出てくる割に、人生の無情だらけの暗い話。 でもアッシはこの映画、好きです。
失われずに息づく愛の温か味が常に感じられるドラマだと思います。 

ボブ・ディランの「Make You Feel My Love」って、こんなにいい歌だったっけ?と再発見。
         


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「わたしは光をにぎっている」

長野から東京の下町に出てきた二十歳のヒロインが、やがて消えゆく銭湯で働きながら自分の居場所を見出していく感動作。
松本穂香。 もとより好きですが、この映画でますます好きになりましたわい。 キャッ!言っちゃった!

二十歳の宮川澪(松本穂香)は東京の下町・葛飾の立石にやってきた。
両親を亡くし、祖母の経営する長野の民宿を手伝っていたが、祖母の入院で宿をたたむことになったからだ。
仕事が決まるまで、父の友人である三沢京介(光石研)の経営する銭湯・伸光湯の一室に居候することになった澪はスーパーで働き出す。
銭湯の常連で、自主映画を撮っている緒方(渡辺大知)とOLの島村(徳永えり)という友人もできた。
だが、スーパーで客からの質問やクレームに対応できなかった澪は、まもなく仕事を辞めてしまう。
祖母から「できないことより、できそうなことをやりなさい」と言われた澪は、少しづつ銭湯の仕事を手伝い始め、ぶっきらぼうな態度だった京介も澪に仕事を教え出す。
銭湯に来る客とも話せるようになり、商店街の人々との交流にもつなげることができるようになった澪にとって伸光湯はかけがえのない居場所となっていった。
しかしある日、京介からもうすぐ区画整理でこの銭湯が無くなるのだということを聞かされる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数えるくらいしかセリフを発さない松本穂香。 それがまたかえって彼女のキャパを存分に感じさせます。
銭湯映画というのはあまり数が少ないですが、これは良作の一本ではないでしょうか。
銭湯も少なくなりました。 うちの実家の近所の2件はとっくに無くなり、今住んでるところの2件のうちの1件も無くなりました。 そう言いながらアッシもほとんど行かないですがね。(たまに行くんですよ)
時代と共に銭湯も銭湯映画も無くなっていくのでしょうな。

都市開発が悪い訳ではないのですが、昔から慣れ親しんできたものが消えていくのはやっぱり寂しいもんです。
この映画のヒロインが居場所を見つけていく一方で、居場所がなくなっていく"古きもの"。
ノスタルジー映画ではないですが、姿かたちは無くなっても、いつまでもその記憶を持つという、思い出という光を私たちは手にしている限り、愛した場所もモノも人も居場所を無くすことはない。
澪の亡くなった両親も、澪の居場所も。

ラストカットの光石研の表情が最高の一言に尽きる!
        


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「夕陽のあと」

実はアッシは貫地谷しほりも好きなのだ。 キャッ!言っちゃった!
「望郷」以来の主演ですね。
この映画は鹿児島最北端の長島町を舞台に描く"産みの親"と"育ての親"という二人の女性の物語。

1年前に鹿児島の長島町にやって来た佐藤茜(貫地谷しほり)は食堂でテキパキと働きながら、島の子供たちの成長を見守り続けている。
一方、夫と共に島の名産物であるブリの養殖業を営む日野五月(山田真歩)は、赤ん坊の頃から育ててきた豊和(とわ)という7歳の里子の特別養子縁組申請を控え、本当の母親になれる期待に胸を膨らませていた。
そんな中、行方不明だった豊和の産みの親の所在が判明し、その背後に東京のネットカフェで起きた7年前の乳児置き去り事件が浮かび上がる・・・
「母親の資格」とは・・・ 五月がどうしても自信が持てない複雑な心境に答えを見つけるために、彼女は事件前後の茜の行動を追うのだが・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
要するに、貫地谷しほりが演じる茜は、とわ君の産みの親で、同居男性のDVや貧困など、已むに已まれぬ事情で赤ん坊のとわ君をネットカフェに置き去りにして逮捕されております。 執行猶予がついておりまして、彼女はその後、とわ君が里子にもらわれていった先を調べたんでしょうね。
そうして鹿児島にやって来て、とわ君の通学路にある食堂に勤めながら、あえて母親だと名乗らず、気さくなおばちゃんとしてとわ君と仲良く交流しております。 もちろん育ての母である五月は何も知らずに茜とは友人の関係であったりするのですが、とわ君を家に連れていくほど可愛がり方がエスカレートしていく茜に徐々に不信を覚えていきます。

なかなか自分のことを明かさない茜ですが、素性がバレて「豊和は自分の子」だと主張しだしてからはハードで複雑な話になっていきます。
「産みの親・育ての親」の問題はなかなか難しいもので、いろいろ考えれば、子供が大きくなって、いずれは本当のことを話さなきゃいけない時が来る訳で、結局は親と言うよりは子供の方にとって大きな問題なんでしょうよ。
物語は一応収まる所に収まりますが、この数年後あるいはもう少し先のことが気になりますね。

困難な題材ですが、二人の女性の心理のみにフォーカスし、互いの感情の行き交いを正面から描いた力作。
先月に亡くなった木内みどりさんも出演されております。 遺作ではないのですが。
        


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「ドクター・スリープ」

今は亡き名匠スタンリー・キューブリックがスティーヴン・キングの小説を映画化したホラーの古典「シャイニング」(80)。
あれはなかなか怖い映画でしたけれども、それの40年後を描くという続編。
続編なんて書かないキングが珍しく執筆して2013年に発表した同名小説を「オキュラス/怨霊鏡」のマイク・フラナガンがメガホンを取っての映画化です。

キューブリックが原作のテイストを大幅に変えた映画版をキングはメチャクチャ嫌っており、ことあるごとにディスり倒しているのは有名な話。
そういう背景を思えば、この「ドクター・スリープ」はキング自身が「シャイニング」のケリもまとめて付けてやろうという思いも込められているような・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雪に閉ざされた展望ホテルでの惨劇を生き延びて成長したダニー(ユアン・マクレガー)は心に傷を抱えたまま孤独な暮らしを続けていた。
ホスピスで働くようになった彼はそこで死の間際の人々を"特別な力"(シャイニング)で癒し、“ドクター・スリープ”と呼ばれるようになっていく。
その頃、児童失踪事件が発生し、ダニーに謎の少女アブラ(カイリー・ハラン)からメッセージが届く。
彼女もまた、シャイニングの持ち主で、事件現場を目撃したという。
二人は協力して事件を追い、やがて、あのホテルに導かれていく・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シャイニングという特別な能力を持ったダニー。 そのことをなおざりにした前作の映画に対抗するかのように、ここではまるで「XーMEN」を観てるかのような超能力バトルに特化した内容になっています。
【真の絆(トゥルーノット)】と呼ばれる不死族の一団がヴィランとして登場。 特別な子供が苦しめられながら殺される時に発する生気(スチーム)をむさぼり食う奴らが、大人になったダニーや、段違いの力を持った少女アブラの生気を奪おうとして、壮絶なしのぎ合いをおっぱじめるので、“「シャイニング」のその後”という意識を持って観たら完全に透かされます。

でもコレはコレで面白い。
不死族の首領ローズ・ザ・ハットを演じるレベッカ・ファーガソンがいい味を出しております。
誰に似てるのかと思ったら、若い時のサンドラ・ブロックか、キャサリン・ゼタ・ジョーンズもチョイ入ってますかね。
レベッカ・ファーガソン、好きになっちゃいました。 キャッ!言っちゃった!

「シャイニング」を知らない人でも差し支えないとは思うけど、やっぱり観てた方が、より楽しめるかも。
ラストはあの展望ホテルを舞台に、まさしくカーニバル状態。
ジャック・ニコルソンもどき(ヘンリー・トーマス)も登場。 バーテンダーになっとる!
        


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「カツベン!」

映画にまだ音がなかった時代の明治。
活動写真と呼ばれていた映画には、楽士の奏でる音楽に合わせて、物語を熱い語りで説明していく「活動弁士」という存在がいて、お客さんたちを盛り上げていました。
これは外国にはない日本独自の文化。
いい意味で映画館はにぎやかな場所だったのです。

昭和になってトーキーの時代到来ともに、活動弁士の活躍の場は激減していくのですが、今でもサイレント映画を上映する映画館もあるので、そこで活躍する弁士さんも少なからずいらっしゃいます。

なんにせよ、映画という文化を根付かせた「いしずえ」として語るに欠かせない「活動弁士」。
この偉大なる先人にリスペクトを捧げた周防正行監督の情熱がこもった、この本作。
活動弁士を夢見る青年が、泥棒一味から足を洗って流れついた小さな映画館で働くことになり、クセのある人たちに囲まれながら憧れの活動弁士を目指そうとするのですが、彼を追ってきた泥棒たちや刑事などが入り乱れての騒動に巻き込まれる物語です。

この映画のテイストは昔ながらの活劇をイメージして、あえてアカ抜けないベタな語り口にしてると思うんですよ。 ちがうかな?
ちがうんだったら、あまりに稚拙。 周防監督だから狙ってのことだと思うんだけどね。

ただ、いずれにしても正直自分にはハマらなかったのは事実です。
やっぱりストーリーが・・・・
これを思い切って「アーティスト」のようにモノクロ・サイレントでやってみたらどうかと思いましたが。

「金色夜叉」や「国定忠治」など、昔の映画をわざわざ豪華なキャストで再現してみせるほど、監督の映画愛は存分に伝わりましたけど。
        


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「家族を想うとき」

ケン・ローチは2014年に「ジミー、野を駆ける伝説」を発表したのち引退を宣言。
しかし2015年のイギリス総選挙で保守党が圧勝。
福祉を削減して緊縮財政を進めることを明確にしたことにローチの大将はブチ切れて引退を撤回。
弱者を阻害する社会を徹底的に糾弾した「わたしは、ダニエル・ブレイク」を発表し、カンヌでパルムドールを受賞。

そこでまた引退を宣言したものの、やっぱり市場原理主義に突っ走る国家に我慢ならないローチが撮った新作もこれまた現代の格差社会をテーマに時代の変化に翻弄される家族の姿を描いています。

舞台はニューカッスル。
ターナー家の父リッキーはマイホーム購入の夢をかなえるために、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立。
その妻アビーはパートタイムの介護士として時間外まで1日中働いている。
家族を幸せにするはずの仕事が、家族との時間を奪ってゆき、高校生の長男セブと小学生の娘のライザは寂しい思いを募らせてゆく。
そんな中、リッキーはある事件に巻き込まれてしまう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
主人公のリッキーが就く仕事、フランチャイズのドライバーは独立とは名ばかりの、本家に縛られっ放しの重労働。
GPS付きの端末で荷物の受け渡しを記録していくのと同時に、ドライバーが車を離れていた時間もチェックされ、時間をオーバーすると罰金を取られる。
配達時間に遅れるのはもちろん、急に休むこともままならず、已むを得ない時は誰か代わりのドライバーを自分で用立てないとこれも罰金を取られる。 罰金と言うより制裁という言葉が出てくるので、完全にブラックと言っていい。
1日14時間、トイレに行く暇もないほどの仕事を6日間。
あれだけ働いても収入はタカが知れてる。
家族との時間もない。

思春期の息子がこれまた情けない甘ったれ。 家族が壊れていくサマは親のせいばかりではない。
学校をさぼって壁の落書きにうつつを抜かし、ペンキ欲しさに親が買ってくれたジャケットを売り払う。
学校でケンカして相手に怪我をさせるわ、万引きするわ、父親を「負け犬」呼ばわりするわで、このクソガキがもうちょっとしっかりしてたら、まだ家族はマシな状態だったかもしれない。

幼い娘が“家族を想って”、車のキーを隠すエピソードには胸が痛い。
しかもあのラスト・・・・。 そこで終わるのかという、やりきれない現実がのしかかる。

日本でもコンビニ業界が時短や休日などのことで揺れている。
「元旦くらい休ませて・・・」 休んでください。 24時間開けてる必要もない。 アッシは全然かまわない。
政府ももっと後押ししろ。
        


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「ジュマンジ:ネクストレベル」

KEVIN-HART.jpg こんちわ~。
jum.jpg よろしくお願いしま~す。 ああっ、ありがとうございますぅ。 今、ラジカセのヘッドを掃除するクリーニングテープをいただきましたけどもねっ。 ありがとうございますぅ。 こんなんナンボでもあってもいいですからね。
KEVIN-HART.jpg あのぉ、うちのオカンがこないだ映画を観に行ったんやけど、タイトルを忘れてしもたらしくてね。
jum.jpg 観た映画のタイトル忘れてしもたん?  ほな俺が一緒に考えたるから、オカンが観た映画、どんな特徴いうてたか、教えてみてよ。
KEVIN-HART.jpg う~ん、なんかね。 若者たちがゲームの世界に入ってしまって、目的をクリアするまで帰られへんっていう話やねんな。
jum.jpg ああ~・・・「ジュマンジ」やないか。 その内容はもう完全に「ジュマンジ」やないか。
KEVIN-HART.jpg いや、俺もそう思たんやけどな。 オカンが言うには、その映画観て、ハンカチがグッショグショになるほど号泣したって言うんやな。
jum.jpg はあ~・・・ほな、「ジュマンジ」ちがうかあ・・・。 「ジュマンジ」観て号泣したら、製作者が「そんなつもりないねんけど」って逆にうろたえるわな。 ハンカチのご用意をする必要はこれっぽっちもないわな。 それは「ジュマンジ」ちゃうな。 う~ん、じゃあ、ほなもうちょっと詳しく教えてくれる? 
KEVIN-HART.jpg オカンが言うにはな。 プロレスラー上がりのゲーハーの筋肉オッサンが主演やって言うてたな。
jum.jpg 「ジュマンジ」やないか。 そんなもんアイツしかおらんやないか。 アイツで持ってるようなもんやぞ、あの映画は。 ちなみにデイヴ・バウティスタではないっ! 
KEVIN-HART.jpg いや、分からへんねんて。
jum.jpg なにが分からへんのよ。
KEVIN-HART.jpg 俺も「ジュマンジ」や思てんけどな。 オカンが言うには、その映画はアカデミー賞確実やって言うねんな。
jum.jpg それ「ジュマンジ」ちゃうやないか。 アカデミーのアの字もないで。 ソニーの人間がアカデミー会員の過半数やったら可能性はなくもない。 コレがオスカー獲るんやったら、ココリコ遠藤の「バスジャック」が紫綬褒章もろとるぞ。 それやったら「ジュマンジ」ちゃうわ。 ほな、もうちょっとなんか言うてなかった?
KEVIN-HART.jpg オカンが言うには、カレン・ギランの足メッチャきれいやなって言うてたな。
jum.jpg 「ジュマンジ」やないか。 おみ足だしたカレン・ギランでてきたらそれ「ジュマンジ」やないか。 カレン・ギラン、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でやっと大作の役もろた思ったら、アタマ剃って顔を青くして誰や分からへんキャラって知った時、どない思てたか知りたいな。 
KEVIN-HART.jpg いや、でも分からへんねんて。
jum.jpg なんで分からへんのよ。 だから、そうやって。
KEVIN-HART.jpg 俺も「ジュマンジ」やと思うねんけど、オカンが言うには「ジュマンジ」ではない。
jum.jpg ほな、「ジュマンジ」ちゃうやないか! 先言えよ! 俺がカレン・ギランの胸中に思いを馳せてた時、どう思てたんや。
KEVIN-HART.jpg オトンが言うにはな。   それは「ジュマンジ/ネクストレベル」ちゃうかって。
jum.jpg 正確に言い直しただけやないかい。 もうええわ。
eec145c5066f88f8bd631fdd5f6f2426.jpg 映画の感想わい!?

面白うございました。 デビートとグローヴァーのダブルダニーの友情にプチ感動。
        


さて、この記事が本年最後であります。
今年もありがとうございました。 よいお年をお迎えくださいませ。
来年もよろしくお願いします。

【予告】 年明け一発目は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」だ!

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2人のローマ教皇
2019年12月26日

_--.jpg「ローマ法王」? 「ローマ教皇」?
どちらの表記が正しいのかというと、以前からカトリック教会では「教皇」に統一しており、日本政府にも「教皇」の呼称で統一することを申し入れていたらしい。

そして、このほど政府も「教皇」で統一することを発表。
覚えておきましょう。
「法王」ではなく「教皇」。


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さて先日、ローマ教皇フランシスコ1世が来日していたが・・・・

あれ? 怖そうな顔をした人じゃなかったっけ?

アッシは全然知らずにいたことに気づいた。
とっくの昔に教皇が交代していたなんて。

このフランシスコ1世のことを描いた映画「ローマ法王になる日まで」というのが2017年に公開されているんだけどね。
鑑賞スルーしたのはしょうがないとしても、ニュースさえも気がつかなかったのだから、ボーッとしてたもんだ。 これはチコちゃんに叱られる。


2005年にヨハネ・パウロ2世が崩御し、新しい教皇を選出するコンクラーベが行われて、礼拝堂の煙突から煙がいつ上がるのかと、世界中の人々が「合戦の合図を待つ戦国武将状態」となっていた。
皆のものぉ、合戦じゃあーっ!


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やがて選ばれた新法王ベネディクト16世

人の顔のことを言えた義理ではないが、この教皇の典型的な悪役顔は、なかなかのものだった。
教皇は原則終身制なので、命つきるまでお役目を全うせねばならないが、このお方、2013年に自らお辞めになったらしい。

教皇が辞任し、及び新教皇即位という6年前のことを、アッシはつい最近知ることになった訳だけども、最近観た映画「2人のローマ教皇」は奇しくもベネディクト16世からフランシスコ1世へと教皇が交代する経緯の裏側を実話に基づいて描いた作品なのである。

監督は「シティ・オブ・ゴッド」、「ナイロビの蜂」などのフェルナンド・メイレレス。
ゴールデングローブ賞でも4部門にノミネートされているNetflix作品。


フランシスコ1世(ジョナサン・プライス)とベネディクト16世(アンソニー・ホプキンス)。
この二人のキャラクターは出来過ぎなほど実に対照的であり、一方で、過去の自責の重みを背負ってきた点で共通しているところがあるのもドラマティック。

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フランシスコ1世は本名をホルヘ・マリオ・ベルゴリオという。

アルゼンチンのブエノスアイレス出身。
一般的に聖職者の階級は助祭から司祭、司教、大司教。 そして枢機卿となる。 その上がトップの教皇。
ベルゴリオは2001年に枢機卿となっている。

この人の面白いのは、お高くとまらない庶民的なキャラクターであることだ。
大司教時代の頃から彼の人柄はアルゼンチン国民にも慕われていた。

豪勢な司教館に住まずに、小さなアパートに暮らし、買い物も自分でする。
車も携帯電話も持っていない。
リムジンのお出迎えなどを断固拒否し、地下鉄やバスなどの公共交通機関を利用する。
どうしても車の移動という場合は、ファミリーカーの助手席に乗る。 一般的な偉いさんの様に後部座席には乗らない。
バチカンやローマに行く時の飛行機はエコノミークラス。
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一般信徒に直接電話をかけて気さくに話したり、もらった贈り物は貧しい人に分け与える。
ミサの場でも冗談を交えたスピーチをして笑いを取る。
ポップ・ミュージックも聴き、ジャンクフードも食べる。
ローマ教皇は意外にサッカー好きが多いが、この人はアルゼンチンリーグのチームでFIFAクラブワールドカップにも出場(2014年・準優勝)したことがあるサン・ロレンソの熱烈なサポーター。

どんなに出世しても特別扱いされることを嫌い、質素な生活と気さくな態度を心がけ、枢機卿の頃から今の時代に合わない教会のやり方にも疑問を呈してきた。
かと言って、将来えらくなったら自分の手で教会を改革してやろうという大それた考えがある訳ではない。
ヨハネ・パウロ2世が逝去した際のコンクラーベで、ベルゴリオを教皇に推したがる枢機卿は多かったが、本人は「なりたくない」と超消極的だった。

さて、もう一人の方は・・・
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ベネディクト16世。 本名はヨーゼフ・アロイス・ラッツィンガー
ドイツのバイエルン出身。

少年時代から聖職に就くのが夢で、それを叶えた訳だが、超保守派と評されるほど従来の伝統や制度に固執するカタブツ。
ついたアダ名は「教義の番犬」。
カトリック教会の公用語であるラテン語はもちろん話せて、最近はラテン語を話せる聖職者が少なくなったことを嘆いている。

ピアノが得意でモーツァルトやベートーベンを弾くが、ビートルズのことは全く知らないという宇宙人のような人。
十代の頃、ナチスの青年団組織であるヒトラーユーゲントに属していた経歴(強制加入)があることから、一部信徒から「ナチ野郎」と批判され、決して人気の高い教皇ではなかった。

無題 19
その教皇に選出された際にも、コンクラーベの投票では一発当選するものと自身は思い込んでいたようだが、1回目で投票の3分の2以上の票に達しなかったことから、自分の不人気を思い知らされてショックを受ける。
以来、ベルゴリオには嫉妬に近い羨望と対抗意識を持つようになる。

年齢のこともあってか、健康のために活動量計(?)を付けているようだ。
長座が続くとアラームが鳴って「少し歩きましょう」などの音声が機器から流れる。
この音声が、いずれ辞意が芽生える彼にとっては、なんとも意味深長。

ちなみにこの人も大のサッカー好き。 ひいきはもちろんバイエルン・ミュンヘン。

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2005年。 ヨハネ・パウロ2世逝去に伴うコンクラーベに参加したベルゴリオ

公衆トイレで「ダンシング・クイーン」を口笛で吹いていたベルゴリオは居合わせたラッツィンガー「何の曲か?」と尋ねられた。
「ABBAですよ」と言っても、「アバね・・・」と反応の薄いラッツィンガーの顔には(おまえなんぞ教皇に相応しい人物じゃない)という嘲笑の色が浮かんでるのをベルゴリオは感じた。

ピーター・タークソン枢機卿(シドニー・コール)は、ベルゴリオの当選を期待する言葉をかける。

「今のバチカンは灰に包まれた火だ。 灰を吹き飛ばす者が必要だ」
「私には無理だよ」
「成りたがらない者こそ適任なんだがね」

「教皇になるのは殉教者と同じだよ」

イタリアのカルロ・マルティーニがラッツィンガーの対抗馬と見られていたが、意外にもベルゴリオが2位の得票。
内心焦ったベルゴリオだったが、4回目の投票でやっとこさラッツィンガーが教皇に選ばれた。

ベルゴリオはやれやれである。


7年後。
教皇庁内の不正を告発した内部文書をリークしたとして側近の執事が有罪となったスキャンダルが駆け巡っていた頃、ちょうど辞職願を出していたベルゴリオは、教皇から呼び出しの手紙を受け取る。

教皇の避暑地であるイタリアのガンドルフォ城にやって来たベルゴリオ
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ベルゴリオは枢機卿を辞めたいことをラッツィンガーが認めてくれると思っていた。
彼はブエノスアイレスの小さな教会の一神父に戻りたかったのだ。

だがラッツィンガーは御機嫌ナナメだった。
「反抗的な態度に手を焼いててね」
それは、バチカンのことをチクった先頃の執事のことを言ってるのか、それとも辞めたいと言い出した自分のことをディスっているのかと、ベルゴリオは不安に駆られた。

嫌な予感は的中し、ラッツィンガーベルゴリオの辞職を頑として認めないつもりのようだった。

ここからがジョナサン・プライスとアンソニー・ホプキンスの、ほぼ二人芝居といった形式で物語は展開していくのだが、聖職に対する考え方が相反する二人のキャラクターが真っ向からぶつかっていく。

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「公邸に住むのを拒否したそうだな」
「私には豪勢過ぎる」

「線引きや壁は必要だ」
「神は壁を作りましたか?」

「辞職は批判に受け取られる。 教会は堕落してるとでも?」
「教会は時代に反してる。 神学生は畑でも礼服を着てる」

「君も同性愛を悪魔の仕業だと言ったろ。 教会の独身制にも反対してる」
「この世に変わらない物はない」
「神は変わらない」

「私たちの心配は世の中の問題よりも、ミサの言葉や、いかに女性信者を集めるかということだけ」

時代にそぐわぬ慣習に固執していては、人の救いとなるはずの教会は成り立たぬと危惧を覚えるベルゴリオ
片や、神と同じく、神に仕える者もまた権威であって、世俗的なものに堕ちては人に教えなど説けぬというラッツィンガー
二人の主張はものの見事に食い違い、平行線を辿る。

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ただこの二人、まるっきり犬猿の仲という訳ではない。
仕事の話以外ならば、まあまあ砕けたやり取りをする。

ラッツィンガーが趣味のピアノを披露。
音楽の話になると、ベルゴリオはビートルズを持ち出す。
ラッツィンガーも精一杯知ったかぶりをするのだが、「エリナー・リグビー」と聞かれても何のこっちゃである。

八十奏のストリングスが印象的な名曲だが、マッケンジーという名の誰からも相手にされない孤独な神父が出てくる内容の、このナンバーを引き合いに出すところはベルゴリオも人が悪い。

さて夕食のひととき。
聖職者だからという訳ではないがラッツィンガーの食は細い。
野菜スープとか肉のローストなどシンプルな一品だけを食すらしい。
しかも静かな部屋に一人でこもって食事をする。

ベルゴリオのもとにも教皇と同じ、オニオンスープらしきものが運ばれてきたが彼の食欲はあまりわかなかった。

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翌日、システィーナ礼拝堂へ場所を移して第2ラウンドが行われた。

ヘリで向かう途中、ベルゴリオはオレガノの苗をラッツィンガーにプレゼントする。
「庭師からもらったんですよ」
「君は人気者だな。 どうしたらそうなれる?」
「人に好かれるには自然体でいることですよ」

「私は自然体だと嫌われる」

 
ベルゴリオとしてはなんとしても辞職の許可が欲しかったのだが、ラッツィンガーは頑として受け入れるつもりはないようだ。
ただ、ラッツィンガーの口から次第に、自身が抱え込んでいる信仰への限界を匂わせる複雑な感情が漏れ始める。

86歳になったばかりのラッツィンガーは疲れていた。
肉体的なことはもちろん、これまで他人も自分をも欺いてきた罪を背負った心が疲れ切っていた。

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「最も難しいのは神の声を聞くことだ。 もっと耳を澄ますべきか・・・。 心の補聴器が必要だ」

「些細なことが引っかかる。 ロウソクを消したら煙が上から下に降りたんだ。 神に拒絶された気がした」


ベルゴリオは、これほどまでにネガティブな言葉を漏らすラッツィンガーを初めて見た。
と、同時に彼が何か大きな決意を持って、自分をバチカンを呼んだのだと知る。

「教皇の職を辞任する」

前代未聞だった。
教皇は死をもって退位するのが通例。 前例がない訳ではないが。
ベルゴリオは動揺した。 そもそもなぜ自分にそんな大ごとを打ち明けるのか。

ラッツィンガーは後継者にベルゴリオを望んでいた。
辞めさせる訳にいかないのは、もっともだった。

「表舞台から退き、沈黙の象徴で居続ける」
その時、活動量刑がアラームと共にメッセージを告げた。
『立ち止まらず歩きましょう』

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ベルゴリオは大きな傷を背負っていた。
まだ若かりし頃の70年代。 彼はブエノスアイレスのイエズス会管区長を務めていた。

軍事独裁政権の支配下にあったアルゼンチンでは左派思想者らが弾圧を受け、3万人もの人が殺された悲惨な歴史がある。
当時、イエズス会の司祭であったジョリオとヤリクスという二人はベルゴリオの友人だった。
彼らはハッキリとした左翼ではないものの、貧困者支援などの社会活動に熱心で、距離を置いていたベルゴリオは不安に駆られていた。

そして軍事政権側がジョリオとヤリクスの運営する施設を摘発する情報を知ったベルゴリオは二人に知らせたが、危険を十分に理解してもらえず、結果、友人たちは政府に連行され、ひどい拷問を受けることになる。
ベルゴリオは、ジョリオとヤリクスを軍事政権に売り渡した裏切り者と決めつけられ、イエズス会の管区長の任を解かれることになった。

その後、ヤリクスとは和解したが、ジョリオとはまだ会っていない。
「私たちは無力だった。 独裁政治は選択を奪う」

友人を救えなかった悔恨が今もトゲとなって胸に刺さっている。
何もできなかった。 自分も神も。
「キリストはどこにいた。 宮殿でお茶でも飲んでいたのか」

話を聞いたラッツィンガーベルゴリオに赦免を与えた。
「人は神ではない。 神の中にいる人間に過ぎない」

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通称〔涙の間〕で食事をする二人。

宅配ピザとファンタ・オレンジ。
学生か! 堂々たる不健康メシ。 カロリーたっけえぞ。

ベルゴリオが食べようとするとラッツィンガーがお祈りをしだしたので食べそびれるシーンが笑いを誘う。

神のそばを、ひととき離れた代弁者たちの大衆的な午餐。
二人が「人」として距離を近づけ、本音をさらけ出す割合も増す。
罪を告白したベルゴリオに続いて、今度はラッツィンガーの番だった。
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それはなんともベルゴリオにとってはおぞましい告白だった。
カトリックの聖職者たちによる児童性的虐待事件が明るみに出て、世界が騒然となり、バチカンも大きく揺れていた頃があった。

70年代にアイルランド司教区で行われていた神父たちの性的虐待のスキャンダルの隠蔽を謀ろうとした枢機卿に対し、教皇はなんの処罰も与えることなくやり過ごした。
ラッツィンガーがドイツで司祭をしていた頃にも、幾つかの「あってはならないこと」があった。 彼はそれを知っていた。 だが見なかったことにしたのだ。

アカデミー賞を受賞した映画「スポットライト 世紀のスクープ」でも取り上げられていたカトリック神父たちの性的虐待スキャンダル。
実際のところ、ベネディクト16世はこれについては、過熱報道に釘を刺した程度のことしかコメントしていない。
ただ、何も手を打たなかったことだけは事実だ。

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「神の存在を信じて祈ってきたが・・・ 沈黙だ」

神の声を聞くことができぬと言うラッツィンガーは、これまでの重荷を振り払うかのように教皇の座から降りることを決めた。
神の声はともかくも、ベルゴリオが聞き届けたラッツィンガーの告白はある意味、彼への御託宣だった。

ジョリオたちが歩けなかった道を行く。 ベルゴリオにはその使命が今ハッキリと見える。
人は神にはなれないばかりか、誰もがみな罪人である。
罪の苦しみの中で迷う人々の心を赦し諭し、救いの道を指し示す者となるべき時が来たことをベルゴリオは感じた。

2013年3月。 新しい教皇が誕生した。
赤い靴を履くのが習わしだが、彼の足元は自前の黒い靴だった。

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どういうことを言いたいのかという説明が難しい映画ではあるが。

ざっくり言うと、教皇も枢機卿も人の子だという話なのだが、神聖なる存在で居続けることと、大衆の目線に寄り添える人間味の狭間という権威のジレンマに陥った神徒の心理悲喜劇である。

雲の上の存在というか、無信仰の者には余計に馴染みのない、ある意味謎の人物であるローマ教皇のことがうかがい知れる興味深さの一方で、いくら高貴な聖職者でも、神を標榜できるほどのファンタジーを口走るには限界があることを、対照的な二人のキャラクターの論戦によって浮き彫りにしていく話は、予想以上に引き込まれる。

宗教的内容とは言え、堅苦しさは微塵もなく、ジョナサン・プライスとアンソニー・ホプキンスの「2人の名優」が演じる「2人のローマ教皇」という、「ジジイの主張」のぶつかり合いを、観客はそれこそ“見守る神様”気分で楽しめる。

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教皇はあくまで人間であるし、宗教が権力になってはいけないのは当たり前で、そもそも神のことなど人の手に余るものだ。
キリストが何と言ったかは知らないが、何を食べるか、どんな歌を唄うか、どんな靴を履くかは人間である自分自身の問題で、神の声など聞こえようが聞こえまいが、まずは人間である汝を愛するべきではないか。

人間は誰でも罪を犯すのだ。 罪を犯すから人間なのだ。
罪を犯す所から人はひとつずつ学び成長していく。
神がいることを信じたければ、なおのこと精進するがよいではないか。
努力を神様はしっかりと見ておられるぞ。

だがその前に汝自身を愛せ。
歩んできた道に汚れた罪の痕が残っていても、汝がこれより往く道に答えがある。
友を救えなかったベルゴリオも。 醜聞に目を背けたラッツィンガーも。

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ベルゴリオフランシスコ1世として新教皇になったその1年後。
ベルゴリオラッツィンガーが「2014 FIFAワールドカップ」の決勝戦をテレビ鑑賞するラストシーンがなんとも微笑ましい。
偶然にも「ドイツ対アルゼンチン」というカードになるなんて、まるでドラマ。

前半のイグアインのゴールはオフサイド判定になり、そのまま両者とも決め手を欠いて延長戦へ。
延長後半に途中出場のゲッツェのボレーが決勝ゴールとなってドイツが6大会ぶりの優勝を決めた。
ベルゴリオ、がっくり。 笑いが止まらぬラッツィンガー

試合を観ながら「おい、あれはファウルだろ!」 「ファウルもプレーのうちだ」というやり取りがある。
『ファウルもプレーのうちだ』・・・・・ 罪を犯す人間を肯定した意味深なセリフだ。
このように、活動量刑の音声メッセージや、「エリナー・リグビー」の他、飛行機の電話予約をするシーンやダンスのシーン、ラストカットのロウソクの煙など、暗喩を込めたセリフやシーンが随所にあるのもまたニクい。


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「賢人のお言葉」
 
「誤りを犯すのは人間であり、それを許すのは神である」
 アレクサンダー・ポープ

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